第14話 街の外へ その2
井戸の水を補充し、グランツさんとバーバラさんの生暖かい視線に見送られながら畑を出発ーー
「よし、今度こそ長時間滞在するぞ!」
回を重ねるにしたがい、採取や鑑定よりもいかに長時間森に滞在できるかに目標がすり替わった気もするけど、気にしない。だって、短時間じゃ採取も鑑定もちょっとしかできないんだもん。
意気込んで森に入り、隠れつつ採取や鑑定するも早々にモンスターに見つかってしまった。
「うわー、やばいっ」
毒状態になりながら必死に走って逃げる。
「はぁっ、はぁっ……あ」
……逃げた先にはリスや猿っぽいモンスターが待ち構えていた。きっと走って来た音でバレバレだったんだろう。
逃げた先にはまたモンスター……木の実や石を投げられ当たるたびにHPが減っていき、ついには死に戻ってしまった。
「虫は見つけたからなんとか避けたのに……まさか避けた方に他のモンスターがいるなんて、想定外だよぉー。投げてくる数も多くてよけきれないし……」
でも、今回の森散策?でHPは動いている時よりもじっと座っている方が回復が早いことを発見した。
多分、街の外より街の中(セーフティエリア)の方が回復が早いと思うけど……今のところ毎回、死に戻ってるから確認はできてない。はぁー。
ただ、回復のために森でじっと座ってるとモンスターの格好の餌食なんだよねー……さっきも簡単に見つかって石投げられたし。
「あ、そうだ……さっきのモンスターを参考にして石とか木の実を投げて投擲の練習すればいいんだ!」
森に入って……テクテク……
どうせ死に戻るのならその間に採取と鑑定に励み、石を拾っては狙って投げ、木の実を拾っては狙って投げ……投擲練習……うん、全然当たんないなー。
ちなみに投擲ナイフは投げて無くすのが嫌でほとんど採取にしか使ってない。投げやすそうな石や木の実はとりあえず拾って鑑定してからアイテムボックスへ入れていく。
「でも、これならなくす心配ないし、たくさん練習できるかも……」
そう言った矢先、蜘蛛の糸に引っかかって転んだりムカデなどのモンスターに出くわし、その度に麻痺や毒でじわじわHPが減ってしまうものの死に戻ることなくなんとか粘っていた。
「あとちょっと……せめてあの木まで」
少し先の木の根元に入れそうな穴を見つけたのでそこにはまって隠れて回復しようと思っていた……のに、たどり着く直前で横から飛び出してきた猪に激突され死に戻った。うん、軽く数メートルは飛んだと思う……
「なんか、はじまりの街なのに外のモンスター強すぎだよね?めっちゃ、死に戻るんだけど……わたし弱すぎ?」
この森は虫や蛇が多い気がする。
動物もいるにはいるけど、数的には虫や蛇かなぁ?それとも森の浅い部分には虫や蛇が多くて奥の方は動物が多いのかな?森の奥まで行けないからわかんないや。
でも、グロ設定をお子様でも安心のやつにしたことで虫系モンスターとかリアルだったら鳥肌ものだけど、デフォルメされてキャラクターちっくなのはありがたい。ただ、その可愛らしいモンスターに殺されるってなんともいえない微妙な気分……
グランツさんの離れをリスポーン地点にしたものだから何度も何度もグランツさんとバーバラさんに遭遇して説明はしたけど、少し気まずかった。
バーバラさんが心配していた迷子についても、たとえ森で迷子になってもウロウロしてるうちに死に戻るから関係ないというね……
いつのまにか辺りはすでにうす暗くなっていた。そして、本日の死に戻り回数……5回。
ピコン!
〈条件を満たしたため称号が付与されました〉
*****
称号:挑戦者
効果:スキルポイント+3ポイント、HP、MPに+5、1日5回まで死に戻ってもアイテムをロストしなくなる。
取得条件:1日に5回以上死に戻ること。
*****
「はぁ、この称号って不名誉称号かなー」
1日3回までのところが5回まで死に戻ってもアイテムをロストしなくなるって言っても、デスペナでお金が減るのは変わらないみたいだからそこは気をつけてこまめにギルドに預けないと……
ピコン!
〈スキル:毒耐性が取得可能になりました〉
ピコン!
〈スキル:麻痺耐性が取得可能になりました〉
ピコン!
〈スキル:採取がレベルアップしました〉
「おっ、これはあったらいいかもっ!死に戻ったかいがあるってものだねー」
なるべく長く森の中をウロウロできるように【麻痺耐性】と【毒耐性】をそれぞれ3ポイントを消費して取得する。
「うーん……死に戻るのは前提として、隠れつつ採取するのが1番現実的かなぁ……投擲とかはまずは練習しないとモンスターにかすりもせずナイフをなくす未来しか見えないもんね。石や木の実で練習だなー」
今回、採取できたのは鑑定によるとほとんどがポーションの材料だ。でも、これは【調合】か【錬金】がないと作れないらしい……とりあえずはアイテムボックスの肥やしかな?時間経過しないから萎びることもないでしょ。
「ていうか、わたしポーション持ってたんじゃんっ!木なんか目指さずにその場でポーション飲めばよかったー……ん?でもデスペナがないなら後々のために残しといたほうがいいかー」
夜は明かりも持ってないから今日はこの辺でやめておこう……夜の森って怖そうだし……
◆ ◆ ◆
名前:リリー
種族:人間
性別:女性
状態:正常
種族レベル:Lv1
HP:40/40(+5)
MP:40/40(+5)
STR:5(+2)
VIT:5
INT:5
AGI:5
DEX:80
LUC:777(固定)
ステータスポイント:5ポイント
職業:農家見習い Lv2
スキル:鑑定Lv2、裁縫Lv1、採取Lv1→ Lv2、栽培Lv2、投擲Lv1、毒耐性Lv1、麻痺耐性Lv1
スキルポイント:42ポイント
取得可能スキル:成長促進
称号:遅咲きのラッキースター、挑戦者
所持金:7777G
装備:麦わら帽子、軍手、見習いのシャツ、見習いのズボン、見習いのブーツ、初心者用投擲ナイフ×3
持ち物:初級ハイポーション×5、初級マナポーション×5、初心者用裁縫セット、ロープ、水袋、火打ち石、ギルドカード(F)、葉っぱ×7、小石×13、木ノ実×6、体力草×24、魔力草×22
◆ ◆ ◆
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