第22話 やっぱり永吉はクズだった
慎司視点……★
「永吉達、まーだ中止の連絡入れないねー。本当にこのまま結婚するんかなー?」
「さぁ、するんじゃない? でもね慎司さん。クズはクズ同士でくっついてくれた方が世界の為なんだよ」
動画の編集の為に久々に羽織ちゃんと透子さんと俺の三人で自宅に集まったのだが、意地悪な笑みを浮かべながら微笑む羽織ちゃんに、胸がバクバク騒がしくなった。
いつ見ても可愛い、キュートだよ羽織ちゃん!
そんな情けなくて緩み切った顔を晒していた俺に、透子さんは遠慮なくぶった斬ってきた。
「このリア充共め……っ、付き合うならさっさと付き合え。その甘ったるい空気に当てられる人間の気持ちも考えろ、クソ野郎共め」
いやいやー、さっさと付き合えリア充って言われても、これは双方の気持ちが大事であって、俺だけが付き合いたいと思っても無理であってー……。
でも羽織ちゃんもその気なら、俺はいつでも大歓迎なのだが。
「透子さん、おかしいこと言わないでよー。私と慎司さんはそんなんじゃないし、そもそも好みじゃないから有り得ないし」
「あ、そうなんだ」
「うん、私はもっと硬派な男性の方が好みなんだよねー。慎司さんはちょっと軽過ぎるかなー」
え、マジで⁉︎
あまりにも唐突な失恋に、思わず目を見開いて羽織ちゃんを見てしまった。
俺は論外?
「崇さんから『慎司さんは良い人なんだけど、デリカシーに欠けるから気をつけて』って言われていたんだよね。まぁ、私もその点に関しては同意見だったし」
「いやいや、俺、好きな子にはメチャクチャ真面目だよ? だからもう少しちゃんと検討してくれてもいいと思うんだけど⁉︎」
「慎司、諦めろ。私もあんたは軽薄過ぎると思っていたんだよ。もっと精進してからにしろって。ほら、断食とか、生き仏とか、即身仏になったら悟れるんじゃないか?」
即身仏って、俺を勝手に殺すな、コンチクショー!
毒舌すぎる透子さんに呆気羅漢と笑う羽織ちゃん。
1%の隙もない現状だったが、この三人で集まるのは嫌いではなかった。結婚式が終わってしまったらチームが解散してしまうのが寂しいくらいだ。
「そういえば、永吉の友人に池野ってやつがいただろう? やっとそいつに結婚式の愚痴をこぼし始めたそうだぞ?」
「え、やっとー⁉︎」
どんな愚痴をこぼしたのだろうと気になったが、透子さんは首を傾げて顔を顰め続けていた。
「もしかしてよくない感じなの?」
「——永吉の野郎、婚約者を誘惑した腹いせに、田中くんを訴えるって話していたみたい」
それは、またしても頭が痛くなる案件だ。
自分達で勝手に来て、一方的に喚いているだけなのに、これで崇が痛い目を遭うようだったら、救いようがないなと苦笑を溢していた。
「それと……ねぇ、これってさー……犯罪の匂いがプンプンするんだけど、止めるべき?」
「犯罪の匂い? 透子さん、何を今更。もう既に犯罪臭は満載だ——……」
かつて利用していた人物に協力して貰って、横流しをしてもらっていたグループチャットの内容だったが、そこに目を疑うような文章が残っていた。
『田中の野郎、俺達を不幸にしたくせに一丁前に彼女がいるらしい。あんな底辺と付き合う女の程度なんて底が知れてるはずだ。せっかくなら皆で奪わないか?』
この奪うって、どういう意味だろう?
一瞬、嫌な予感が脳裏を掠めたが、流石にそれはないだろうと頭を振った。
いやいや、流石になぁ……?
だが、期待を裏切るかのように永吉が言葉を残してきた。
『奪ってやろうぜ! だって俺は田中から雪世を寝とった男だぜ? きっと田中の彼女も俺のテクニックに溺れるに違いない』
————いやいやいやいや! ふざけるな、アイツらが決行に移す前に俺達で守らなければ!
それにしても過去の偉業っていうのは、本当に厄介だと痛感した。そもそも偉業どころか、最初から仕組まれた出来レースだったかもしれないが。それでまお世辞にもかっこいいとは言い難いが、雪世寝取り成功の事実が今の永吉を作っているのだろう。
「この書き込み、崇にも教えてやらねぇとヤバいな」
だが、時はすでに遅し。
もう千華ちゃんの元に悪の手が伸びようとしていた。
———……★
やはり執筆した当初、あまりの眠気に文章がおかしいところが多々有りましたので、訂正をしたしました。本当に申し訳ございませんm(_ _)m💦
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