第57話 幼馴染と同棲17

「楽しみだなぁ、アミューズメント施設。何して遊ぼうかなぁ」

「いっぱい遊ぶぞー!」


 電車の中で、澪ねぇちゃんと暁はこれからのことに期待して、二人でキャッキャと盛り上がっている。まぁ、そのせいでまた電車内の視線を集めているんだけど‥‥。


「てか、アミューズメント施設って、いろんなスポーツができたりするところだよな?」

「あーまぁそんな感じだな。一応、ゲームセンターみたいなところはあるらしいけど」

「二人とも、スカートだったりワンピースだったり着てるけど大丈夫なのか?」

「あ、確かに‥‥」


 紅葉に指摘されて、俺ははっとする。確かに、スカートだったりワンピースだったりを着て運動するというのは、かなり難しいように感じる。


「なぁ二人とも。これからアミューズメントパークなのに、スカートとか着てて大丈夫なの? 運動しづらくない?」

「大丈夫! そもそも大丈夫じゃなかったら着てきてないし!」

「うん。だから心配しないでいいよ」


 紅葉が二人に心配そうな声をかけるが、二人はあっけらかんとした様子で答えている。まぁ、二人が大丈夫って言うなら大丈夫なのだろう。


「まぁ、それならいいんだけどよ。あ、そろそろ着くぞ」


 紅葉の声に従い、俺たちは電車から降りる準備を始める。


「澪ねぇちゃん気を付けてね。人多いからこけたりしないように」

「あ、うん。ありがと」


 俺は澪ねぇちゃんの手を取って、できるだけ澪ねぇちゃんを自分の近くに引き寄せる。


「おぉ‥‥お前、ほんとに付き合ってないんだよな?」

「え、うん。付き合ってないけど」

「その割には、なんというか彼氏力半端ないな‥‥」


 別に、こけないようにとかで、手を繋いだりするのは割と普通な気がするんだけど‥‥そんなに珍しいことなのかな。


「若葉‥‥俺、航には一生勝てる気がしないわ」

「私もそんな気がしてるよ‥‥」

「航くんって、本当に天然たらしだよね」


 いや、なんで澪ねぇちゃんはそっち側に立ってるの? 俺の味方してくれるところじゃないそれ?



「よし、着いたー!」

「遊ぶぞー!」


 アミューズメントパークで、受付を済ませた後、澪ねぇちゃんと暁は子供のようにはしゃぐ。てか、スカートとワンピースでなんであんなに走れるんだろう。走りづらそうにしか見えないんだけど。


「それにしても何して遊ぼうか」

「そうだなぁ。最初はアップがてら、軽いものにしとくか」

「じゃあバトミントンやろ!」


 俺たちは、バトミントンができるスペースへと移動し、それぞれラケットを手に持って、ラリーを始める。


「航くん、バトミントンの経験は?」

「体育の授業でやった程度かなぁ‥‥澪ねぇちゃんは?」

「実は私、高校の時はバトミントン部だったんだよね! だから結構自信はあるよ!」


 そうなのか‥‥それは初耳だ。澪ねぇちゃんの高校時代とか全然知らないし、当然と言えば当然なのかな。


「じゃー航くん、行くよー」

「おっけー」


 ネットを挟んだ反対側に立つ澪ねぇちゃんが、シャトルを持って俺に声をかけてくる。澪ねぇちゃんはバトミントン部だって言ってたけど、ラリーだし、そんなに本気で打ってきたりはしない‥‥よね?


「それじゃあ‥‥よいしょっ!!」

「はやっ?!」


 ヒュンっと風を切って、一瞬で俺の耳の横を通るシャトル。澪ねぇちゃん、めちゃくちゃ本気で打ってきてない?!


「澪ねぇちゃん速すぎない?!」

「アハハ、ごめんごめん。久しぶりだからつい張り切っちゃった」


 苦笑を浮かべながら謝ってくる澪ねぇちゃん。とりあえず顔とかに当たって、痛い思いだけはしないようにしよう。

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幼馴染のお姉さんが担任の先生になった 海野 流 @kai0319

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