Q11: 「かもす仏議の四天王」について

Q11

 次は、言わずと知れた(?)「かもす仏議の四天王」。

 この話は設定がとても面白いです。仏だけど良い仏ではなくて、怪仏。人の業に結縁して具現化する。閻魔天とか暗黒天とかが出て来て、その怪仏を操る黒幕を追う百見や崇春と戦う……。仏教好きだとおっしゃっていましたが、怪仏とか怪仏同士が戦うとかいう発想はいったいどこから生まれてきたのでしょうか。



A11

 怪仏というアイデアのルーツ……その話をすると仏教哲学にまで踏み込んでいくことになるので長くなります(別に冗談で言っているわけではないのです)。

 なので手短かつ大ざっぱに言いますと『好きなゲームと漫画の影響』『仏教に関する宗教的な疑問』辺りがルーツです。


 まず『影響を受けたゲーム』……私は以前から『女神転生』シリーズの大ファンなのです。

元々神話が好きなので、世界中の神話や伝説に登場する神や悪魔や妖精……そういった存在と時に敵対し時に仲間とする、このゲームが大好きなのです。現代が舞台なのも素晴らしい。もしこんなことが実際の世界で起こったら……と考えるとドキドキします。


 で、私は仏教好きなので「よし! 仏召喚して戦う話書こうぜ!」という風に。


 ただ、『かもす仏議の~』場合、直接影響を受けたのは女神転生の派生作『ペルソナ』シリーズの方が大きいかもしれません。神仏そのものじゃなく、神仏の姿を取った心の中の存在を呼び出すというか。


 あ、ちなみに『かもす仏議の~』の主人公の一人、崇春すしゅんが扱う仏についてですが。それが仏教四天王の一人『増長天』なのは、女神転生派生作品『魔神転生』にルーツがあるのです。

 この漫画版に出てくる増長天がめっちゃ好きで! めちゃめちゃ好きで! 自作でも増長天を扱いました! (※『魔神転生』の増長天の名誉のため言っておくと、キャラ的には全く別ものです)

 ……そういや私が仏教好きになった最初の理由ってこれだわ、増長天ファンだからだわ……(そのだいぶ後、哲学思想的な面に引かれて本格的に仏教ファンに)。


 『影響を受けた漫画』はオカルト伝奇バトルの古典的超名作『孔雀王』シリーズ。

 主人公らが印(密教独特の手のポーズ)を結んで真言しんごん(呪文)を唱え、守護仏の力を借りて戦う……これがまた! ミステリアスで超カッコいいんですよ! 

 この作品も素晴らしいので色々と推しポイントや推しキャラを語りたいんですが、長くなりそうなので……控えておきます。



 次に『仏教に関する宗教的疑問』ですが。

 原始仏教(歴史上の釈迦その人が提唱した最初期の仏教。哲学的側面が大きい)の教えをものすごくざっくり言うと「執着を捨てたら楽に生きられるっスよ」っていうことなんですが(本当にざっくり言うと)。

 現代のお寺を見ると、学業成就、無病息災……様々な御利益ごりやくがうたわれている。

――それっていいの? 原始仏教の教えとは逆に、執着しちゃってるんじゃないの? 

 という疑問から「じゃあその『執着』、色んな人の願いや欲望である『執着』が積もり積もって、その願いに対応した仏の姿と能力を模した怪物……『怪仏』になった、ってことにしようぜ!」と。


 ……一応その宗教的疑問についてですが。一概に批難すべきものではなく、原始仏教から上座部仏教を経て大乗仏教、密教……それらの歴史的変遷とそれぞれの思想を踏まえて考察すべきところではあるのです。が……長くなるので割愛! 



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