第44話 幼馴染と同棲4

「ふぅ‥‥結構長い時間やっちゃったね」

「そうだね。すごく熱くなっちゃった」


 いざ、ゲームを始めると、お互いの実力はほぼ一緒で、勝ったり負けたりがずっと続いていた。そうして、お互い白熱した結果、気づけばかなりの長時間、ゲームをしていたらしく、もう既に日は傾き、カーテンの間から差し込む日の光は、橙色へと変わっていた。


「そろそろ晩ご飯の準備始めちゃう? まだ、ちょっと早いかな?」

「食材の買い出しくらいは行ってもいいんじゃないかな? 冷蔵庫には、ほとんど食材、残ってなかった気がするし」

「そっか。それじゃあさっそく行こうか」


 澪ねぇちゃんと話し合って、俺たちは夕ご飯の買い出しに向かうことにした。夕ご飯は、澪ねぇちゃんが用意してくることになってるから、結構楽しみだ。



「うーんと、人参でしょー? じゃがいもでしょー? それから‥‥」


 スーパーに着いて、澪ねぇちゃんは、食材同士を見比べて、次から次へとかごに放り込んでいく。もしかしたら、澪ねぇちゃんは結構食材へのこだわりが強いのかもしれない。


「えっと、豚のこま切れ肉も買っちゃって‥‥うん、こんなもんかな。航くん、大丈夫? かご、重くない?」

「うん。このくらいは全然大丈夫だよ。それよりも、澪ねぇちゃんはもう欲しいものないの?」

「うん、とりあえずは大丈夫だよ」

「それじゃあ、アイス買おうよ。一緒に食べよ」

「わっ?! いいの?! 食べたい!」


 俺がそう言うと、澪ねぇちゃんは子供のように目を輝かせる。毎度、こういうところが、澪ねぇちゃんの子供っぽいところで、可愛いところなんだよなぁ。


「うーん、どれにしようかなぁ‥‥」


 アイス売り場に来てすぐ、澪ねぇちゃんはショーケースに並べられた数多のアイスの見て、どれにしようかずっと悩んでいる。澪ねぇちゃんって、アイスに対するこだわりも強かったりするのかな‥‥。


「うん! 決めた! これにしよ!」


 そう言って澪ねぇちゃんがショーケースから取り出したのは、アイスを大福のようなものに包んだ、大手お菓子製造メーカーが発売してるものだ。


「小さい頃から好きだったんだぁこれ。冷たいし、外側のおもちの部分は柔らかいしで、すっごく美味しいんだよねぇ」

「それ、俺も知ってる。美味しいよね」

「うん! ところで、航くんは何を選んだの? 結構早く選んでたみたいだけど」

「あぁ、俺はこれだよ」


 そういって俺が見せたのは、小さいチョコレートの粒がパックの中に6個ほど入ったアイスだ。澪ねぇちゃんが選んだアイスとは違う会社のものだが、これもまた大手の会社が販売してるもので、古くから愛されているものだ。たまに、粒の形が星だったり、ハート型だったりすることもあるようで、ちょっとしたお楽しみ要素もある。


「あ、それも美味しいよね! 私も好きだよそれ!」

「無難で美味しいんだよね。俺も小さい頃からずっと好きなんだこれ」


 そうして、俺たちはお互い好きなアイスを選び、レジへ会計へと向かう。


 母さん、このくらいの無駄遣いは許してくれ。澪ねぇちゃんが子供みたいで可愛かったから。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る