第 4 回 『いちいち癇に障るんですけどっ!』の如月芳美さん

はじめに(如月芳美さん)

 今回は、カクヨミストの雀さんからリクエストを頂いて、インタビューをさせていただきました。じゃん!

 KADOKAWA ビーズログ文庫から出版されている『いちいちかんさわるんですけどっ!』の如月芳美さんです!

 書籍化されているお話なので、読まれた方も多いとは思いますが、未読の方のためにあらすじを。


 主人公は、建設機械のプログラマー、山田花子。おおまかな性格、おおらかな体型、天敵は機械設計担当の神崎秀一。神崎は、顔を合わせたこともない花子のミスをばっさり指摘するメールの送り主なのだ。そんな花子が京丹波の山奥の試験場に一か月派遣されることになる。そして花子の気付かぬうちに一緒に派遣されることになったイケメン――、それがなんと神崎だった。

 意図せず一か月間同居することになった花子と神崎。戦々恐々とする花子の予想を裏切って、神崎は、仕事も家事も段取りきっちり、料理もバッチリ。悔やむらくは斜め上を行く発言の数々。対する花子は天真爛漫、天衣無縫。ずれまくりの二人が共同で暮らすうちに、少しずつ距離を縮めていく……ような、いかないような。そして、京丹波での最終出勤日にある事件が……?


 ↓ 如月芳美さんの『いちいち癇に障るんですけどっ!』はこちらから!

 https://kakuyomu.jp/works/1177354054880958153


 このお話のスゴいところは、第一話を読んだだけですぐわかると思いますが、ノリの良さ! です。以下は初っ端の 2 行です。


「山田さん、おはようございます」

「あ~、うはよ~」


 この「あ~、うはよ~」が、すっっごいわかる! 花ちゃんが、出掛ける前に必要最小限の支度だけして、クリームパンととバナナ味の牛乳だけ飲んで出てきて、半分寝てる顔でデスクに辿り着いた様子が鮮明に浮かびます笑


 お話は、主人公の花ちゃんの一人称で進んでいくんですが、花ちゃんの口調でめちゃめちゃ引き込まれます。


 神崎さん行っちゃったよ。あーやべ、どうしよ。めっちゃワクワクするよ、こりゃ今夜は眠れねーよ。

 なんかさ、小学校の遠足の気分だよ。お弁当持って水筒持って、おやつは 300 円までで、とーぜん「よっちゃんいか」と「キャベツ太郎」持参で、バナナはおやつに入らないのは基本だけど、苺はおやつに入るんですか、先生。


 「行っちゃったよ」、「どうしよ」、「ワクワクするよ」、「眠れねーよ」。リズム感のある文章で気分が乗ってきます。私は、これを「なんだ YO 効果」と名付けました。そして、盛り上がったところで「バナナはおやつに入らないのは基本だけど、苺はおやつに入るんですか、先生」と笑いが突っ込まれます。


 この息をするような笑いがあちこちに散りばめられています。


「愛の伝道師」と言うよりは「淡路の三文文士」って感じだよ。(146 話)

「あ、『魚』という字の下の点々は四つですからね。全部五つずつ書いてありましたよ。ではおやすみなさい」(148 話)

「デルフィニウムは、その花姿がイルカに似ている事から付いた名前なんですよ。アネモネは、妹ばかりではずるいので姉もね、という事で付いた名前なんです」(154 話)


 羨ましい……。


 こういうのは本当に才能なんですよ。真似しようったって無理なんですよ。もう、キーボード打ってる指の先から滲み出てきちゃうもんなんですよ。私の書く文とはベクトルが 180 度違ってます。

 だから今回は大変辛うございました。だって、上の紹介文だって、小説読んだ方に「こんな面白い小説すんげーつまんねえ文で紹介すんじゃねーよ」って思われるのは火を見るよりも明らかなんでございます。ともかく、本当の作品は紹介した文の 500 倍くらい面白いのでぜひお読みください!


 カクヨム版は、ボリュームたっぷり完全版! 細かい設定や二人のファッションも想像しながらじっくり楽しめます。書籍版はコンパクトになっているので、二人のジレジレ具合をさっくり楽しみたい方におすすめです!


 ↓ 書籍版も読みたいな……♡ と思った方は、こちらから!

 https://kakuyomu.jp/publication/entry/2016110201


 紙の本は書店で『いちいち癇(かん)に障るんですけどっ!』の書名でお取り寄せくださいね。『いちいち癪(しゃく)に障るんですけどっ!』じゃないですからね! 私は、ずっと癪(しゃく)だと思っていて、電子書籍ショップで「検索に出てこないな……」と悩んでいました……😅


 それでは、皆さんお待たせしました! 如月さんにインタビュー開始です!


注: インタビュー内では、『いちいち癇に障るんですけどっ!』を『いち癇』と略しています。


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