第14話 なぜ永吉を選んだのか、気にならないか?(セクハラ回)

 後日、N・Y・Z作戦の為に集まった俺達は、羽織さんから意外な事実を告げられた。


「いくらダサ男だからって、何で崇さんを振って永吉先輩を選んだのか、その理由を知りたくない?」

「——え? 理由があるん?」

「うん、雪世さんの友達から情報を仕入れたよ。私も意外とヤる子でしょ?」


 真っ白い歯を見せながら笑う羽織さんに、慎司さんはズキューンと胸を撃たれていた。

 いや、今は慎司さんの反応なんかよりも理由を知りたい。


「いやー、不思議には思っていたの。崇さんって隠れイケメンじゃん。原石みたいなもんだから、気付く女子はそのポテンシャルを見抜くと思うんだよねー。しかも相手はあのプクプク太郎の永吉丈太郎先輩でしょ? 確かにあの人はソコソコいい会社に勤めていて、将来は有望だけどー」


 羽織さんは少し歯切れ悪く、口籠もり始めた。

 何だ? 言いにくいことだろうか?


「——なのよ。そう……」

「え?」

「だから、その……ね? 男性の象徴がね」

「あのプクプク太郎、実は脱ぐとスゴいマッチョだったってこと?」

「そんなわけないでしょ! そのー……、うん、大きいらしいよ? アレが!」


 何故かよく分からないが、羽織さんが【アレ】と口にした瞬間、稲妻に打たれたような衝撃が走った。


 恥じらい女子って、いい……!


「え、大きいってこと? アソコが」

「う、うん。まぁね」


 恥じらいもなく口にする千華さんも、それはそれでいいけれど、今はそんなことを考えている場合ではないのだろう。


 それにしても、なんて同人的理由。

 もしそれが真実だとしたら、俺は本気で落ち込む。俺のはそんなにお粗末だったのか……。


 ネチネチ前戯野郎の上に祖チンとは、男としての自信がここぞとばかりに削がれてしまう。


「でもね、男性陣は知ってるか分からないけれど、女の人って使っていかないと緩くならないの。その……うぅ、待って、何で私はこんな話をしてるのかしら」

「は、羽織さん。無理しないでいいよ? 何となく分かる気はする。その……最初はキツいんだよね?」

「そう、最初はキツいの。よっぽどポークビッツでない限りは問題ないはずなのよ。そこで千華に聞いたけど、安心して? 崇さんは平均よ」


 ——平均。


 いや、その気遣い嬉しいよ?

 でもさー……、N・Y・Z作戦が進むにつれて被弾で葬られるは何故だろう?

 酷く心が抉られる。


「違うの、その……崇さんがどうのこうのじゃなくてね! つまり私が言いたいのは、雪世さんは崇さんと付き合う前から永吉先輩とデキていた可能性が高いと思うの!」


 ……は?

 どういう意味だ?


「もしかしたら他の可能性もあるんだけど、一番しっくりくる理由は永吉先輩と頻繁に逢瀬を重ねていたと思われるの! まさに身体の髄まで寝取られていたってわけ! だからユルユルだったんじゃないかと思われるの!」


 思わず先輩達の生々しい行為を想像してしまい、吐き気が込み上がってきた。


 いや、それが本当だとしたら最低にも程があるだろう?


「しかも……永吉先輩と仲が良かった人達の間で流行っていたグループチャットがあるんだけど、そこで崇さんのことを嘲笑うような会話が繰り広げられていたみたい。多分、このチャットは崇さんの慎司さんも知らなかったんじゃない?」


 知らぬが仏とは——この事なのだろうか?


 つまり永吉先輩と雪世は、初めから俺を馬鹿にする為に紹介したということになる。


「えー……? つまり、俺が耳にしていたネチネチ前戯野郎っていう悪口は、そのチャットで繰り広げられていた噂の一部ってこと?」

「おそらく。崇さんって仕事も丁寧だったし接客態度も良好だって評判だったみたい。だから一部の人に妬まれていて、その人達が憂さ晴らしをする為に仕組まれていたみたいよ?」


 なんて陰険なんだ。

 まるで鉛を流し込まれたかのように身体が重くなっていく。


「ちなみに慎司さん、あなたも色々書かれていたわよ? 残念イケメン、ウザいウルサい、調子に乗るな、黙れ猿って」

「え……っ、俺も⁉︎」


 慎司さんも悪い人ではないのだが、気持ちは分からなくもない。だが、それを実際に本人の知らないところで口にするのは違うと思う。


「確かに慎司さんはウザいし、余計な事ばかり言うお調子者だけど、影口叩くのは酷いな。羽織さん、そのグループチャットを利用していた人達は把握してる?」


 俺の質問に彼女はニッと笑みを浮かべ「任せて」と親指を立てた。


「もちろんよ! もっと私のことを有能だと褒め称えて? 知りたい情報は全部調査済みよ!」


 ———……★


「え、俺ってそんなにウザい? ウルサイ?」

「え、慎司さん。無自覚だったんですか? 日頃から俺が言ってるじゃないですか。これを機に反省した方がいいッスよ?」

「———はい、反省します」


 5月24日付、★ありがとうございます!


 @mayuta_ichigo様・@haizi18様


 ——そして慎司さん同様、私も反省。

 最近、小説が書けてません( ; ; )

 今日もかけなかった……orz

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