Q7: 影響を受けた作家さんは?
Q7
ご自身で好きな、または影響を受けた作家さん(アマチュア、プロを問わず複数可)がいれば教えて下さい。また、好きな作品も教えて下さい。(この回答長そうですね!)
A7
あまり作家は意識せず乱読することが多いのですが。それでもやっぱり、追ってしまう作家は何人もいます。
その中でも直接影響を受けた方は、特に
(文学方面)
内田
小川洋子先生
(アクション方面)
菊地秀行先生
夢枕獏先生
でしょうか。
天才・三島由紀夫が「文章が上手い作家は誰か」と聞かれて、
小説作品は非常に少なく、短編が主なのですが。
昼間に見た夢のような、奇妙な出来事をごく当たり前のように描写されるのです。それがすごく自然で、「ああ、そういうこともあるのかな」とか思わされちゃう。
で、やっぱおかしいぞ……と思い始めた頃にはもう次の短編が始まっちゃう。
まるで、す、と飲み込んだ食べものが、気がついたら胃の腑でもぞもぞ動き始めたかのような。そうするうちに次のごちそうが来ちゃう。
でもなんだか、それはそれでいいか……となっちゃう。
消化不良ですら心地良い、そんな小説を書く人物……
小川洋子先生もまたとにかく文章が上手い。個人的な基準では、文章の上手い作家トップ2はこのお二人だと思っています。
小川先生の文章はとにかく繊細で、しかも過不足がない。きれいなのに飾り過ぎない、透明感のある文体。
文が書かれてあるというよりは、そっ、と置かれてあるような。
ひっそりと、そっと、あるべき形であるべき分量だけ、あるべきところに、そっと置かれていった文章。
それが道の最初から最後まで続いて、あるべき所から導かれてあるべき所まで帰りつくような。短編は特にそんな印象です。
アクションやバトル方面では、直接影響を受けたのはやっぱり菊地秀行先生。
得意とされる伝奇バトルものでの、分かり易く迫力あるアクション描写はもちろんのこと。キャラクター造形がまた素晴らしい。
『
個人的には「カッコ悪いけどカッコいい」『妖魔戦線』シリーズの主人公を、自分の描くヒーロー像の一つの手本としています。
なんかこう、変なところでカッコ悪いというか普通の人なんですよ。
敵の所に乗り込んでいったのに「月給50万に美人秘書もつけてやろう、わしの下につけ」とか言われてちょっと考えちゃったり。で、誘ってきた敵が逆に、何だこいつ……ってなったり。
また別の敵方との交渉場所にラーメン屋を指定して、五目ラーメンとギョーザ食って待ってたり。山中の重要な拠点を目指してて野営しながら移動してるときに、敵チーム(自衛隊)「お前ら国費で牛缶とか食ってんだろ! 俺なんか安いサバ缶だぞ!」とか。(台詞は今すぐ確認できなかったので、原文ではありません。記憶にある限りのうろ覚えの文です)
ヒーローはカッコいいもの、という私の固定観念を粉微塵に打ち砕いてくれた、等身大のヒーロー像でした。それなのにカッコいいとこはものすごくカッコいい。
以来、私の書く主人公は必ずカッコ悪いところを描くようにしています。ガンガンとカッコ悪くしていきます(?)。
それと、菊地先生は短編の隠れた名手であることも忘れてはいけません。
奇想溢れる展開を力強く、鋭く描き切る……菊地先生の世界に叩き斬られたかのような、放心してしまうような読後感。
初めて先生の短編を読んだときは(もちろんそれまでも伝奇バトル長編の名手として非常に尊敬していましたが)「ナメてました……先生の実力を半分も理解していなかった愚か者で、申し訳ありませんでした」と思い、心の中で頭(こうべ)を垂れたものです。
夢枕獏先生もまた、伝奇ものや格闘もので有名な一方。歴史、登山、釣り、
SF……非常に多才な方です。
そんなに多様な作品を書いていながら、どれも夢枕先生独自の文体……否、もはや『文圧』とでも呼ぶべき独特の圧があるのです。
簡潔かつグイグイと力強く、己の意を押し通してゆくような。斧を叩きつけるかのような文体。
それでいて細やかな自然描写を情緒たっぷりに差し挟む、まさに緩急自在。
確かな技量に支えられた上での天衣無縫。気がつけば夢枕ワールドにずっぽりと飲み込まれてしまっているかのような、まさに『たまらぬ男であった』。
また、後書きが上手いというのも特徴的。私も小説以外の文を書くときは、夢枕先生の後書きを意識することが多いです。
他、アマチュアの方々ですが。
『アマチュア創作者は皆対等であり、誰もがライバル』だと捉えているので、あえて尊敬する方を上げることはいたしません。もちろん、尊敬すべき方は多くいらっしゃるのですが。
あえて一人挙げるとするならば……イカワ ミヒロさんの『テキエロ!』は素晴らしい作品だったと思っておりますですよブヘヘヘヘ(企画主であるイカワさんにおもねるような笑みを向けながらの発言)。(あと、本当はタイトルの最初に『!』を逆にしたスペイン語の記号が入ります)
いや、でも本当に素晴らしい作品だったのです。オトナに片脚を突っ込んだ女の子とオトナの男との、一夜の恋から始まる恋愛。
私はいつも、主人公に感情移入して自分が体験するように小説を読むのですが。この作品に限っては、別の見方ができたのです。
他人の色恋沙汰を、横から見てる誰かのような目線で。それこそ酒呑みながら、「そこだそこ! 押せーっ!」とか「あーそうじゃない、あーーバカ!」みたいな。野球観戦か(笑)。
私があまり恋愛主題の作品を読まないということもあるかもしれませんが。新鮮な体験として、非常に印象に残っています。
(イ)
内田百閒先生と小川洋子先生の作品の紹介文が詩的で素敵ですね。小川先生の本は「博士の愛した数式」くらいしか読んだことがなかったのですが、もう少し読んでみようと思います。
最後のアマチュア作家は……忖度ですな 😅
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます