第75話 そうびっ、装備っ! その2

 

 「はっ!アイテムボックスに入れちゃうと装備してない判定になって、ステータスに補正もつかないのかっー。よく考えたら槍も持ち歩かないとステータスに補正つかないじゃんっ!」


 守護の盾のせいで守護の槍を装備しないとSTRが元よりー3になるという罠がっ!

 なんということだっ……完璧な計算で交換したつもりだったのに……こんなところに思わぬ落とし穴があったなんて……がーん。


 「んー、どんまい?」

 「はっ、仕方あるまい。こうなったら無理矢理にでも持ってみるしかあるまい……」

 「テンションどした?」

 「ちょっと想定外なことだったからさー……なんとなく?」

 「あ、そう……」


 ん?……今まではどうしてたのかって?ズボンのポケットに石、左手にオリジナル武器、右手にロープをくくりつけた簡単回収投擲ナイフだよ?

 ……え?どうやって薬草採取してたか?そんなの右手のナイフでだけど?

 ……え?そうじゃない?あー、オリジナル武器を小脇に抱える、もしくは地面に置くor木に立てかけて右手に持ったナイフで採取してたんだよー。

 死に戻るわけだわ……はっはっはっ!うん、全く戦闘する気のないやり方だよね……最近は1撃で死に戻ることがほぼなくなったが故に武器を地面に置いて採取っていう荒技なのですよ!

 1撃に耐えればなんとか武器が手に取れるからね。

 じゃないと死に戻った時体に触れてないものはその場に残っちゃうんだよねー……それもしばらくしたら消えて無くなっちゃうらしいよ。

 まぁ、最近は案山子さんというボディーガードがいるからもっと楽に採取できてたんだけどねー!案山子さんにオンにしてもらえば武器はそこら辺に転がしておいても安心なんだよー。


 そうそう……万が一、持ち主のいない武器を拾った場合はその武器の持ち主が死に戻ったばかりってことを指すらしい。

 その武器は拾ったひとのものにすることができるんだけど、時々トラブルになることもあるとか……街で見かけてそれ、俺の武器じゃねーか!的な。

 どうしても武器を取り戻したい場合は、買取を申し込むか……模擬戦で勝ったらとか賭けの商品にするってこともあるみたい。

 あ、でも拾った武器よりもいい武器を使ってるひとはギルドに拾得物として預けたりするらしい……そういう親切なひとが拾った場合、返ってくることもあるんだってー。

 はじまりの街では返ってくることが他の街よりも多いとか……だけど、そもそも武器を拾える確率が低いっていうから、もし武器をなくしても期待はしないほうがいいね。


 

 「さて、どうしようか……」

 「……うん、リリーさんや。まずはナイフホルダーか短剣用の鞘でも買えばいいんじゃないかな?」

 「ほうほう、ナイフホルダーかぁ……それって短剣もいけるの?」

 「サイズさえ合えば大丈夫でしょ……探してもなければ製作依頼すればいいんだよ」

 「おおー、そうなんだ」


 ふむふむ……守護の短剣は全長が35センチぐらいかな?あって、刃渡りが20センチ強なんだけど、残念ながら鞘はついてなかったのね。鞘も付いてたら綺麗な上に安全でとってもよかったのに……

 棍棒と違って紐で腰から下げとくのも怖いし、いつのまにか紐が切れて短剣自体を落とす予感しかない。あと、エプロンのポケットに入れるのは破れたら悲しいし怖いから却下だなー。

 腰から下げとくとかエプロンのポケットに入れておくのが怖いっていうのは転んだ拍子とかに自滅しそうって意味ね。想像しただけで痛いわー……そうなったらトラウマになりそうだもん。


 まぁ、棍棒はオリジナル武器に進化してからは腰から下げずに左手に持ってたんだけどね……自滅防止っていうより、腰から下げたら歩きづらかったんだよね。歩く度にカツーン、カツーンて当たるんだもん……だからあの散策スタイルが完成したともいうんだけども。

 自滅防止ってこともあって、守護の短剣はとりあえずアイテムボックスに入れて保管に決まったわけよ。

 うーん、でもやっぱりステータスのためにも槍と短剣は装備状態にしておきたいよねー。


 「あ、投擲ナイフの代わりに短剣持てばいいのか……そうすれば短剣スキルの取得も目指せるし一石二鳥かな?」

 「それもありだろうね……そんなの時と場合によって投擲ナイフと使い分ければいいんじゃないの?」

 「そうだよね……そう言われるとますますナイフホルダーは必要な気がしてきた」

 「まー、そうすれば多少は不便から解放されるかもね?片手も空くし」

 「だよねー……ん?」


 あれ?現実的に考えたら盾だって腕にも取り付けられるタイプとはいえさらに投擲ナイフとオリジナル武器or短剣と槍もしくはその両方……絶対持てないじゃん!なんか自分の装備が迷走してきた気がするぞ?

 おっかしいなー?完璧な計画はどこへいったんだろうかー(棒読み)


 「ねえ、ベルさん。槍って背中に背負っても装備判定かな?……こう、斜めがけに」

 「……ん?槍を背負う?……大剣とかは装備判定だからいけるんじゃない?でも、とっさの時に長くて取り出せないんじゃないかな」

 「いやー、もういっそのこと発想の転換で槍は背負う防具ってことにするのはどうかと思ってさ……」


 武器と防具の垣根を超えたこの作戦……いけると思うんだけど、どうよ!使わない前提ならローブ着てても問題ないしっ!


 「……」

 「そ、そうすれば全部解決でしょっ?背負わないときは武器として振り回せば……ほら、背負っておけば予備武器としての役割も果たせるし」

 「あー、うん……そうなの……かな?」

 「き、きっとそうだよ!」

 

 よし、とりあえずナイフホルダーと槍ホルダー?を街へ戻ったらお店で探してみよう……あ、心配しなくても平気だよ?

 まずは地図スキルで地点登録してあるところにいく予定だからね。

 んー、そこで見つからなかった時は……地図スキルのレベルアップを目指してひたすら迷子になるか、誰かに連れていってもらうか、恥など捨てて親切なひとに道を教えてもらおーっと!

 

 「いや……予備はすぐに取り出せなきゃ意味ないな!一瞬流されそうになったけど……ってあれ?リリー、全然聞いてないじゃないかー!」

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