第76話 垂涎スキル


ピコン!

 〈スキル:成長促進がレベルアップしました。レベル5到達ボーナスとしてスキルポイント5ポイント獲得しました〉


 おおー!レベルアップ!そしてスキルポイントゲット!わーいわーい!スキルポイント結構溜まってきたなー。何に使おうかなー?……はっ、これでまた悩むパターンだなっ?


 「あ、そうだ……ベル!ちょっと気になってたんだけどさー……わたしとパーティ組んでからスキルとか何かレベルアップした?あー、もちろん言いたくないならいいんだけど……」

 「っ!なんで知ってるの?なかなか上がらなかったスキルがいくつか上がったんだけど……まさか、リリーの仕業なわけ?」

 「あ~、私もあがったよ~」

 「実は俺も。それにいつもよりレベルアップも早い気がしてた」

 「……ん。あたしもレベルアップした」


 聞いてみるとメンバーそれぞれ何かしらのスキルがレベルアップしていたみたい……大乱闘は終わったのね?ほっ……


 「本当に?いやー、成長促進っていうスキルを持ってるんだけどね……それってパーティ組んでたらパーティメンバーのスキルとかの成長も早まるらしいんだよー……んん?ベルに話してなかったっけ?」

 「全然っ、聞いてないよー!」

 「あれー?なんか話した気でいたんだけど……ま、そういうことなんですよー」

 「……成長促進スキル、聞いたことある。冒険者垂涎スキル……取得方法が明確化されてないやつ」 

 「だね~」


 んー?農家垂涎スキルじゃなかったの?ふむふむ……スキルはレベルが上がったり、上位派生したスキルほど必要な経験値的なのが増えるからなかなかレベルアップできないんだってー……そしてスキルポイント節約生活が始まるんだって。だから成長促進は垂涎スキルに分類されるってことみたい。


 「そうなんだよ。成長促進を持ってるやつは最初のキャラメイクで選んだか、どうやって取得可能になったかいまいちわからんってやつばっかりなんだよなー」

 「……ん。取得可能になったプレイヤーを脅……んんっ。お願いして聞いたけど真似してもだめだった」

 「そうなのよね……なかなか教えてくれないから交換条件も大変だったわ」

 「ね~」


 ……ん?なんかいま物騒な言葉が聞こえたような?気にしたらだめな気がするからスルーしよう。うん、それがいい。


 「へー……あれ?キャラメイクのときに取得できるなら、みんな選ぶんじゃないの?垂涎スキルなんでしょ?」

 「それが、スクロールの1番下にそういう垂涎スキルがいくつかあったらしいんだけど……そもそも1番下の方に垂涎スキルが固まってあるなんて知らないし、そもそもスクロールすんのめっちゃ時間かかるんだわ」


 そういえば、キャラメイクのときスキルがズラーッて並んでたもんねー。て、ことは固まってあるの見つけたひと、最強スキル構成なんじゃ……


 「ああー……つまり、一刻も早く始めたかったひとほど垂涎スキル?は獲得できてないってことなの?」

 「「「「「うん」」」」」

 「ガチ勢は特にはじめる前に大体のスキル構成考え抜いていってるからさ、目当てのスキルが見つかったら他のスキルを探すためのスクロールはしないよね」

 「そうね。思わぬ落とし穴だったけど」

 「……ん。後で知って衝撃受けた」

 「おぉ。その時のメンバーの荒れ具合ったらなかったぜ」

 「いや、常夏もだからね」

 「まぁなー」


 そうか、みんなキャラメイク最低限なんだ……ってことはマジの美男美女かー。やばー。

 まぁ、わたしはスキルものんびり決めた(悩んで時間がかかったともいう)けど、もし垂涎スキル見つけてても効果がよくわからないから選ばなかったはず……ナビさんに聞いたら効果とか教えてくれただろうけど、初心者にはどのスキルが垂涎スキルかなんて見極められないっていうね……


 「あれよね?ここの運営ってヘルプを隅から隅まで読むとか、最後の最後までチェックしないと見落とす所に何か仕掛けるわよね」

 「だね~。そういう傾向がわかるまで結構苦労したよね~」

 「きっと、運営の誰かがそういう要素入れるの好きなんだろうな」

 「そうだね」

 「……ん」


 そっかー、キャラメイクのときのナビさんも聞かれないと言えないこともあるって言ってたし、今までもそういう細かいところ気付かずに通り過ぎてること結構ありそうだなー。


 「成長促進スキルって……どうやって取得したのか聞きたいが、聞いていいものか悩むな」

 「そうね……さすがにあの方法はだめだし」

 「……ん」


 あ、あの方法ってなんですか?なんか、嫌な予感しかしない。

 

 「そもそも、リリーは脅されても気づかないと思うけど?」

 「……ベル、脅しじゃないよ?お願いだよ?」

 「あ、うん」


 やっぱり、やばい方法だったー!ルティ……そこで首こてんっ。は逆に怖いよぉー。で、でも運営さんからペナルティとかは受けてないみたいだから脅しっていうのは冗談とかだよねっ?……そうだといいなぁ。


 「……ねぇ、常夏。ちょっとアホなふりして聞いてみて?」

 「え?……あっ。わかったよ」

 「「「よろしく」」」

 「って、ことなんだがリリー。成長促進スキルをどうやって取得したか教えてくれー!」

 

 常夏よりその後ろのゴーレム班の圧(特にルティ)がすごいんですけど……別に隠すことじゃないし。てか、ベルに話そうと思って忘れてたことだし……脅しは勘弁してほしいもんね。


 「ええっと……あのね?畑の野菜におおきくなーれ、大きくなーれって声をかけたんだよ?話しかけたら成長するって聞いたことあるからやってみたら取得可能になりましたー……えへ?」

 「「「「「「まじかー」」」」」」


 あれ、みんなフリーズ?いや、案山子さんとハリーは普通に動いてるな……てか、ふたりはまだ戦闘訓練中なのね?あ、こっちに気づいた。どうやらやめて合流するようだ……手を振りながらこっちへ向かってきてる。もちろん私も手を振り返したよ!


