第10話 まだ私に未練があるんだ(勘違い)
雪世視点……★
「え、私達の結婚式に田中くんが来るの?」
「そうなんだよ。たまたま慎司に会ってさ。まだ雪世のことを引き摺ってるらしいけど、大好きな元カノの門出を祝うために出席するって。お前、愛されてるなー」
まさか元カレである田中くんが、私達の結婚式を祝ってくれるなんて思ってもいなかった。
もしかして「雪世は俺の彼女だ! お前なんかに渡さない!」って、略奪に来たりするのかな?
「ネチッこい前戯ばかりする気持ち悪い人だったけど、そうなんだぁ♡」
随分前に別れたのに、いまだに私のことを思い続けているなんて、意外と可愛いところがあるじゃない。
ダサかったし、性格も馬鹿真面目だし、何よりも将来性がなくて見切りをつけたけれど、アッシーとして貢がせてあげてもいいかなって考えたり。私ってモテ女って感じじゃない?
だって、そんなに私のことが好きならば、かまってあげたほうが幸せでしょ?
「おいおいおい、雪世ー。もしかして田中のことを思い出してセンチメンタルになってるんじゃないよな?」
「そんなことないよォ。私は
田中くんと付き合って一ヶ月が経とうとしていた頃。中々手を出してこない彼にイライラし始めていた時に今の彼氏、永吉丈太郎に声を掛けられたのだ。
「雪世みたいな魅惑的な女性を前にして手を出さないなんて、男として情けない奴だな。俺なら秒でベッドに押し倒して嬲るというのに」
情熱的な口説き文句に、雷で打たれたような衝撃を覚えた。そして私は丈太郎と濃密な夜を共にし、心身共々彼の虜となったのだ。
淡白な田中くんとは対照的な丈太郎。
すっかり彼の色に染まってしまった私だったけれど、毎日肉ばかりじゃ飽きてしまうのが人間の
私は丈太郎と結婚して人妻になってしまうけれど、忠実なパブロフバター犬として会うのは……いいんじゃない?
(大切に想っているのは丈太郎。でも、田中くんが私に未練を残しているなら仕方ないんじゃないかなァ? 世の中には元カレと友達になって遊ぶ人もいるんだし……)
「ねぇ、丈太郎。田中くんって、まだ前のアパートに住んでいるのかな?」
「そうなんじゃないか? 仕事も変わってないし、貧乏で金もないから引っ越す余裕もないんじゃねぇ?」
「それならさぁ、今度一緒に会いに行ってあげない? だって私に未練のある男が式に出席するなんて怖すぎるよォ。私達の幸せな姿を見せつけてやって、心折ってあげたほうが優しさなんじゃないかな?」
すると丈太郎は目をキラキラと輝かせて「お前、天才か!」と称賛してくれた。
「雪世の言う通りだ。結婚式の前に今の俺たちの様子を見せつけてやって、間違いを起こさないように釘を刺してやろうか!」
こうして私達は田中くんの家を訪れる計画を立てた。
———……★
「はい、二匹様。クズクズホイホイにて捕獲ー」
5月20日付、★ありがとうございます
!
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そしてフォローや応援、コメントもありがとうございます!
今回は雪世視点でした。ヘイトが溜まります……(苦笑)
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