第27話 お手伝い その3

 その後、ハニービーの巣を探しては囮になり赤ゲージになると離脱し休憩……を何度か繰り返した。あ、わたしも回を重ねるごとに少しだけ長く耐えられるようになったよ。


 「うむ、今日のところはこれくらいにしておくかの」

 「そうね」


 なんか、街の外で死に戻らなかった日って初めてかも……門をくぐり密かに感動しつつ、グランツさんの家へ戻った。

 

 お昼休憩を挟みつつ、今日囮をしてわかったことがある……


ピコン!

 〈職業:農家見習いがレベルアップしました。ステータスポイント5ポイント獲得しました〉


 囮でも職業スキルが上がるってことだ。養蜂が農家扱いなのかはよくわからなかったけどレベルアップしたってことは問題ないんだろう……多分。


 あ、そうそう……グランツさんとバーバラさんのおかげでウロウロしたこともある場所の近くにもハニービーの巣があり、正確な位置もいくつか判明した。うん、1人で来る時はなるべく避けることにしよーっと。

 地図スキルもレベルアップしたし、街の外の部分もちょびっと埋まったよー!そして、長く滞在できたせいか麻痺耐性と毒耐性のレベルの上がり方半端ない。


 「うむ。今日は近いところから行ったからの……まだまだ全体の半分にもいってないぞ」

 「へぇ……」

 

 ……それでも十分遠いと思うけど。わたしが踏み入れたことのない場所も結構あったからね。でも、途中で体力草と魔力草の群生地発見して採取させてもらったからいいこともあった。うん、グランツさんの薬草の方が品質がいいらしいよ……


 「いつもは何日もかけてはちみつを集めるのよ?」

 「そうなんですね……」

 「うむ、リリーがいたからわしらふたりで集めるよりペースが早くなったから助かったぞ」

 「お役に立ててよかったです!」

 「うむ、また手伝ってくれるかの?」

 「はい!」


 囮、がんばる……


 「そうだわ!早速リリーちゃんに今日の成果を見せてあげます」

 「わーい!」

 

 ふたりはテーブルにどんどんと成果を積み上げていく……うん、知ってた。ふたりの持っていた大きな袋が巣を回るうちパンパンになってたから。


 「すごいですね……」

 「ええ、ちょっと張り切り過ぎちゃったかしら」

 「うむ……」


 ハニービーのはちみつはもちろんのこと……ローヤルゼリーや5センチくらいある毒針、15センチくらいの羽がテーブルに並んでいる。

 ……っていうかはちみつやローヤルゼリーを入れる瓶が無くならなかったらまだまだ巣を回る気だったらしいよ。夕暮れまでとか……うん、それなら午後に終わったのは早いペースですねー。

 

 そして、グランツさんとバーバラさんに少しだけわけてもらうことに……うん、次々とくれようとするのを断るのに苦労したよ。だって立って大声で叫ぶ以外ほぼ何もしてないし、エプロンやポーションだってもらってるのに……


 「あの、もうこれくらいで……」

 「ん?そうかの……」

 「少ないんじゃない?」

 「いえ、ふたりにはお世話になってますから」

 「……そう?」


 若干納得してない様子だけど、これ以上はもらいすぎだからね。


 バーバラさんがハチミツ入りのお茶を出してくれるらしいので、待っている間に販売所に出品してみようと思って販売所を確認する……あれ?朝に出品したのもう売れてるや。うーん、体力草と魔力草、ハニービーの毒針を出品しようかな。

 うん、よくわからない……というのもあんまりハニービーの毒針出品されてないんだよねー。


 「うーん……」


 悩んだ末にハニービーの毒針★3×5を500G、ハニービーの毒針★4×5を750G、ハニービーの毒針★5×2を500Gで出品。

 はちみつはわたしが食べるので出品しません!


 あ、ちなみにハニービーの羽や毒針の品質っていうのは大きさや傷で決まるみたい。


 「んー!美味しいです!」

 「ふふ、自分で集めたから余計にそう思うのよ」

 「そうかもしれないですけど、美味しいのは間違いないです!」

 「うむ、なんせこの茶葉もわしが栽培してるからの」


 グランツさんどこまで手広くやってるんだ……


 「ん?これは完全に趣味じゃ。わしらが飲む分しか栽培しておらんぞ。配合はバーバラに任せておるし」

 「ええ、いろいろ試してたら楽しくなっちゃって。これは、わたしがはちみつに合うようにしてみたの」

 「そうなんですねー。そういえば今日スキルがいくつかレベルアップしたんですけど、レベルアップが早い気がして……」


 いくらなんでもそんなに簡単にレベルって上がるのかなーって思ってね。

 グランツさんとバーバラさんなら何か知ってるんじゃないかなー?


 「ああ、それは成長促進のスキルのせいじゃないか?」

 「……えっ?あれって作物の成長促進じゃないんですか?」

 「うむ。確かに作物の成長促進でもある。わしも詳しくは知らんが、それを持っていると自分のスキルやパーティメンバーのスキルの成長も早まるらしいぞ?」

 「ええ、わたしもそう聞いたわ。だから成長促進のスキルは農家も冒険者にとっても垂涎ものなんですって」

 「へ、へぇ……あれ?じゃあグランツさんたちのスキルも上がったんですかね?」

 「それはどうかの?」

 「今度、教会で確かめてみるわね」

 「はい!」


 ……あれ、これって結構すごいことなんじゃない?

 だって、野菜育てながらおおきくなーれ、大きくなーれ!って声をかけていくだけで成長促進のスキル取得可能になったんだよ?

 今度、茉由ちゃんと合流できたら教えてあげよーっと。


◆ ◆ ◆


名前:リリー

種族:人間

性別:女性

状態:正常

種族レベル:Lv1

HP:26/40(+5)

MP:40/40(+5)

STR:5(+2)

VIT:5(+5)

INT:5

AGI:5

DEX:80

LUC:777(固定)

ステータスポイント:15ポイント

職業:農家見習い  Lv3→ Lv4

スキル:鑑定Lv2、裁縫Lv2、採取Lv2、栽培Lv2、投擲Lv2、毒耐性Lv2→ Lv4、麻痺耐性Lv2→ Lv4、気配察知Lv2、隠密Lv2、地図 Lv2→ Lv3、成長促進Lv2、瞑想Lv1

スキルポイント:28ポイント

取得可能スキル:挑発、武器回収、工作

称号:遅咲きのラッキースター、挑戦者、方向音痴

所持金:877G(預金:5000G)

装備:麦わら帽子、軍手、見習いのシャツ、見習いのズボン、見習いのブーツ、初心者用投擲ナイフ×3、どんぐりネックレス、花柄エプロン

持ち物:初級ハイポーション×5、初級マナポーション×5、初心者用裁縫セット、水袋、火打ち石、ギルドカード(F)、葉っぱ×6、小石×22、木ノ実×8、体力草×36、魔力草×38、メモ紙、ペン、きゅうり×3、ハニービーの毒針×12、ハニービーの羽×40、はちみつ3瓶、ローヤルゼリー1瓶

販売所(5/5):体力草★3×5、魔力草★3×5、ハニービーの毒針★3×5、ハニービーの毒針★4×5、ハニービーの毒針★5×2(金庫:3050G)


◆ ◆ ◆

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