第34話 幼馴染と誘惑
「澪ねぇちゃん、これ、かなり恥ずかしいよ‥‥。やっぱりやめていい?」
「だーめ。体調悪い人は大人しくしてなさい」
「だからって膝枕する必要なんてなくない‥‥?」
テーマパーク内のベンチで、俺は澪ねぇちゃんの太ももの感触を感じながら、襲ってくる羞恥心に耐え続ける。
今日は、澪ねぇちゃんがロングスカートを履いているから、直接肌の感触を味わうことはないが、それでも太ももの柔らかさを感じるには十分すぎるわけで‥‥。
「ほら、頭も撫でてあげるわ」
しかも澪ねぇちゃんに頭を撫でられる始末。問題はそれだけじゃない。
(なんかさっきからすごくいい匂いするんですけど?! 女の人って、こんなにいい匂いするもんなの?! なんか、余計頭クラクラしてきたかも‥‥)
澪ねぇちゃんと触れ合っているせいで、さっきから澪ねぇちゃんから漂っている女性特有の甘い匂いが、俺の鼻腔をくすぐっている。女の人とここまで密着した経験がないから、その甘い匂いのせいで、なんだか余計体調が悪くなっているような気がする‥‥。
「澪ねぇちゃん、もう大丈夫だk――――」
『もう大丈夫だから』そう言おうとして、澪ねぇちゃんを見上げた瞬間、俺の目には、澪ねぇちゃんの胸に立派に実った二つの果実が飛び込んでくる。
(うわっ?! ‥‥あっぶね、あれは見ちゃダメなものだ)
「どうしたの航くん? 何か言いかけた?」
「いや、なんでもない。だいじょうぶっ?!」
俺が言い終わる瞬間、突如として頭に柔らかい感触と、目の前に澪ねぇちゃんの顔が飛び込んでくる。おそらく澪ねぇちゃんが、前屈みになって俺の顔を覗き込んできているのだろう。そのせいで澪ねぇちゃんの綺麗な顔と、たわわの果実を同時に味わうというしふk‥‥拷問のようなことをされている。
「み、澪ねぇちゃん! 当たってるから!」
「うわっ?! ちょっと何するのよ~」
俺は慌てて、澪ねぇちゃんの顔を手で押しのけて、膝枕の状態から抜け出す。
「いや、澪ねぇちゃん! 当たってから!」
「当たってたって何が?」
うっわ、澪ねぇちゃん、すごい悪い顔してるよ。口も目もすっごいニヤニヤしてるし、絶対わざとだ。
「とにかく! もうこんなことしないからね!」
「あら、残念。でも、航くんにとっても悪くない時間だったでしょ?」
「そんなことない‥‥」
「別に強がらなくてもいいのに」
くすくすと笑いながら俺を煽ってくる澪ねぇちゃん。
そりゃ確かに、太もももすべすべしてたし、綺麗な顔を間近で見れたし、胸の感触もすっごく柔らかかったけども!
そんなの正直に言えるわけないでしょ!
「さぁて、もう航くんの体調も回復したし、お昼ご飯にしよっか」
「そうしよう。なんかどっと疲れてお腹空いたよ」
澪ねぇちゃんの提案に俺も賛同して、二人で食べるものを探すことにした。
「ん~! 美味しい!」
園内で買ったポップコーンを頬張りながら、澪ねぇちゃんは幸せそうに顔を緩ませている。
「すごく美味しそうに食べるね」
「だって実際すごく美味しいし! でも、これだけじゃ足りないなぁ‥‥あっ! チーズハットグだよ! あれ食べよ!」
「こういうところに来ると食欲が増すのは、誰でも一緒なのかなぁ‥‥」
子どものように目を輝かせて走っていく澪ねぇちゃんの後ろを追いかけながら、少し苦笑する。今だって首にポップコーンボックスをぶら下げているのに、そのポップコーンを食べ終わるより先に次の食べ物を買おうとしているんだから、その食欲の強さには脱帽だ。
「んふふ、おいひい!」
チーズハットグから伸びるチーズをこぼさないように、一生懸命パクつきながら、空いた手でポップコーンを頬張っている。その食べ合わせ美味しいのかな。って思うけど、澪ねぇちゃん曰く、甘いとしょっぱいが交互にくるから美味しい‥‥らしい。俺は試したことないから全然わかんないけど。
それにしてもすごい食べっぷりで、俺自身、その姿を見てるだけでかなりお腹いっぱいになってしまった。
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チーズハットグとポップコーンの食べ合わせは僕もしたことないですが、感覚的にはケーキとラーメンを同時に食べるようなものなんじゃないかなって思います。
つまり、そんなに美味しくないです(多分)
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