血の呪縛と血の祝福を描き切った、愛憎に満ちた物語

「みんな狂っている」というフレーズ、これは偽りなしです。
血。これの存続に狂奔する人々。
自分の親は誰か、子は誰か。
誰が真実を知り、誰が妄想を信じるのか。
過酷な環境に狂わされ、自らの血族の存続に狂おしくなり、己が為したことに狂う。
時は戦国時代も末期、世は収束に向かい締め上げられ、はみ出た者は悲鳴を上げる。
そんな、歴史の狭間でもがく人々の物語。
でも、ご安心ください。
最期の1話まで読み終えたなら、きっとそこに暖かさを見出せると思います。
まるで、難産に苦しんだ末に生み出された、新しき時代に産声を上げられた新生児のように。

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