第42話 人間の皮を被った悪魔だ——けれど

 崇視点……★


「春樹との関係に、きちんと終止符を打ちたい」


 そう告げた千華さんを止めることはできず、俺達は春樹さんに接触を測ることにした。


 もちろん万が一に備えて、防犯ブザーに催涙スプレーなども持参。そして慎司さんと連絡を取り合って、一定の時間が過ぎてもメッセージが届かない時には警察への通報と駆けつけてもらうように頼み込んだ。


『崇、お前……本当に大丈夫か?』


 電話越しの慎司さんは俺達を身を案じてくれたが、それに対して静かに頷いて答えた。


「この先、ずっと不安に怯えながら過ごすくらいなら、きちんと終止符を打ちたいなとは思っていたんです。多分、大丈夫ですよ」


 確信があるわけではないが、千華さんや赤江さんの行動を見ている限り、そこまで危惧する必要はないと思うのだ。


 それに、これは俺の場合の話だが、本当に千華さんのことを大事に思っているのなら、他の女性にうつつを抜かしたりしないし、利用したりもしない。

 惚れた弱みにつけ込んで、赤江さんを利用して千華さんを取り戻そうとしているのなら、俺は絶対に負ける気がしない。


 そんな奴に千華さんを渡したくない。


 慎司さんとの通話を終えた俺は、足を抱えながらソファーに座り込んだ千華さんに視線を向けた。


 いつもの愛らしい笑顔はなく、無表情のまま一点をジッと見つめていた。


「千華さん、大丈夫? 何かあったかい物でも飲む?」

「崇さん……。ううん、大丈夫。心配かけてごめんね」


 綻ぶように笑みを浮かべていたが、長いまつ毛に付いた涙の粒が彼女の苦悩を物語っていた。


 やっぱり恐いよな……できることなら会いたくなかった人間だろう。


 俺は小さく縮こまった彼女の身体を抱き締めて、頬を押し潰した。


「大丈夫、俺がちゃんと守るから」

「——ありがとう、大丈夫だよ。崇さんが傍にいてくれるだけで、どれだけ救われているか」


 おそらく春樹さんは、言葉巧みに女性を誑し込むことには長けているが、自分で行動することができない小心者のはずだ。


 だからどんなに千華さんとセックスをしたくても一線を越えられなかったし、よりを戻す時にも電話でしかアプローチをすることができなかったのだ。


 それに対して俺は、永吉先輩の時に男三人から千華さんを守った実績があるのだ。所詮永吉先輩と馬鹿にされるかもしれないが、喧嘩すらしたことがなかった俺にとっては、貴重な体験となったのだ。


 ——とはいえ、問題は対面する場所だろう。

 直接相手の家を訪問するのは分が悪いだろうし、かといって招待するのも違う気がするし、相手が出没しそうな場所に待ち伏せるか?


 すると千華さんは思いついたようにポンっと手を叩いた。


「赤江に呼び出してもらおう? きっと赤江なら喜んで春樹に会わせてくれるはず」

「え、赤江さんを経由して会うん?」

「だってそれが一番じゃない?」


 そうかもしれないけれど、その発想はなかったので驚きを隠せずにいた。


 いや、どんなシチュエーションであれ、千華さんを全力で守るのみだ。


 結局俺達は赤江さんの協力を得て、春樹さんに成敗ができるように頑張ると誓い、千華さんに未来を託すこととなった。


 ・・・……★


またしても短い公開でスイマセン💦

最近、眠くて眠くて……敵いません(>人<;)春過ぎたのに……


春樹との対面敵わず。

しかも会うまでの経緯を考えていなかったのでグダグダで申し訳ないですm(_ _)m

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