第32話 幼馴染とテーマパーク(修正版)

「「着いたー!!」」


 地元の最寄り駅から電車を乗り継いでおよそ1時間。俺たちがやってきたのは、ここらじゃかなり人気のあるテーマパークだ。

 暁と澪ねぇちゃんは、かなり楽しみにしていたみたいで、さっきからずっとテンションが高い。今も、入り口の前で、二人で大きな声で叫んでいる。それと、元の二人の整った容姿も相まって、周りの視線を集めまくっている。頼むからやめてほしい。


「クレー! 妖崎くんー! 二人も一緒に写真撮ろうよ!」

「はいよー。ほら、行くぞ妖崎」

「ったく‥‥わかったよ」


 テーマパークの入り口で、ぶんぶんと手を振っている暁に呼ばれ、俺と日暮もその場へと向かう。そのまま、澪ねぇちゃんも含めた4人で写真を撮り、俺たちは園内へと向かう。受付でチケットを買い、園内マップを片手に、4人で中へと入る。


「ひろ~い。遊園地なんて何年ぶりかしら」

「ねぇねぇ! なに乗るなに乗る!?」

「落ち着けよ。時間はたくさんあるんだし、いろいろ見て回ろうぜ」


 澪ねぇちゃんと暁はかなりテンションが高くなっているようだ。それを宥める日暮も少しテンションが高くなっているようで、口角が上がっている。みんな、テーマパークに来て、興奮しているようだ。


「澪ちゃん! ジェットコースター乗らない?!」

「いこいこ! 楽しみ!」


 暁と澪ねぇちゃんは相当楽しみにしているようで、二人でどんどんと先に進んでいく。


「あ、待て。はぐれるなよー!」


 慌てたように二人の後を追いかける日暮。俺もそのあとを小走りで追いかける。もし、この広いテーマパーク内ではぐれたりしたら、合流するのは難しくなるだろう。迷子にならないようにしないと。



「ふんふふーん」

「ふんふふーん」


 ジェットコースターの待機列に並びながら鼻歌を歌っている暁と澪ねぇちゃん。気分上々な様子だ。


「あ、私たちの番が回ってきたよ!」


 そう言って我先にと機体へと乗り込む暁。


「ほら、日暮は暁の隣に座れよ」

「お、おう」


 そう言って俺が促すと、日暮はおそるおそるといった感じで暁の隣に座る。なんか、こいつにしては様子が変だな。


「じゃあ私たちも隣同士で座ろうか」

「わかった」


 暁と日暮の後ろに、俺と澪ねぇちゃんも並んで座る。ジェットコースターの機体が狭いせいで、澪ねぇちゃんの太ももがちょっと当たっている。


「っ‥‥」

「それじゃあ、シートベルトを着用して‥‥いってらっしゃーい!」


 澪ねぇちゃんの太ももの感触を少しだけ意識してしまったが、係員さんの案内と同時にジェットコースターが動き出し、俺はそっちに集中し、意識を向ける。


「きゃー! 動き出したー!」

「お、おう‥‥」

「航くん、怖くない?」

「まぁ、ジェットコースターくらいなら‥‥」


 段々と上昇していくジェットコースターに連られ、少しずつ緊張感が増す。怖いという感情はないが、久しぶりのジェットコースターで、なんとなく緊張してしまっている。


「もうすぐ降下が始まるよ――――」


 暁が言い終わると同時に、上昇し終わった機体が一気に急降下を始める。


「きゃああああああああああ!」

「うわああああああああああ?!」

「わあああああああああああ!」

「おおっ‥‥これはすごい」


 急降下を始めた瞬間に、一気に風を感じる。横向きになった状態で曲がったりもするせいで、横Gをモロに受ける。


「「「うぎゃああああああああああああ!!!」」」


 俺以外の三人がすごい悲鳴を上げている。いや、暁と澪ねぇちゃんに関しては、純粋に楽しんでいるようだが、日暮に関してはガチの絶叫な気がする。なんとなくだけど。


「うわああああああああああああああああああああああ!?」


 ジェットコースターに乗ってる間、日暮の悲鳴が止むことはなく、常に一番大きい声で叫んでいた。

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