章が進むごとに見え方が変わる万華鏡のようなストーリー

私は今、読後の余韻をそのままにこのレビューを書いている。心を大きく揺さぶられて書かなければならない、という気持ちになったからだ。

しかし、この作品の魅力を伝えるのは非常に難しい。なぜなら、綿密に練られた一本のストーリーを最後まで読むことで、初めてこの感動へと辿り着くことができるからだ。

それでも何とかこの魅力を伝えるとするならば。何より秀でているのは、そのストーリー構成と散りばめられた伏線回収の手腕だと思う。章を隔てるごとに新たな事実が明らかとなり、物語の見え方が大きく変わっていく。同じ景色であっても、見る角度によっては全くの別物になるのと同じ理屈だ。

世界の見え方が変わった時、「なるほど」と声を上げ、「そういうことだったのか」と納得する一方で、「では、あそこはどうなのか?」という新たな疑問が生まれてくる。そしてこれらの疑問は、章が進むごとに順次明らかとなっていく。このバランスが絶妙で、続きが気になって仕方ない。

そしてクライマックスにおける心を揺さぶるような盛り上がり。
最後まで読み終えた今、私はとても心地の良い余韻に浸れている。

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