冒頭からの引きが物凄いです。どんどん引き込まれていきます。
小樽で起きた凄惨な事故、記憶を取り戻すために再び因縁の場所に降り立つ主人公。そこで出会った人々。真実と思っていた偽り、忘れていた秘密……。
散りばめられた謎と少しずつ明らかになる真実、そこに至るまでのミスリードを誘う文脈、すべてが魅せられます! 小樽の街を舞台にした物語は人々の描写も生き生きとしていて、雪の様々な表情が美しく描かれています。それとシンクロするような、血濡れた回想がなんとも幻想的で……!!
すべてが明らかになったあと、その余韻を噛み締めて読み直すと、また違った顔が現れてくるような気がします。
本当に素晴らしい、特にこの時期に読むとさらに情緒深い気持ちになります。読ませてもらって、ありがとうございます……!!
こんなに心揺り動かされるヒューマンドラマに出会えてよかった!
エンディングまで読んだとき、必ずそう感じる感動巨編です!
最初こそユニークで個性的すぎる登場人物たちを前に、主人公といっしょに叫び出しそうになります。逃げたくなるかもしれません。
けど、そんなユニークな方々に徐々に救われていって、中盤にはなくてはならない人たちだって思わせてくれます。とにかく優しく温かいんです!
主人公に感情移入させるというか、読者を物語の中に引っ張ってくるのが凄く上手で、終始主人公と同じように感情を揺さぶられてしまいました!
この物語は、ぜひ最後まで読んでほしいです。主人公の成長を描ききっており、伏線の回収もとても見事で、エンディングに近付いてくるときにはもう、みんなとの絆を肌で感じることができて、涙が溢れてきます!
全てを解決した後のラストはもう、感動のあまり視界がぼやけること必須のカタルシスを味わえること請け合いです!
こんなに泣けるヒューマンドラマ、久しぶりに出会えました!
読み終えたら、一冊の本という形で持っていたいなって思えるほど愛着が湧き出る素敵な物語だと思えるはずです。
冬の小樽、凄惨な交通事故で恋人と記憶を失った凛は再びその地を訪れる。そこで無気力と絶望に苛まれた彼女を迎えたのは個性が豊かすぎる面々、必要以上に賑やかでお節介な彼らとの日々が少しずつ凛の心を溶かしていく――――
というありがちなテレビドラマみたいなお話だと思っていましたよ、私は。少なくとも最初の10話くらいまでは。
でも次第に「おや?」と違和感に気づくのです。さっきまで賑やかにしていた人達が垣間見せるその裏側に、軽薄なセクハラ野郎だと思った男の真摯な横顔に、ほんの少しずつ記憶が戻っていく凛が抱える闇の深さに。
これは何か違うぞ、誰も彼も秘密を抱えているんじゃないか? この子の過去とは一体? と感じ取った頃にはもうすっかりこの物語に魅了されています。誰もが途中で気づくでしょう、読者が感じた違和感は全て計算された伏線で、何もかもが一つに繋がっているのです。
ミステリー好きの方にはたっぷりの伏線とミスリードを、ドラマ好きの方には濃いキャラクターを、恋愛好きの方には試練とハッピーエンドを。
ひと捻りもふた捻りも入った珠玉の物語、是非お手に取ってご覧ください!
