第2章 幼馴染とのドキドキお泊り会

第38話 幼馴染と大型連休

「それでは今日の朝礼は以上です。それと、もうすぐ大型連休のゴールデンウィークがやってきますが、気を抜かないように。以上です」

「起立。礼」

「ありがとうございました」


 テーマパークでの澪ねぇちゃんとの一件から約2週間ほと経った今日。朝礼で、担任である澪ねぇちゃんからそんな話がされ、ふと考える。


(もうゴールデンウィークか‥‥。特に用事はないけど、澪ねぇちゃんは何かあったりするのかな?)


「わたるー。お前、ゴールデンウィーク、なんか用事あったりすんのか?」

「紅葉か。ちょうど今、俺もそれについて考えてたところだよ」


 そんなことを考えていると、クラスメイトの日暮 紅葉に声をかけられる。あの日以来、俺と紅葉はお互いを下の名前で呼び合うようになった。これと言って示し合わせたわけではないが、俺がそうしたいと思ったから。紅葉も、気づけば俺に合わせて、俺のことを下の名前で呼ぶようになっていた。


「やっぱり日向先生と、出かけたりすんのか?」

「どうだろう。先生って、こういう大型連休でも仕事してるイメージがあるし、もしかしたらそんな暇ないかも」

「なるほどな。そん時は、俺に連絡しろよ。いつでも相手してやるからな」

「お前は暁がいるだろ」


 そんな冗談を言い合いながら、俺は改めてゴールデンウィークの過ごし方について考える。


(澪ねぇちゃんのことだし、なにかしら理由付けて俺の家に突然やって来たりはしそうなんだよなぁ‥‥。けど、仕事もあるだろうし、そんな暇ないかもな。とりあえず、昼休みに聞いてみよう)


 少しブルーな気分になりながらも、俺は昼休みに澪ねぇちゃんに、ゴールデンウィークについて聞くことを決め、授業の準備に取り掛かった。



「航くん、もうすぐゴールデンウィークだね」

「そうだね」

「どこに遊びに行こうか」

「朝、自分で気を抜かないようにって言ってたのに、めっちゃ気抜いてない?」


 昼休み。いつものように空き教室でお互いに弁当を広げているときに、澪ねぇちゃんが緩み切った表情で、ゴールデンウィークについて切り出してきた。


「だって大型連休だよ!? 遊びに行かないと損じゃん!」

「澪ねぇちゃん、お仕事、あるんじゃないの?」

「そりゃ多少はあるけど! そんな話より楽しい話したいじゃん! せっかくのお昼休みなんだし!」


 ふんす! と効果音が付きそうなくらい張り切っている澪ねぇちゃん。どうやらかなりゴールデンウィークを楽しみにしている様子。


「まぁそうだね。せっかくの大型連休だし、普段できないことをしたいよね」

「でしょでしょ? 遠いところに旅行して、旅館とかに泊まって、そしてあわよくば‥‥」

「澪ねぇちゃん。さすがにそんなことにはならないから安心して」

「意気地なし!」


 観覧車でキスをしてからというもの、澪ねぇちゃんは前よりもっと積極的になってきた気がする。その期待にはまだ応えられないし、ちょっと申し訳なさも感じるけど、こればっかりは許してほしい。


「まぁ、ゴールデンウィークの予定はまた考えるとして、とりあえず今は、その楽しみのためにも、授業とか仕事とかお互いに頑張ろう。そうすれば、より一層楽しめるだろうしね」

「わかった! 私も、たくさん調べてみるよ。仕事もできるだけ、連休中の仕事が減るように頑張る!」


 とりあえず、この場はこれでお開きとし、各々で連休の予定について考えることにした。

 今朝は、澪ねぇちゃんの仕事の都合で、大きいことはあまり出来ないかもと思っていたけど、これなら大丈夫そうだ。それは素直に嬉しいし、俺自身もかなりゴールデンウィークが楽しみになってきた。

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