Q8 まとめ……💦
Q8
まずは「チャム」の説明ありがとうございました。
発達心理学の用語だったんですね。この「チャムシップ(フレンドシップ)」を提唱したサリバンの説明を読んでみると、チャムシップを通じて「互いをごく親密な関係に置くことで、他人の目から見た自分を学ぶことができ、思春期前には自閉的で幻想的な自分や他人に対する考えを修正できるので特に意義深い」とあります。そして、サリバン自身が社会的、家庭的な背景からそういったチャムシップを持つことができず、後に彼が統合失調症を発症した背景の一つだったと自分で考えたのは、『デボラの世界』のデボラと重なる部分があり興味深いなと思いました。そういった点も考慮すると、真が人との関係や社会とのつながりを諦めなかったのは、彼の健康な精神のなせる技だったのかとも解釈できますね。
さて、プラナリアさんが前回書いてくださった「自分として生きる。自分自身になる、というのは、当たり前のようでいて、とても難しいことだと思います」から「自身と向き合い、本来の自分として生きることは、避けられない戦いでもあるのでしょう」にかけての言葉は大変重いなと感じつつ、それが生きるということでもあるなと思いました。
私達は社会の中で育ち、生きていくので、他人からの影響なしには自分というものが形成されないし、親や友達に言われた「あなたってこうだよね」という言葉が内在化されて、どこまでが本当に自分なのかもわからないところもありますよね。無意識に他人の物差しを自分に当てはめて、理由もわからずに苦しくなっている場合もありますし。そうして苦しいまま、自分という尺度を持たずに年取る人も多いのではないでしょうか。
そういう意味では、自分はどんな人間なのだろうと考え、社会とのつながりを諦めずにその端を見つけ出せた真は幸せと言えるのではないかと思いました。あとは、やはり真の理解者、泉との出会いが大きいですよね。世間の誰も理解してくれなくても、一人だけでも本当に理解してくれる人に出会えたというのは人生を左右する重要な出来事だと思います。
それでも学校という世界に戻ってきた真と泉は、中尾先生と同じように「忘れ物を取りに来た」んでしょう。
「いつか、あなたが十代になったとき。学校で、あなたは何を見るのだろう。
私達が見てきた光景が過る。美しいことばかりではない、この世界の残酷さも知っている」
多分、自分たちが苦しかったからこそ、次を生きる子供たちには優しい場所を与えたいという気持ちがどこかにあるのでしょう。
そして、その気持が最後の一節に繋がります。
「どうか、あなた自身の可能性を信じて欲しい。この世界は、どこまでも広がっている。きっと、あなたの生きる場所はある。あなたを知り、あなたに会いたいと願う人がいる。だから、この世界に産まれておいで。ただ一人の、あなたとして」
このあたりは、前回プラナリアさんが書いてくださった『デボラの世界』の「薔薇の花園」の解釈と重なりますよね。「行く道は茨かもしれないが、花園を作り出すのはその人自身であり、親としてできるのは、その戦いを見守り、共に歩むことだけである」
この最後の一節と「薔薇の花園」の解釈を重ねて読むと、プラナリアさんは、いいお母さんだなというのをつくづく感じます。親子とはいえ、それぞれ異なる人間なんだということがきちんと意識されていて、それでも隣に立っているからね、という優しさが感じられてとても素敵だなと思います。プラナリアさんのお子さんたちは幸せですねえ。
あとがきにありましたが、このお話はご自身の経験と息子さんへの応援として書いたとのこと。「みんなちがって、みんないい」と金子みすゞさんはおっしゃいましたが、実践するとなると難しいんですよね。違うということを受け入れるのは、相手を変えることではなく、自分の器をいかに広げられるかということなんですよね。それを理解するまでにも時間がかかるし、わかっていても難しい。その前提には自らをきちんと受け入れられているのか、という点に戻ってくるのかもしれません。
そう考えると、プラナリアさんがこのお話を書けたということは、プラナリアさんご自身が中学生だった自分に「そのままの自分で良かったんだよ」と言ってあげることができたということなのかなと思いました。
いや、だからなぜ質問にならずに語ってしまうのか……。……という風に私は顕微鏡を読み解いてみたのですが、もし、ご自身でいやそうじゃなくて、とか補足したい点がありましたら、一言いただけるとありがたいです。
そして、最後に、プラナリアさんの作品を読んでくださっている読者の皆様にメッセージを頂けたらと思います。
あと、今後の作品の予定などがあれば、そちらも教えていただけると嬉しいです。
うおお、語りすぎてしまって、プラナリアさんのファンの方にはお叱りを受けそうなインタビューになってしまいました。長々とお付き合いいただいて感謝です。ありがとうございました。
A8
「顕微鏡」のみならず、私自身にもあたたかなお言葉をありがとうございます✨
こどもにとって良い母かどうかは謎ですが(^_^;)、自由に花開いていくのを見守りたい、というのが私の願いです。つい、手も口も出してしまいますけれど💦
違いを受け入れるというのは、相手を変えることではなく自分の器を広げること。イカワ様の言葉に、なるほどなぁと思いました。分からないと排除したり、無理に押し込めたりするのではなく、相手のためのスペースを自分の中に作るイメージ。私にとって「顕微鏡」を書くことは、未消化な想いの居場所を、私の中に作る作業であったのかもしれません。この物語を受けとめて下さる方がいたことで、あの頃の私も救われたような気がします。
この個人的な物語を解説するのは大変な作業だったのではないかと思いますが(迷走したので(-_-;))、ご自身の想いを重ねながら、丁寧に読み解いて下さったイカワ様に感謝いたします。完結はしたけど未完成で、今後も書き直していきたい物語なのですが、こんな風に読んで頂けて幸せです。
カクヨムでお会いできた皆さまへ。
私はカクもヨムもトロトロでして、お付き合い頂いている皆さまには感謝しかありません。いつもありがとうございます。
皆さまの作品にときめいたり、励ましてもらったり。カクヨムは、私の日々の糧です。
拙い書き手ではありますが、妥協せず今の私の精一杯を書いていけたらと思います。とりあえず、エッセイは毎月更新を目指します!
今後の予定は未定ですが、今年は息子の生誕十年目なので、彼の幼少期を綴ってみるのもありかなと思ったり。あとは今、障がい福祉の現場にいるので、以前書いた「鰆区役所物語」みたいに日々思うことを物語に書けないかなとか。自分に何が書けるか模索中なので、短編をいろいろ書いてみたいです。現代ドラマが多いので、もっとコミカルなものや、ファンタジーもいつか書いてみたいなぁ。大人の恋愛の機微もいつか……! いつになるか(笑)
マイペースに、細く長く続けていけたらいいなと思います。これからもよろしくお願いいたしますm(_ _)m
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