 「そういえば、わたしもみんなとパーティ組んだことで成長促進のスキルレベルアップが早い気がする……経験値的なのが貯まりやすいのかな?」

 「うーん……リリーひとりじゃなくてメンバー全員分にスキル使った判定なんじゃないかなー?」

 「そっかー。それなら納得かも」

 「まさにwin-winのスキルだなー。パーティにひとりでもいたら最高だな」

 「……垂涎スキルだけある。覚えたい」

 「そうよね、私も欲しいわぁ」 

 「「「うんうん」」」


 一斉に頷くメンバー……成長促進ってそんなに欲しいスキルだったのか。


 「でも、リリーの言ったやり方は職業:農家だからとか条件あったりして」

 「……ん。あり得る」

 「うちのクランに職業:農家いないしなぁ」

 「かといって情報屋に流すのは惜しい……てか、それはリリーが決めることか」

 

 ……ん?わたし?


 「好きにしてくれてかまわんよー」

 「と、とりあえずクランホームにプランターでも置いて試してみるか?」

 「リリー、ちなみに成長促進が取得可能になったときのスキル構成を教えてもらってもいいかな?できる限り条件を一致させて試してみたいんだよね」


 ほうほう……みなさん本気ですな?さすが垂涎スキル。


 「いいよー!えーっとね……スキルは鑑定、裁縫、採取、栽培、投擲かな?最初のキャラメイクのときに取ったスキルだからあってると思うけど……間違ってたらごめんね」

 「いやいや、教えてもらえるだけありがたいからっ!」

 「そっか。クランメンバーに同じスキルを持ってるひとがいるかはわからないけど、上手くいくといいねー」

 「ありがとう。まず条件を一致させてからプランターで試してみて、それでダメなら裏庭のあるホームに畑作ってみるしかないわね」

 「……ん、賛成」

 「だね~」

 「……え?そしたら俺の訓練場が……」

 「はぁ。常夏、ここは大人しく従うとこだよ?」

 「わ、わかったよ……」

 「……ん。もし、白雪がそれでスキル覚えたら常夏、感謝される……かも?」

 「うんうん、かもしれないね~」

 「おおー!そうか、白雪が感謝か……わかったぞ!」

 

 常夏って、クランリーダーなのになんだかんだで立場弱くないかな?その上、彼女さんを引き合いに出されるとなんでも許可しちゃいそうな感じするんだもんねぇー?



◆ ◆ ◆


名前:リリー

種族:人間

性別:女性

状態:正常

種族レベル:Lv7

HP:75/75(+5)

MP:75/75(+5)

STR:17(ー3)

VIT:17(+26)

INT:7(+8)

AGI:12(+15)

DEX:80(+3)

LUC:777(固定)

ステータスポイント:2ポイント

職業:農家見習い  Lv4

スキル:鑑定Lv5、裁縫Lv2、採取Lv3、栽培Lv2、投擲Lv4、毒耐性Lv5、麻痺耐性Lv4、気配察知Lv4、隠密Lv4、地図 Lv5、成長促進 Lv4→ Lv5、瞑想Lv3、水魔法Lv2、槍術Lv2

スキルポイント:11ポイント→16ポイント

取得可能スキル:挑発、武器回収、工作、観察力、木工、精密操作

称号:遅咲きのラッキースター、挑戦者、方向音痴、天籟の鐘を初めて鳴らした者、転移陣を初めて使用した者、マシンナリーの恩人

所持金:597G(預金:81900G)

装備:麦わら帽子、守護のブーツ、守護のローブ、守護の手袋、見習いのシャツ、見習いのズボン、初心者用投擲ナイフ×3、どんぐりネックレス、花柄エプロン、エルダートレントの棍棒(リリーのオリジナル武器その1)、守護の盾、守護のバンダナ、エメラルドのピアス、ローズクォーツのブレスレット、サファイヤのアンクレット、アクアマリンのネックレス

持ち物:初級ハイポーション×5、初級マナポーション×5、水袋、火打ち石、ギルドカード(E)、小石×22、木ノ実×8、体力草×2、魔力草×4、メモ紙、ペン、きゅうり×3、ミニトマト×14、軍手×2、収穫用ハサミ、背負い袋、サンドイッチ×4、はちみつたっぷりクッキー×11、至誠のクリスタル×1、叡智のクリスタル×1、生命のコア×1、本:至誠のクリスタル製造法、叡智のクリスタル製造法、生命のコア製造法、ゴーレム取り扱い方法、マジックバック製造法、花瓶×1、綺麗な石×2、木の枝×11、くるみ×42、スライムゼリー×8、魔石式ランプ×2、よくわからないバック×1、ナイフ×3、食器セット×1、至誠のクリスタル(壊)×3、叡智のクリスタル(壊)×3、生命のコア(壊)×1、見習いのブーツ、守護の槍、守護の短剣

ホーム収納:初心者用裁縫セット、葉っぱ×6、ハニービーの毒針×5、ハニービーの羽×40、はちみつ3瓶、ローヤルゼリー1瓶

販売所(2/10):体力草★3×5、魔力草★3×5(金庫:0G)



◆ ◆ ◆

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