概要
豊臣秀勝(豊臣秀吉の姉・ともの子。豊臣秀次の弟)と江(豊臣秀頼の母・茶々の妹)の子・完子は、まだ乳飲み子の頃に秀勝が病没し、結果、江が徳川秀忠に嫁入りすることになったため、江の手から離れ、茶々の養子、すなわち豊臣の子となった。
さらに秀次が侍女の中から推した女を乳母とし、完子は成長する。
秀次の乱行による切腹とその一族の処刑や、関ヶ原の戦いを経て、やがて茶々の差配により、完子は公家の名門・九条家の忠栄に嫁ぐことになる。
嫁入り前夜、豊臣家の身内だけの宴が催され、乳母は、秀頼のことを父の関白によく似ていると褒めそやす。
直後、乳母は死体で発見される。
完子の愛猫がその死体の手を舐めているところを、秀頼が発見したのだ。
十年後、乳母の怪死事件に居合わ
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- ★★★ Excellent!!!想って、狂って、散って…………そして
―― 豊臣秀頼は本当は誰の子なのか?
戦国ファンの方も、そうでない方も、当時の面々を思い浮かべながら、そのミステリーに思いを巡らせた事があるのではないでしょうか。
この物語は、豊臣家にまつわる子どもたちの人生に触れながら、秀頼誕生そして豊臣家滅亡の真相に迫ります。
とにかく、人物たちの描き出し方が実に見事で、豊臣秀頼、茶々をはじめとした登場人物達の、これまでの人物像にとらわれない構成に唸らされること間違いなしです。
私は、それぞれの嫉妬、劣等感、プレッシャー、愛情が狂気に変貌するさまを、そして、彼らの見込みがはずれたりはずれなかったりで狂っていく運命を、ハラハラドキドキしながら読み進…続きを読む - ★★★ Excellent!!!その血の呪い、その運命の呪い。
親から子に引き継がれる呪いってあると思いませんか? 例えば、虐待された子供は自分の子供も虐待するなんて言いますよね。あるいは一部の精神疾患は遺伝する可能性も示唆されています。親が狂ったから子も狂うのでは? これも血の、運命の呪いですね。
本作『豊臣の子』は、そんな親から子に受け継がれる呪いを物語った、歴史小説の傑作です。タイトルの通り、豊臣秀吉の子、一族の物語。
ある乳母の死をきっかけに、豊臣家の当主が発狂し……?
物語は最初、豊臣家の当主秀頼が発狂した理由を探るミステリーとして始まります。やがて中盤、この謎に決着がつくと、今度は新たな問題が発生、そして物語は大阪の陣へと移っていきま…続きを読む - ★★★ Excellent!!!キャッチコピーに偽りなし! 重厚で切ない歴史×ミステリ長編
ことの始まりは、乳母の死――豊臣秀勝と江の子・完子が、公家の名門・九条家の忠栄に嫁ぐ前夜に起きた、完子の乳母の突然死でした。
死体の第一発見者であり、完子の義理の兄である少年・豊臣秀頼は、そのとき遺体のそばで、完子の愛猫を目撃しています。
乳母の死の謎が解明されないまま、十年の月日がたち、完子の愛猫も死んだとき。秀頼は「人を斬りたい」という願望を口にするようになります。
完子の夫・忠栄は、秀頼の振る舞いが徳川家との関係に与える影響を憂慮し、「秀頼の乱行は、十年前の怪死事件が関わっている」と睨み、完子と共に謎の解明へ乗り出します。
しかし、一見シンプルな一人の女の死の陰には、眩暈がするほど大勢…続きを読む