第15話 投擲

 昨日1日中ゲームばかりしてたらお母さんに怒られたので家のお手伝い……また重たいものの多い買い物を済ませた後は部屋の掃除、早めにお昼を食べてログイン……

 

 

 まずは自分の畑チェック……うん、まだまだまだ収穫は遠そう。生えていた雑草をいくつか抜き、倉庫からジョウロを出して水をあげる。なんか少しだけ慣れてスピードが早くなった気がする。


 「グランツさん、グランツさんの畑の方もお水まいていいですかー?」

 「うむ、頼むぞ」

 「はーい」


 それなりに時間はかかったものの、無事にまき終えた。


 「リリーちゃんはこれからどうするの?」

 「んー……街の外へ行こうかと思ってます」


 デスペナがないのも今日までだし……街中の散策っていうのもアリだとは思うけど、迷子になったのが若干トラウマなんだよねー。ほら、それはデスペナがあるようになってからでも遅くないし?


 「そう……」

 「そうだっ、バーバラさん!麦わら帽子と軍手すごく助かってます!ありがとうございます!」

 「喜んでもらえて嬉しいわ……気をつけて行ってくるのよ?」

 「はい!ありがとうございます……あ、もしかしたら……いや、多分ちょくちょく復活するかもしれませんけど……気にしないでくださいねー」

 「え、ええ……」

 「……わかった」

 

 あんまり夜まで時間ないけど、毒耐性や麻痺耐性のスキルがどんな感じかも知りたいなー。


 「じゃあ、いってきます!」

 「「いってらっしゃい」」

 

 相変わらず人気のない森を鑑定や採取をしつつ、石を拾いながら進む……本当、他のプレイヤーはどこにいるんだろーね?まだ誰とも会ったことないや……って言ってもそもそもそんなに人と交流してないんだけどねー。


 「よし、あの木を的に投擲の練習しよう!」


 木からだいたい1メートルくらい離れたところに立ち、石を投げる。


 「えいっ!ほっ!だぁっ!」


 10回投げて当たったのはたった2回……


 「命中率わるー……ってやばっ!」


 集中していたらモンスターに激突され死に戻った。


 「はぁー……」


 時間の許す限り森に入り、毎回のように麻痺にかかったり毒、火傷などあらゆる状態異常やモンスターの攻撃で死に戻っている。

 ……というかモンスターの攻撃で麻痺や毒になったら投擲練習はやめて、じわじわHPが減る中必死に鑑定し採取したらアイテムボックスへ入れる……そしてHPがゼロになるかモンスターの追い撃ちがあって死に戻るって感じかなー。

 投擲はじわじわHPが減る中練習しても全然集中できなくて外れまくったからやめたんだよね。

 でも、毒耐性と麻痺耐性のおかげか死に戻るまでの時間も少しのびたような気がする。


 モンスターに見つかって死に戻るまで何度も何度も投げ続けた結果、石なら2回に1度くらい当たるようになった。それとほぼ同時に……


ピコン!

 〈スキル:投擲がレベルアップしました〉


 「おっ、投擲もレベルアップした。やったー」


 さっそく的から1メートルくらい離れた場所から10回投げてみると……


 「おおー!7回も当たった!レベルアップってすごいね!」


 とは言っても、狙った木には当たるけどその場所はバラバラ……この辺は練習を重ねるかレベルアップが必要だなぁ。距離も伸ばしたい……1メートルくらいの距離じゃモンスターの動きの方が素早いから石を投げる前に見つかって攻撃される。

 モンスターに見つからない位置からこっそり攻撃できるくらいの実力がほしいなー。


 試しに茂みの影からモンスターに石を投げてみたら、倒すどころかモンスターが逆上してこちらへ向かってきてボッコボコ……簡単に位置がばれちゃった。

 しかも石を投げたことが挑発になったみたい。なんでって?


ピコン!

 〈スキル:挑発が取得可能になりました〉


 って出たからだよ!スキルの概要を読むと……挑発することによりヘイトが向きやすくなる。レベルにより効果が異なるってなってた。完全戦闘向きだよね……たった1回でスキルの取得条件を満たしたなんて運がいいのかなんなのか……


 「でも、さすがにこれはいらないなー……わざわざ死に戻る可能性あげなくていーよね?」



 投擲がレベルアップしたのでナイフを木に向かって投擲するものの、いちいち拾いに行くのがめんどくさいな……あ、そうだ!ナビさんにもらったロープをくくりつけて……あれ、うまくいかない……あっ。

 この間に死に戻ったことは言うまでもない……


 「はぁ、やっちまった……」


 今度はちゃんと部屋で時間をかけてナイフにロープをしっかりとくくりつけた。


 「よし、できたー!」


 さっそく森に入ってすぐの場所にある木を目指し……


 「投げてみよー……えいっ」


 木には刺さらずポテンと落ちた……


 「ふっふっふっ……ロープの真価はここからだっ」


 ズル……ズル……ロープを引っ張れば自然とナイフもついてくるのだ!


 「ナイフを取りに行ったり探す必要ないし、結構いいかも……回収中にモンスターに見つかったらアウトだけどねー」


 何度か繰り返していると……


ピコン!

 〈スキル:武器回収が取得可能になりました〉


 武器回収は敵の武器のドロップ確率が上がる。素早く武器を回収できるってことみたい。もちろん最後は死に戻ったよ。


 「外も暗いし、今日もたくさん死に戻ったのでこれくらいにしとこう……」



ピコン!

 〈スキル:気配察知が取得可能になりました〉


ピコン!

 〈スキル:隠密が取得可能になりました〉



 「おおー、今日はスキル取得祭りだ……こんなにあると迷っちゃうなー」


 うーん……


 明日からデスペナあるし……生き残るためには必要そうだ。それぞれ3ポイントだけど【気配察知】と【隠密】を取得した。

 毒耐性や麻痺耐性も順調にレベルアップしている。

 あれ、おかしいな?わたし戦闘職じゃないんだけど……スキル取りすぎかな?


 「でも、今のところ生産に使えそうなのは成長促進しか取得できないんだよね……でもなー、成長促進ってスキルポイント5ポイントいるんだよね……グランツさんに聞けば知ってるかな」


 そーいえば、種族レベルって死に戻るだけじゃ上がらないのかなぁ?やっぱりモンスターを倒さないとダメなのかな?

 明日茉由ちゃんに聞いてみよーっと!


◆ ◆ ◆


名前:リリー

種族:人間

性別:女性

状態:正常

種族レベル:Lv1

HP:40/40(+5)

MP:40/40(+5)

STR:5(+2)

VIT:5

INT:5

AGI:5

DEX:80

LUC:777(固定)

ステータスポイント:5ポイント

職業:農家見習い Lv2

スキル:鑑定Lv2、裁縫Lv1、採取Lv2、栽培Lv2、投擲Lv1→ Lv2、毒耐性Lv1→ Lv2、麻痺耐性Lv1→ Lv2、気配察知Lv1、隠密Lv1

スキルポイント:36ポイント

取得可能スキル:成長促進、挑発、武器回収

称号:遅咲きのラッキースター、挑戦者

所持金:7777G

装備:麦わら帽子、軍手、見習いのシャツ、見習いのズボン、見習いのブーツ、初心者用投擲ナイフ×3

持ち物:初級ハイポーション×5、初級マナポーション×5、初心者用裁縫セット、ロープ、水袋、火打ち石、ギルドカード(F)、葉っぱ×16、小石×22、木ノ実×8、体力草×31、魔力草×27


◆ ◆ ◆

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る