第27話 幼馴染と報告

「ふわぁあ」

「お、妖崎。おはようさん」

「妖崎くーん。こっちこっちー」


 朝、あくびをしながら自分の教室へ入ると、さっそく日暮と暁の2人に声をかけられる。


「2人とも早いな。どうしたんだ?」

「いや、昨日、お前たちと別れた後の話をしたくてさ」

「あぁ、なるほど。それについては俺も気になっていたことだし、日暮たちが自分から話してくれると言うのなら助かる」

「おう。お前には早めに話しておこうと思ってな」


 そう言うと、日暮と暁はお互いに目を合わせ、同時に幸せそうな笑みを浮かべる。

 何となく結果は予想出来たが、本人たちの口から聞かないと意味が無いだろう。


「それで、結局どうなったんだ?」


「俺たち、付き合うことになったぜ」

「私たち、付き合うことになりました!」


 2人で笑みを浮かべ、口を揃えて言う日暮と暁に、俺はつられて自然と笑顔になる。


「そっか。良かったな。おめでとう」

「おう。ありがとよ。これも、昨日お前たちとばったり出くわしたからだな。怪我の功名ってやつか?」

「でも、クレは全然言ってくれなかったじゃん。私から言い出したようなものだよ?」

「う、うるせーな。別にいいだろ」


 今までと同じように、痴話喧嘩を繰り広げる日暮と暁。けど、やっぱり今までと違うのは、2人から幸せのオーラが溢れ出ている。


「面白そうな話だな。今度、詳しく聞かせてくれよ」

「もちろん! クレの可愛いところいっぱいお話してあげる!」

「お、おい。あんまり変な事言うなよ!」


 暁の言葉に少し慌てた様子を見せる日暮。そのせいで、ますます暁の話が気になってくるのだが、今ここで詳しく聞くのも可哀想だし、今度暁にこっそり聞いてみよう。


 キーンコーンカーンコーン


 丁度いいタイミングで、朝礼の予鈴がなる。


「あ、私。そろそろ帰るね!」

「おう、また昼休みな」

「皆さん。自分の席に着いてください。朝礼を始めますよ」


 暁がその場で立ち上がったタイミングで、教室に澪ねぇちゃんが入ってくる。


「妖崎くん。澪ちゃんによろしくね」


 暁はそう言い残して、自分の教室へと帰っていく。言いたいことがあるなら自分で言えよな……。



「ってことで、日暮たちは付き合いだしたらしいよ」

「てことは、私たちがあの二人をくっつけた恋のキューピットってこと!?」

「別に俺たちはなんもしてないでしょ。むしろ、澪ねぇちゃんのせいで、あの二人が気まずくなってた可能性だってあるんだし」

「うぅ……それはごめんじゃんかよぉ…」


 昼休み、いつもの教室に集まった俺と澪ねぇちゃんは、お弁等を食べつつ、今日の朝の出来事について澪ねぇちゃんに話していた。


「あ、そういえば。暁が『澪ちゃんによろしくね』って言ってたぞ」

「あー、そっかぁ。私たちのことも暁さんたちにバレちゃってるもんねぇ」


「澪ちゃん」と呼ばれてることについては何も気にしないんだな。なんて考えつつ、俺は黙々と弁当を食べ進める。


『─────』


「「?!!!」」


 その時、近くの廊下から微かに足音が聞こえてくる。この場所は、普段の授業ではは使われない場所で、昼休みなどはめったに生徒が近づくなんてことはないのだが………。


(こっちに近づいてきてるな……)

(どどど、どうしよう!? こんなことしてるの見られたら、私たちどうなるかわかんないよ?!)


 俺たちは慌てながらも、息を潜め、足音が過ぎ去るのを待つ。音的に人数は2人、何やら会話をしているようだが、会話の内容までは聞こえない。


 そうして、段々と足音が近づき、俺たちの教室の前で足音が止まる。

 そして、教室前方のドアが勢いよく開かれる───


「お、いたいた。やっほー」

「澪ちゃんたち、やーっと見つけたよー!」


 そこに現れたのは、見慣れた2人組、さっきまで俺たちの話題の中心だった日暮と暁だった。

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