魔法もからんだ、ファンタジー世界の推理ものです。
語り手であり、探偵役は、艶っぽい美女、執事であるファルナミアン。
丁寧な語り口で、落ち着いて物語を読むことができます。
ファルナミアンは、女性魔導士リュライアに仕えている。もうひとつの秘密の顔は、猫の姿の、リュライアの使い魔。
リュライアの姪にして、魔導学院の女生徒、クラウが、おもに問題を持ち込んでくる。
クラウはやる時はやるんだけど、いろんな事件に首をつっこんでしまうところがあり、リュライアはいつも頭を抱えている。
「ファルナミアンにお任せあれ」
このセリフとともに、美しい執事、ファルナミアンが、こんがらがった事件を紐解いていく。
大事件から、日常のちいさな事件まで。トリックが随所に光り、推理モノの面白さを存分に味わえます。
頻繁にさしこまれる珈琲がとにかく美味しそうで。
珈琲タイムに、ゆったり読書と洒落込みたい。
そんな物語です。
※百合です。美しいファルナミアンとリュライアは〝とっても仲良し〟です。
主人公のファルナミアンは、語り部の「猫」であり、リュライア様に仕える女執事でもあります。「猫」から「執事」への変身が物語のコミカルさでもあり、ミステリー要素でもあります。
ストーリー展開は、リュライア様の姪であるクラウが持ち込む「厄介事」を、ファルナミアンとリュライア様が解決する形で進行していく、「日常の謎」に近い構成に思います。
猫と執事という立場を自在に使い分ける主人公の活躍と、周囲の人間関係を巡る知的なやり取りがテンポよく進んでいくので、ライトにミステリーを楽しみたい方にお薦めしたい1作です!
珈琲の香りが立ち込めるサロンで、語られるのは一通の恋文をめぐる優雅な小騒動――
そう思って読み始めたところ、意外や意外。これは**“諜報の影が差す、精緻な推理喜劇”**だった。
メイド長ファルと魔導士リュライア様の名コンビによる、対話主体で進む物語はどこまでも洒脱。
主従の知的応酬にニヤリとし、クラウ様の奔放さに吹き出し、
そして最終盤、思いもよらぬ角度から“諜報員の可能性”が語られるとき、物語は驚くほど奥行きを帯びる。
コメディとして笑えて、ミステリとして驚けて、
キャラクターたちをもっと知りたくなる、まさに香り高くも深い一杯。
使い魔の猫の姿と、女執事の姿。二つを使い分けるファルナミアンが、うっとりため息をつきたくなるほど優雅です。そんな彼女を主人公に据えたこの物語の、なんと美しいこと。読めば読むほど世界に飲み込まれて、自分自身もなんだか優雅になった気分に浸れます。
もちろん見た目や所作だけが優雅というわけではありません。ジャンルをミステリーにしている本作は、その解決方法も華麗。ファルナミアンが鮮やかに問題を解決する様に惚れ惚れすること間違いなしです。
事件が起こるということはその事件を持ち込む者がいるわけですが、本作ではファルナミアンの主人の姪、僕っ娘のクラウがそれを担っています。一見無邪気な少女かと思われますが、その魔法の才は素晴らしい!
読み応えのある良作です。ぜひお読みください。
最新話まで拝読してのレビューです。
希代の女性魔導士と、彼女に仕える使い魔にして執事の女性が紡ぐ物語です。
執事のイメージといえば、なのですが、本作では執事の姿の時は「無駄に艶っぽい美人」、使い魔としての姿は猫という設定です。
物語は「珈琲●杯目」(●に数字が入る)という形で短くて4話、長くて20話程度で構成されています。
ジャンルこそ異世界ファンタジーですが、異世界での謎解きが物語の核になっています。
謎解き部分は飽きさせない工夫が随所に見られます。
女主人と執事の掛け合いも絶妙で、いわば本作も女性バディものです。
この二人が思わぬ解決策を見つけ出してくる展開にわくわくさせられます。
殺伐としたところがないのも魅力の一つでしょう。
ミステリーなのでいろいろ書くとネタバレになってしまうため、ぜひそれは本作を読んで確かめてみてください。
また、作者さんの異世界ファンタジーの代表作『魔剣はもっと冷酷な』が重厚なファンタジーなら、本作は軽快なファンタジーと言えるでしょう。
一話辺りのボリュームも短めで読みやすいですよ。
ぜひ本作の魅力に触れてみてください。
執事といっても白い髭のおじいさんではありません。メッチャ可愛い女の子です。見た目は。
というのも、使い魔の猫ちゃんが、女主人の魔法によってそうなっているようです。
……こんな風に言うと、魔法を使って何かをするとか、戦うとか、そういうお話を想像するかもしれませんが、さにあらず。
女主人の姪がトラブル巻き込まれ体質なのか、そういう風にやって来たトラブルをシューティングするお話です。
このシューティング、解決する方法が、単純に魔法を使うのではなく、知恵を用いるところが、このお話の深いところです。
単に解決方法を思いついても、それをストレートに開示するのではなく、敢えて変化球を投げます。
なんで投げるかというと、読み終えてからわかるのですが、その方が「落ち着く」からです。
なんだかふわっとした紹介になってますが、具体的なところは、やっぱり読んで欲しいから、こういう書き方をしています^^;
なんというのでしょう、マジカルで美人なホームズものというか、そんな感じです(なんて言い方だ)!
そうです、猫ちゃんカワイイだし、女主人リュライアさまの狼狽えるところも萌えです。
ポンコツな姪、クラウさんのポンコツぶりも、なんかふふっとしちゃうポンコツっぷりです♪
ぜひ、ご一読を。