Q4 & Q5 そして書籍化……!

Q4

『いち癇』を書いている途中で出版のお話があったとのことですが、実際どんな風に連絡があったんでしょうか? そして、連絡を受けてどう思われましたか?(びっくりしたとか、サギだと思ったとか笑)


A4

 書籍化の連絡はメールでした。カクヨム運営から連絡があって、「この作品の件でこちらに連絡してください」みたいなアドレスが貼ってあったんですね。それが KADOKAWA ビーズログ文庫編集部だったんですよ。

 ぶっちゃけビーズログって初めて聞いて「なにそれ?」って感じでした。なにしろ本読まなかったし、小説を書くことに興味もそんなになかったし。あんなに小説家デビューを夢見てる人たちがいるなんてことも知らなかったんで、「何、新手の詐欺?」って思いました。直接電話で話して「ああ、どうやら詐欺じゃない」って気づいて。

「あなたの作品を本にする事に興味はありますか?」って聞かれたんですよ。普通なら飛びついてスライディング土下座して「お願いします!」っていうとこじゃないですか。でもそんなの知らんし詐欺だと思ってたくらいなんでピンと来なくて。「じゃあお願いします」って。「じゃあ」ってなんだよ「じゃあ」って!!! しかも電話口で「詐欺かと思いました」って言っちゃったよ。後で知ったんですが、私の担当は編集長さんでした。ごめんなさい。


↓ 如月さんの出版にまつわる裏話はこちらから読めます(特に 8 話から 10 話)。

 https://kakuyomu.jp/works/1177354054884313754



Q5

 執筆半ばでのビーズログ文庫からのご連絡とのことでしたが、その後の執筆については無条件に進められたのでしょうか。

『……またシロート発言をしてしまったようだな。』(以降、『シロート発言』とします)の第 33 話に「一冊に収めるために何が何でも 340P ほどに収めよという指令が出ています。無理やり突っ込んでも 130,000 くらいが限界」という下りがありますが、これは執筆の途中でこのようにお願いされたのでしょうか。それとも、とりあえず書きたいように書いて頂いて、その後に書籍版として編集しましょう、というスタンスだったのでしょうか。

 あと、実際に書籍版を読んでみると、結構削除されている部分が多くて、読み手としては細かい設定が無くなっていてちょっと残念だな……😢 と感じました。この編集はすべてご自身でなさったのですか?


A5

 かなり込み入ってるので長文になります。

 書籍化の連絡をいただいた時、既に 10 万字越えてたんですよ。ただ、私自身がシロート過ぎて、1 冊当たり何文字くらいなのか知らなかったんです。知ってたら何か言えたんだろうけど。

 それで、担当さん(編集長さんですね)が「とりあえず、最後まで書いちゃいましょう!」って仰るんで「まだ半分も行ってないんですけどいいですか?」って。

「とにかく最後まで書いてみましょうか」っていうし、まあいいかって書いて行ったんです。

 そしたらびっくり 30 万字こえちゃって。

 ところが!ところがですよ。「ほぼこのままで行きますから直しもほとんど無いと思います」って仰ったんですね。

 私「なーんだ、楽勝じゃん!」って思った。思うよね?

 それが何日か経って「すみませんちょっと勘違いがあって、どうしても 320 ページくらいに収めて欲しいんです」って言いだして。

 待て待て待て、現在 840 ページだぞ? どうしろと??? ってなっちゃって。

 それから二人ですごい考えたんです。

 まず、仕事のエピソードは全部カットして、ラブラブイチャイチャだけにしましょうって。

 だから書籍版はイチャイチャばっかりで個人的に(個人的にですよ!)好きじゃないんです。

 でもイチャイチャレーベルだから仕方ないですよね。

 それでも 500 ページくらいあって、「挿絵はやめましょう」「目次やめましょう」「章立てもやめましょう」それでも 450 ページとかなんですよ。もうこれ無理じゃね?

 だけど当時「カクヨム放送局」ってのがニコニコ動画であって、めっちゃ売れてる声優さんとカクヨム編集部長が三人でいろいろやるんですけど、そこでもう「いち癇」の書籍化を大々的に発表しちゃってるんですよ。

 今更後戻りできねええええええええ!

 しかも純カクヨム発の拾い上げ第 1 号だったんじゃないかな。私の前に 2 作カクヨム発の拾い上げがあったんだけど、そちらはすでに「なろう」で発表されてたやつで。

 だから今更なかったことにできないんですよ。

 そこからは力業です。ページ数の問題なので、3 文字しかないような行ってあるじゃないですか。改行の関係で、前の行が「~と私は思」で終わってて次の行が「った。」だけしかないようなやつね。

 そういう行は前の方の言い回しを変えて何が何でもその行に収める!そういうのを何百行もやるんですよ。

「こまったことに」を「困った事に」にすれば 2 文字減らせる!とかそういうレベルwww びっくりでしょ?

 一生の中で一番ハードでしたよ。昔 SE やってた頃に二連徹とかよくやって晴海の花火を会社で見たなんてこともあったけど、そんなもんじゃないですよ、死ぬかと思った。


注: これ、840 ページの校正用の原稿が来てから 320 ページに減らす作業を依頼されたそうです。印刷屋さんも「トル」の連続でびっくりしたのではないでしょうか……。



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