Q14 & Q15 如月さんの引き出しの多さ

Q14

 神崎さんの多岐に亘る知識の豊富さも魅力の一つです。キャベジンから、花や魚の名前、神話まで……。これは、わざわざ調べたわけじゃなくて、如月さんの一般知識内に入ってるんだと想像してるんですが、どうですか?


A14

 そうですね、花とか生きものとか好きなので。あと天体とかプレートテクトニクスとか鉱石とか化学物質とか、なんかこう理科で習ったようなことは割と好きなので、フツーに頭の中に入ってます。逆に、入ってないことは書きません。子供がポケモン全種類言える方がずっとすごいと思いますが……。



Q15

 神崎さんが花ちゃんに昔から太っていたのかを聞くエピソードがあります(82 話)。それに対して、花ちゃんが自分が太ってしまった経緯を話して(83 話)、その後花ちゃんがそのトラウマに対する気づきを得ます(104 話)。花ちゃんが過去を前向きに捉えるようになって成長を感じさせつつ、最後の晩餐(185 話)で花ちゃん自身が神崎さんに手料理を振る舞うところで、「ああ一歩踏み出したんだなあ」と感慨深くなる一方、でも明日にはお別れ……という寂しさも沁み入る結構ずっしり(?)来る展開になっています。

 最初に読んだとき、全体がコメディなのに結構深刻なお話が出てくるな! と思ったんですが、このシリアスな面を入れようと思った経緯があれば教えてください。


A15

 シリアスな展開を入れようと思ったというより……順番が逆ですね。これ、ほぼ処女作なんで誰も気付かなかったと思うんですが、今になれば如月を知っている人ならみんなわかります。私、そもそも重い展開のばっかり書いてるんですよ。LGBTQ だったり、ASD だったり、ADHD だったり、DV だったり、借金 1 千万からスタートなんてのがあったり、パンデミックものであったり。私のコレクションのところ、「ヒューマンドラマの本棚」ってのを「如月の名刺代わり」として置いてるんですけど、それ全部重いです! だけど「重いテーマを軽く書くのが如月」ってよく言われます。それがたぶん私のカラー! たまたま「いち癇」は主人公が花子と神崎という珍獣二人だったのでコメディ要素が強くなったというだけで、テーマとしては「どんな人でも必ずいいところがあって、必ず誰かに求められる。自分で自分の価値を決めるな」ってところだったんですね。だからああいう流れは必然だったというか。あー説明下手ですね。語彙力欲しい!


Q15-1

 申し訳ないです。ほかの作品をきちんと読んでいなかったので、全体の傾向にまで気づきませんでした。今ちょっと『黴』と『群青のアトリエ』をつまみ読みして来たんですが、確かにそうですね。「難しいテーマを身近に、重くならずに書き、希望あるエンディングで締めくくる」のが如月さんらしさのような気がします。

 いや、それにしても題材を自分のものにする才能がすごいですね! 『黴』で細菌の生態や特性を活かしたストーリー、『群青のアトリエ』で ADHD の症状を取り入れたキャラクター作り、『いち癇』に戻って建設機械と、「短期間で物事の本質を捉えて活かす」才能に長けていらっしゃるんだと実感しました。

 それにしても「語彙力欲しい」とか、如月さんの口から聞くとは思いませんでした……。


A15-1

 >「難しいテーマを身近に、重くならずに書き、希望あるエンディングで締めくくる」 そう、これです、これを目指して書いてます!

 あと、小説のために勉強して取り入れるってことはほとんどしません。めんどくさいことしないんです。だから知ってることだけでほとんど構成しちゃいます。前にも書いたかな、私、プレートテクトニクスとか微生物とか好きなんです。そうでなきゃ『黴』は書かなかった。ADHD や ASD は周りにたくさんいるんで書けたんです。もし一人もいなかったら『群青のアトリエ』『GIFT』は書いてなかったと思います(割と単純な動機)。

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