番外編/少し過去に遡る……

 時は少し遡り……永吉や雪世の問題が解決した頃。


 俺は慎司さんと同級生であり、尊敬する先輩、一之瀬いちのせこうさんに相談を持ちかけられていた。


「あのさ、実は慎司からいい話を持ちかけられたんだけど」


 慎司さんに?

 申し訳ないが悪い予感しかしない。


 絋さんはとても頼りになるし、いい先輩なのだが、お人好しというか騙されやすいというか、昔から慎司さんにいいように使われていた節がある。イケメン故に合コンの餌に呼ばれたり、他の野郎から絋さん目当ての女子を奪われたりなど日常茶飯事だった。


 とはいえ、話も聞かずに否定するのも良くないだろう。とりあえず内容を伺って、後から慎司さんを問い詰めようと耳を傾けた。


「慎司の知り合いにシェアハウスを始めた奴がいて、住人を探しているそうなんだ。モニターを兼ねて最初は低価格で募集しているみたいなんだけど、崇と千華さんでどうかなと思って」

「シェアハウスですか?」


 思ったよりもまともな内容だが、信じてもいいのだろうか? いや、慎司さんのことだから鵜呑みにするのは禁物だ。


「いやな、俺も実は杏樹さんと付き合うことになったんだけど、今の部屋じゃ狭すぎて可哀想な思いをさせているんだ。だから引っ越しをかんがえていたんだけど、俺、今、無職だろう?」

「あ、あぁ、そうですね」


 ツッコミづらいです、絋さん。

 そう、絋さんは元社畜の現在無職。なのに自殺寸前だった女子高生(美少女)を家に居候させているのだ。


 色々ツッコミどころが満載なのは否定できない。だが絋さんはそういう人なのだ。


「崇なら色々と安心だし、杏樹さんも気心しれた同性の人が近くにいたら安心だと思うんだ。どうかな?」

「まぁ、俺も永吉達の襲撃を受けて引っ越しを検討していたので、願ったり叶ったりなんですが、いいんですか? 付き合いたての時って、少しでもイチャイチャしたいもんじゃないんですか?」

「———なぁ、それなんだけど……杏樹さんって本当に俺に惚れてると思うか?」


 おっと、面倒臭い質問がきたぞ?


「きっと彼女は、助けてもらった恩義を返そうと、あえてそんなことを言ってるんじゃないかなって思っているんだ。そうでないと俺のような無職のオッサンを好きになるわけがないだろう?」


 そんなこと、俺が知るわけないだろう?

「そんなことないですよ」しか言えないよ、絋さんは先輩なんだから。


「それにあんな心に傷を負った子に手を出せるわけにもいかないだろう? けど二人きりじゃ、ほら……俺の理性も持たねぇし」

「俺と千華さんを歯止めにするつもりですか? もう少しオブラードに包んでください、絋先輩」


 慎司さんも大概だけど、絋さんもヒデェなー、もう! 何で俺の回りってロクな奴がいないんだ?


「頼む、崇くらいしか頼める奴がいないんだ! 俺もお前なら安心できるし」

「まぁ、俺にとってもいい話なんでいいですけど……」


 こうして俺と千華さんは、先輩である絋さんと彼女の杏樹さんと一緒にシェアハウスに住むこととなった。


 ———……★


 と、いうことで……崇と千華がスペシャルゲストとして登場する別作品。

 幸薄ダウナー系美少女を助けたら懐かれて、社畜から抱き枕にアップグレードされたようです - カクヨム https://kakuyomu.jp/works/16818093083805833698/episodes/16818093083810169476


 よろしければよろしくお願い致します!

 明日更新分の第二部からシェアハウス編を公開します。

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NTR彼女と別れてから出会った彼女が、とにかく可愛すぎて困ってます(ただし、少し不思議ちゃんな模様) 中村 青 @nakamu-1224

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