Q8: 創作活動で目指していること

Q8

 創作活動で目指していることはありますか?



A8

 目指していること、というと少し違うかもしれませんが。

 信条というか、意識していることは


『全ての創作者はお好み焼き屋さんである』ということ。



 ……お前変なクスリでもやってんのか、と思われても心外なので手早く解説しましょう。

 お好み焼き屋さんにも色々ありますけど、ここでいうお好み焼き屋さんは焼く前のタネの状態で出してくれるタイプのお店。テーブルの鉄板で、客が自分でお好み焼きを焼く感じのお店です。


 で、それが創作やら小説とどうつながるんだという話ですが。

 あらゆる創作物は、それを目にする人や耳にする人がいて、初めて完成。そう私は捉えています。


 特にそれは小説において顕著です。

 主人公はどんな外見、どんな服装? あの登場人物のことをどう思っているの? あのときこう言われたけど、どう思ったの? こっちの登場人物は主人公をどう思ってるの? 


 主人公に似合うブランドは何? このシーンに合うBGMは? ここでどんな風にナレーションが入るの? 



 ――作品に書いてあることも、書いていないことも。作者が伝えたいことも、意図していないことも。

 読者は受け止め、展開します。『その読者だけのその作品世界』を。それでようやく、作品は完成。


 逆にいえば、『作者だけの作品世界』は作者にしか分かりません。それを100%伝える術(すべ)は、おそらくこの世のどこにも無いでしょう。


 なので。作者がお好み焼きのタネを作り、読者が焼く。それでようやくお好み焼きの――作品の――完成。それ以外に、作品を完成させる方法は無い。


 だから、謙虚に。創作者は謙虚に。

 我々は誰もかれも、『未完成品しか造ることができない』。読者の手に渡ってようやく完成する、未完成品しか。

 作品を最後に完成させるのは、常に読者の力。



 そして読者は、作品をどう解釈しても自由。

 紅しょうがを載せて焼いてもいい。お好みソースをかけずにマヨネーズだけで食べてもいい。マスタードをつけたって……え!? お前チョコソースかけるの!? 別にいいけど! 練乳も!!? 



 ……逆に、『作品が楽しまれるかどうかは、ある程度読者の力量にもかかっている』ともいえます。

 お好み焼きを焼くこと自体はまあ、誰でもできるようなこととしても。上手く焼ける人もいれば、焦がしちゃう人や生焼けになっちゃう人もいます。え、このお好み焼き甘ったるいって? お前がチョコソースかけたからだよ! 練乳も! 


 まあ、その作品を楽しめるかどうかということについては、作者の力量や読者の読解力よりも、結局は『作品と読者の相性』が一番のウェイトを占める要素のような気もします。



 ……まあ要は。

『作品に対して謙虚に』

『読者に対しては気負い過ぎず』

 やっていきたいということです。

 また、自分が他の作品に触れるときは真摯に向き合いたいです。


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