私は今、読後の余韻をそのままにこのレビューを書いている。心を大きく揺さぶられて書かなければならない、という気持ちになったからだ。
しかし、この作品の魅力を伝えるのは非常に難しい。なぜなら、綿密に練られた一本のストーリーを最後まで読むことで、初めてこの感動へと辿り着くことができるからだ。
それでも何とかこの魅力を伝えるとするならば。何より秀でているのは、そのストーリー構成と散りばめられた伏線回収の手腕だと思う。章を隔てるごとに新たな事実が明らかとなり、物語の見え方が大きく変わっていく。同じ景色であっても、見る角度によっては全くの別物になるのと同じ理屈だ。
世界の見え方が変わった時、「なるほど」と声を上げ、「そういうことだったのか」と納得する一方で、「では、あそこはどうなのか?」という新たな疑問が生まれてくる。そしてこれらの疑問は、章が進むごとに順次明らかとなっていく。このバランスが絶妙で、続きが気になって仕方ない。
そしてクライマックスにおける心を揺さぶるような盛り上がり。
最後まで読み終えた今、私はとても心地の良い余韻に浸れている。
ヒューマンドラマでありながら、サスペンスやミステリー要素も盛り込まれた傑作です。
意外な展開が続き、ページをめくる手がとまらず一気読みしてしまいました。
ウェブ小説で、こんなにも素晴らしい作品に出会えるとは……。
大きな傷を負った主人公の凛が、少しずつ、自分の人生や周囲の人々との絆を再発見していく様子が、北海道の季節感あふれる風景の中で、切なく、美しく、描かれています。
人によっては辛いシーンもありますが、最後には大きな感動が待っています。
凛とともに、作中の喫茶店「お散歩」を訪れて、この心に残る再生の物語をぜひあなたも体験してみてください。
この作品の魅力をネタバレなしに伝える事は、なかなかに難しい。
私は2日間で、目をかっぴらいて読破した。最後の方はとくに、コメントするのも忘れ、むさぼるように読んだ。
それくらい面白い。
物語の冒頭は、交通事故にあい、プロポーズの最中であった恋人を失うシーンからはじまる。
ヒロインは、心身ともに深く傷つき、長く昏睡し、目覚めたら、高校生以降の記憶を失い、しかも、高校生の前の記憶も断片的なものになってしまった。
感情の起伏も失い、ただ、恋人と交通事故にあった地、北海道、小樽をめざす。
そこであったのはクセ強な人たち。やがて、そのクセ強な人たちの優しさにヒロインは癒され、ヒューマンドラマが………。
なぁんて、単純に、話が進むもんかい!!
この物語は、ヒューマンドラマであり、ラブロマンスであり、そしてサスペンス、ミステリーである。
読み進めるうちに、違和感……。
違和感……。
何かが、おかしい……?
と、読み進める手が止まらなくなるのである。
私はこの物語のヒーロー、好きだなぁ。魅力的です。ヒロインが惚れる気持ち、よーくわかります。
で、ごめんね。
ネタバレを防ぐために、このレビューには、ひとつ、嘘をひそませてあります。
途中まで読めば、どこが嘘だったか、すぐにわかりますよ……、ククク……。
さあ、貴方も、今すぐ読んでみればよろしい。
最後に一点だけ、けっこう、女性に対しての暴力的な表現があります。
(物語において重要な意味があり、これを省いては、とある人物の関係性は語れない)
それが読むのが辛い読者さまには、おすすめできないかな。
白で視界を奪われた北海道の路上、ガードレールを突き破り崖を転落する自動車。
事故の記憶と共に目覚めた主人公の凛は、長い昏睡で衰弱した身体で、なおも北海道を目指す。
そんな悲壮な冒頭から始まる本作、冒頭からヒトクセもフタクセもある登場人物の目白押し。
ひょっとしたら最初は眉をひそめる場面もあるかもしれません。
ですが、これらには裏があり、その不審にすらも理由があったりもします。
物語は冒頭の事故を越えて過去に踏み込んで行きます。
読み進めるうちに、そこかしこに違和感を感じ、それは不穏な気配となって心を騒めかせます。
ですが、それらは事実を踏んで行くうちに、徐々に晴れて行くでしょう。
本物語では、その人の強い意思こそが、その人自身の世界を切り開く様子を見られると思います。
そしてそこには、自分の取り巻く環境への愛情が伴わなくてはならないことも。
自らの意思を捻じ曲げてしまい、結果として苦しむ様子。
そんな存在に対して、意思を持って手を差し伸べる様を。
ミステリアスな展開に様々な伏線、ダークな過去に希望を感じさせる未来。
クセツヨな登場人物たちは一転して秘めた愛情を示し、意外な動機が詳らかにされる。
極寒の冬の北海道から始まり、初夏の爽やかな北海道に至る再生の物語。
最期まで飽きさせない、素敵な物語です。