心の中の「雪」が溶けていくたびに、驚きと、怒りと、愛が生まれる。
- ★★★ Excellent!!!
小樽という、北の街。その街に、ひとりの女性――凜が訪れることによって、物語は始まります。
凜には記憶がありません。
翔という男性と同乗した車で事故に遭い、そして記憶を失ったのです。
バイト先の喫茶店の店長、通う自動車学校の教官、看護師、元・極道……いろんな人たちがいます。
そして、凜に対して容赦がありません……良くも、悪くも。
特に自動車学校の教官の平野拓海のやることは、凛に対してセクハラというかいじめというか、これでいいのかと思うほどの真似をしてきます。
……でも、でもです。
読み進んで下さい、凜の記憶を覆う「雪」が少しずつ、少しずつ、取り払われていきます。
それが取り払われた時、拓海やみんながやっていたことは……。
そしてさらに「雪」は取り払われていきます。
取り払われていくたびに、凛にも拓海たちにも、そして読んでいる私たちにも驚きがあります。
怒りがあります。
しかし、最後の最後。
そこには愛があります。
雪がやんで、晴れ渡る空のような、愛が。
ぜひ、ご一読を。