第46話 強襲爆撃飛行隊
黒い
彼女を一言で表現すると、他に言葉が見付からない
ティターンズカラーだわ
黒い髪、
黒い瞳、
黒い肌、
服まで真っ黒で、
おまけに尻尾も真っ黒
ん?……尻尾?
良く見りゃ角も生えてない?
しかも、ガブルンに負けない程の凶器を胸部に隠してるわね
あれ、何カップ有るのかしら?F?G?
年中肩が凝るのは間違いないわね
「やっぱり失礼な事を考えてるでしょ?」
「て言うか、何しに来たのよセレロン?」
「生育不良のチビっ子だけじゃ不安だから、主様に言われて来たのよ」
「だあれがチビですってぇ?」
「聖女のミカエラね?
私は、黒の月の精霊龍様に仕えるセレロン」
あぁー、やっぱりね
何か、そんな気はしてたわ
混沌の月の使徒さんね
尻尾と角はチャームポイントよね
あざといわ
「私は、その昔に、貴女のお師様、ペンティアム様に作って頂いた龍人なの
言ってみれば、私達は同じ親を持つ者同士!
遠慮無くお姉ちゃんと呼んで良いのよ?」
何なのコイツ……て言うか師匠、私の知らない所でこんなの造ってたって…何やってんのよ?その昔って何千年前の話しよ?
「まっ、感動の姉妹対面は置いといて、魔剣を探してるんでしょ?貴女達」
「!!分かるの?」
「お姉ちゃんに任せなさい!」
おおーー、何だか分からないけど、頼もしい
セレロンと名乗る黒い龍人娘は、カッと眼を見開くと、全黒眼に成る
恐え~よ!?
ホラー映画とかに出る怨霊とかが、そんな目付きだよ!白目が無くて、全部黒目のアレだ
いや、この世界にホラー映画無いけどさ?
とか思って見てると、頭の角がヒコヒコ動いてる
「この人(?)も実体が有るんですね」
魔力だけの存在のミカは、この前からサリエラやクレセントが、実体を持ってるのが羨ましいらしい
「そんなに気にしなくても、私の添い寝(抱き枕)係はミカだけよ?」
「はわわ、ミカエラ様?皆が見てますから……!」
「…………」
何だろう?
クレセントの視線が痛い?
「ーーー分かったっ!!」
え、分かったの?ホントに?
凄えーじゃん龍人、どんな能力か知らないけど、ちょっと見直したわ
セレロンは自信たっぷりに、聖都のある部分を指差して宣言する
「多分、あっち!!」
いや、多分て何よ?
彼女が指し示したのは、聖都の東方だった
でも、あり得ない話しじゃ無い
元々、モトローラは東方支部教会の所属だし、瘴気汚染で暴動が発生した時に、行方不明に成った訳だし
「ダメ元で、行ってみようか?」
「ここで待ってても何も変わらないしね」
「私は、ミカエラ様と何処までも一緒ですよ?」
「ちょ、ちょっと?何故お姉ちゃんを蔑ろにするの?」
でも、ここは西部街区だから、歩くとちょっと時間かかるのよねぇ
「あら、私が龍化して乗せてあげるわよ?」
言うや、セレロンの身体がバキバキと音を立て、全長五十メートル程の真っ黒い龍に変形した
クレセントみたいな、瞬時に変化するのでは無くて、物理的に実体が変形してる
実体が在るのに、どうやって人間サイズに凝縮してるのかしらね
その姿は、漆黒の超音速戦闘機みたいで、かなり格好いい
黒い翼には、幾つかの噴射孔の様な穴が開いており、見てるだけでワクワクしてくる
私がフラフラと漆黒の機体に吸い寄せられそうになると、クレセントが金色の龍に変化し、私の襟首を咥えて、背中に乗せてしまった
「ミカエラはこっち」
「えー?乗ってみたいんだけど?」
「ダメ」
即答で否定されてしまった
なに?ヤキモチ妬いてるの?可愛い♡
「セレロンは飛行の理屈が私とは異なるから、天使のミカエルが乗っても大丈夫」
そうなの?じゃあ、ミカはそっちで……
「あ~ん、私もミカエラ様と一緒が良いですう」
「ミカはクレセントに乗れないみたいだから、我慢してね」
「私は、魔力を噴射して物理的に翔ぶから、天使でも問題無いわよ?」
ヒィィィィーーーーーーと言う、圧縮した魔力を、翼の噴射孔から噴出してる音が少しづつ大きくなってゆく
ゴオオオオオオーーーーーーツツ!!
爆音が響いたと思ったら、風と埃を舞い上げ、遥か上空へ飛び上がっていた
「凄いわね?」
「ふんっ、あんな翔び方下品なだけよ!」
クレセントは明らかに拗ねている
負けじと高度を上げ、セレロンに並ぶと速度を上げた
スラスタードラゴンのセレロンは、拡げた翼を折り畳み、空力抵抗を極限まで減らした形態で更に速度を上げる
風の抵抗を完全に無視出来るクレセントと違い、もし私がセレロンに乗っていたら、風圧で吹き飛ばされていたかも知れない
「ひ、いあぁぁぁぁーーーーーーー!!」
ミカの悲鳴がドップラー効果を伴って聞こえるが、ミカは実体の無い存在なので、風圧も大丈夫だろう
あの悲鳴は、経験したことの無い速度に驚いた、ジェットコースターに初めて乗ったヤツと同じだ
速度は、マッハ七に達する
成層圏まで、弾道飛行しなければ、衝撃波で地上は大惨事だったかも知れない
瞬く間に、東部街区に到着してしまった
実質飛行時間は、ほんの数分だろう
マジで凄いわ、ドラゴンの本気!
「あ、居た!居ました!
ミカエラ様、居ました!十時の方向!」
良くやったミカ!
あれはパワーマック家の倉庫だわ
周りが大火事で焼けた中、不自然に残っている
予め、周囲の建物を破壊して延焼を防いだのね
「突っ込むわよ」
「え?」
まさか、このまま激突する積もり?
ちょっと待って?アンタ達ドラゴンと違って、私は生身の人間なのよ?
セレロンが人間サイズに戻ると、そのまま倉庫の屋根に突入した
凄まじい超質量の激突で、爆音と衝撃波が倉庫を木っ端微塵に破壊し尽くす
一瞬遅れて、クレセントと私が着地する
て言うか、マッハ七で強制フリーフォールは止めて欲しいわ
地面に激突寸前に、クレセントが減速してくれなかったら、間違いなくミンチになってたわよ
「ミカエラ様!大丈夫ですか?」
ミカが慌てて駆け寄り、回復してくれる
ミンチは避けれたけど、非常識な急減速のせいで、集中して保護した頭以外は、半分潰れたカエルみたいになってたわ
「これはこれは、愛しの姫君のご登場は派手だねぇ」
耳障りな嘲笑う声が瓦礫に響く
糞勇者、テメエの命運もここまでだ!
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