Q6 普通とは? (このあたりから文通になってきます💦)


Q6

 Q4 の回答が少し意外でした。プラナリアさんは「わからない側」だったんですね。「当時私が感じていた「『みんな』が分からない」「『当たり前』が分からない」という違和感や閉塞感が核になっているのだと思います」とありましたが、具体的にどんなときにそれを感じていたのか伺ってもよいでしょうか? 分からないながらも、みんなの中に溶け込んでいなくては、というプレッシャーがあったということですよね?

 泉ちゃんの「バランス、バランス。バランス崩せば、落っこちる。」(第一話『教室』)という言葉は、泉ちゃんの「みんなの中に溶け込んでいなくては」という強い意識を感じさせます。泉ちゃんが「落ちてはいけない」と思っているのは、このいわゆる「普通」の括りですよね。別の言葉で言うと「同調圧力」というか……。

 顕微鏡を読んでいると、豊臣秀吉から徳川家に続く天下統一の文化って今日の日本にも脈々と引き継がれているんだなあ、と感じます。天下統一を実現するには、横並びを重視させ、出る杭を打つような社会的枠組みを浸透させなくてはなりませんよね。これは武家諸法度の制度だけではなくて、社会階級ごとに髪型を決めたり、裃を着けさせたりといった、日常的な慣習にも及んでいます。現代日本の学校で制服のスカートの長さを測ったり、髪の毛が肩に着いているか調べたりって、天下統一がそのまま生きてるんだなと私は思っています。

 その中で、千津ちゃんや真くんのような子供が生きていくのは大変だろうな、と思います。多分、私が子供だった頃より今のが大変そうな気がします。ただ、同時に泉ちゃんの「落っこちてはいけない」という恐怖はどこから来るのだろう、とも思います。

 私が子供の頃も、誰もが仲良くとはいかなかったし、いじめも確かにあったけれども、それに対する抑止力もある程度は働いていたように思います。その違いが、天下統一感が薄れていた土地柄のせいなのか、時代のせいなのか、落っこちていてもよくわからずに過ごしてしまった KY 力なのか、ちょっとわからずにいます。

 『破壊』の石崎くんと同様に、勝ち組に居てもその地位が安泰とは限らないケースも見てきました。どう見てもクラスの華やかなグループに属していた女子が突然一人でお弁当を食べ始めたりして、「普通」に属しているように見えても、多分一人ひとりは何らかの違和感を感じながら「普通」の中にいるんだと感じました。そう考えると「普通」に属している意味は何なのだろうかと思います。


A6

 丁寧に質問の意図を解説して頂き、ありがとうございます。徳川の流れ、というのは目からウロコでした。十代前半って、みんなと同じ(チャム)、ということが大事な時期で、そこからそれぞれの違いを尊重できる時期に移る、というのもあるのでしょうが。そこで生じる違うことへの反発、というのは、時に残酷ですね……。

以下、言える範囲での回答ですが、伝わりにくかったら言ってくださいね。


 なかなか説明しづらいのですが、うむむ。


 例えば、新しいクラスになって迎えたお弁当の時間。みんな誰かと一緒に食べようとしますよね? 私はそんな時、一人で食べてたんです。外されてるという訳ではなかったんですが、「まだ仲いい人いないし、友人がいる別のクラスまで行くのも面倒だし、一人でもいっか」という感じ。で、ぼっちの私を見かねて、友人の友人とかが「一緒に食べよう?」と声かけてくれたりする(今考えると、良い子だ(´;ω;`) )。でも私は「……なんで?」と内心思ってたりする。


 ……伝わりにくいですね。単に私の社会性が乏しいだけのような気がしてしまいます💦

 あるあるでいえば、中学生女子がトイレに連れ立つ問題でしょうか。行きたくなくても、誘われると一緒にトイレに行かねばならない。そんな二人連れで溢れた女子トイレは、常に長蛇の列。ていうか、なぜ一人で行かないんだ!?

 謎でした。さすがに断らず同行してましたが、自分からトイレに誘ったことは一度もありませんでした(^_^;)


 中学生くらいの頃って、みんなと同じでなくてはというか、個であることが許されにくい時期だったような気がするのです。関心が無い話題でも興味があるフリして周囲に合わせるとか、一人だけ目立つことは避けるとか。私は空気読めない人だったので、そういうのに馴染めず。

 でも同時に、「なんか私、みんなと違う?」というのに気付き始めたのも、中学生の頃。

 私はなんでズレちゃうんだろう。みんなの当たり前って、何なんだろう。その頃から、私は周囲を観察するようになり、周囲と合わせる努力をするようになりました。


 みんなと同じになりたい。

 私は本当は、こんなことしたくない。


 うまく折り合いをつけられないまま、試行錯誤していたような気がします。ピンとこない人もいるかもしれませんが、こういう感覚って、みんなどこかで持っていたのかもしれませんね。あの頃、私が「普通」だと思っていた「みんな」も、どこかでそうだったのかなって、今は思います。

 高校生くらいになると、自分も周りも少し大人になり、「いろんな奴がいるよね」という雰囲気になって、もう少し生きやすかったですけどね。

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