人物の描写が濃厚で、かつスリリングな展開
- ★★★ Excellent!!!
元々デリカテッセン38さんからの紹介で四谷軒さまの事を知りました。
文章の素晴らしさ、展開の持っていき方、内容の濃厚さなどあらゆる面で圧倒されました。
第一部の段階では、テーマである「狂ってる」ってどういう事なんだろ?、乳母の死の真相はなんなんなのだろうか?その様な事を頭で巡らせながら読み進んでいました。
完子、忠栄、そしてそれを取り巻く人々の人物像を楽しめました。
そして第二部になりいよいよ様々な事が見え始め、この様な濃厚な事が渦巻いていたのか!!という展開に一気に惹きつけられました。
そして、「狂ってる」とはこういう事なのか!と各々の「狂ってる」は解凍していきどんどん引き込まれました。
二部に揺り動かされる為の一部のしっかりとした下地があると感じました。
そしてメインとして出てくるわけではない秀吉や家康の凄みや存在感が非常に迫力がありました。
ああ、こうやって緊張感や凄みを出すものなのだなと、また「いや〜凄いなぁ」と時折自身から独り言を呟くほどでした。
そして物語の臨場感に、より誘われていきました。
江の人間らしさも面白かったですし、茶々の美しさや立ち回り、またやむを得ない状況。
秀頼の立場ある者の苦しさやしがらみ、ルーツ、そこからくる乱行。
2部で一気により没頭させられました。
また、時折出てくる男性陣の都合よく(楽な方向?、良い方向?)考えるという思考が表現されており、まるでこちらに「男性とは」というのが主張されているみたいで、印象深かったでした。
今は3部の始めの方を読んでいるのですが、今後の話を非常に楽しみにしながら読ませていただいてます。
追記)3部に入り、一部のシーンでの家康や茶々の変わり様の描き方が素晴らしかったです。圧倒的に見える人間でさえ時には小さく見えるというか。
お家ものでありつつも、信繁と家康の戦シーンもしっかり揺り動かされるものがありました。
そして、実は秀頼は茶々の子であるどんでん返し。
と、ここに来て真田十勇士の登場も良かったです。
修理の深さと意気。
修理と茶々の最後は幸と不幸、物悲しくも美しい光景。
完子を初め様々な人々のおさまり方、ハッピーエンドとは言えないけれど、良かったなぁという気分になりました。
小松姫が半蔵に向けて話すシーンもカッコよかったです。
秀頼が縁のあるものたちに会う下りはそうあって欲しいなぁと思いました。
2部と3部ではまた状況も人物像も一変して、それでいて自然で、人間というものを堪能させていただきました!