第43話 冒険?


 あ、そうだ……もしかしてあのことも情報屋さん?に売れたりするのかなー?あれも称号だし。


 「みんなはもう北の山脈にある洞窟?に行かなくちゃいけないんだよね?」

 「そうねぇ」

 「うん、まぁ……そうだけど」


 ベルはハッとしたように


 「ちょっと待って!リリーがこういう時は本人は全く気づいてないけど、何かしら重大なことが多いんだよっ!事と次第によってはわがまま言わせてもらうかも!ね、シュウ?」

 「リリーの場合、確かにそうだな……なんなら俺だけ残ってもいいし」

 「へぇ、そうなんだ。私としてはすでにルガルフへの1番のりが無理なのは確定してるから、それに勝るものならなんでもいいわよ。シュウだけ残るなんてリリーちゃん独り占め反対」

 「うん。あたしも面白いならばなお良し……シュウの手に落ちるのはんたーい」

 「だね~……人は見かけによらないんだから。あぶないったら~」

 「オレもヘルプだしなー。メンバーが決めたことに従うぞ?」

 

 アリッサ、ルティ、タミルにそう言われたシュウはものすごく嫌そうな顔をしている。

 

 「おい、お前ら!人を何だと思って……」

 「まぁまぁ、冗談はそれくらいにして……じゃないとまじでリリーが勘違いするからね?」

 「「「「りょーかい」」」」

 「はぁ……マジで勘弁してくれよなー」


 仲よさそうで何よりだねー……みんな、面白ければオールオッケー的な感じかな?


 「あのね、街の外でちょっと気になるものを見つけたんだけど……わたしのMPじゃ足りないみたいでね?みんなはMPって余ってる?」

 「もちろん!今からモンスターと戦闘の予定だったからね!」

 「あたしも結構あるよ?」

 「あー、ごめん。オレはMPに振ってないから……」

 

 ふむふむ……ベルとルティがこの中ではMPが多いらしい。アリッサとタミル、シュウはほどほどに……なんと常夏はわたしと変わらないくらいしかなかった!拳闘士にはあまり必要ないんだってー。

 うん、ちょっとどのくらいあるのかダメ元で聞いたらベルだけで余裕でしたよね……


 「で、リリーはMPを使って何かしたいわけね?」

 「うん。何が起こるかわからないんだけど……てか、何にも起こらない可能性もあるんだけどそれでもいいかな?」


 あ、でもあそこには地下道もあるから何かしら収穫はあるのかな?モンスターは確実にいたし。

 でも……別に急いでるわけじゃないし、迷惑ならまた今度でもいいかな……フレンド登録したからログインしてれば連絡は簡単に取れるみたいだし。


 「まー、面白そうだしいいんじゃね?」

 「だね~!案山子さんと関われるなんて貴重な体験外せないよね~」

 「それもそうだね……案山子さん他では見たことないし」


 案山子さんひょっとして人たらしなんじゃ……


 「それなら今日はリリーちゃんと案山子さんと親睦を深めるってことでいいよね」

 「「「さんせー」」」

 「よし、決まったな!街の外へ行くならリリーもパーティに入って」


ピコン!

 〈プレイヤー:シュウよりパーティ申請があります。Yes or No〉


 おー、初めてのパーティだ!もちろんYesですよ!


 「不束者ですがどうぞよろしく」

 「ヨロシク」

 「嫁入りかっ!」

 「こんな可愛いお嫁さんなら大歓迎よ」

 「えへへ……」

 「エヘヘ」

 「案山子さんはお婿さんじゃないの?」

 「だね~」

 

 残念ながら案山子さんはパーティを組めなかったけど一緒に来る分には問題ないみたい……今度、何か方法がないかグランツさんに聞いてみよう。


 ちなみにパーティメンバーの人数に上限はないらしい。ただ、たくさんいればいるほど経験値が振り分けられてしまうので大体は5、6人くらいで組むんだって。経験値は貢献度によって振り分けられるからパーティ内でも多少の差は出るんだってー。わたしみたいなのでもゼロってことはないらしい。これを寄生プレイと呼ぶのか←

 ボス戦とかはまた違うらしいけどね……今回は案山子さんも入れると8人だから結構な大所帯になったねー。


 「じゃ、リリー案内よろしく」

 「はーい!あ、わたしは案山子さんが守ってくれるって言うから安心してねー」

 「今、案山子さんがリリーを守るとか言った?」

 「うん」

 「ねぇ、普通は案山子って戦闘できないよね?」

 「だよなー……念のため気を配るってことで」

 「「「「「りょーかい」」」」」


 みんなでコソコソしてどうしたんだろ?


 「リリー、マカセテネ!ソウダ、アレハドウスル?」

 「うーん……みんなは戦闘したい?したくない?」

 「「「「したい!」」」」

 「「どっちでも」」


 うん、多数決の結果戦闘したいそうなので……


 「案山子さん、アレはオフでいいよ!」

 「ワカッタ!リリーハボクガマモルヨ!」

 「わー!案山子さん、イケメーン!」

 「……リリー?何してるの?」

 「ど、どうした?」


 あら、みんなキョトンとしてる……


 「あ、ごめんごめん。じゃあ西の森の鐘へ向かってれっつごー!」

 「ん?鐘?」

 「鐘ってワールドニュースの?」

 「そうそう!詳しいことは着いてからねー」

 

 意気揚々と西の門とは反対方向へ進みだしたリリー……もちろんすぐに案山子さんによって方向を修正されているのをメンバーは生暖かい目で見ていた。


 「ねぇ、シュウ。わたしなんだかとっても嫌な予感がするんだけど……」

 「おー……妹よ、奇遇だな。俺もだ……」


 

 道中、案山子さんの戦闘能力にシュウやタミルが食いついたり、常夏が案山子さんと模擬戦をしたがったり(しなかったけどあれはまだ諦めてない目をしてるね……)、あっという間にわたしの種族レベルが上がって愕然としたり……

 色々ありつつ……天籟の鐘へ……地図と他のメンバーの活躍で死に戻らずに到着できたよ!えっへん←


 「やったー、着いたー!」

 「ツイター!」

 「天籟の鐘かー。久しぶりに来たかも……」

 「だね~。てっきり検証班がいるかと思ったけど?」

 「あー、なんかセカンディルで遺跡?みたいなのが見つかったんだってー……あとのメンバーは北の山脈の洞窟でモンスターと戦闘中じゃない?ルガルフは検証の宝庫だろうし」

 「そっか。それでひとまず天籟の鐘は放置か……」

 「うん、前回調べた時に何も出なかったから何かしら条件があるはずだって時間とか人数とか試してたらしいけど……あそこは人数も少ないからなかなか手が回らないんだろうね」

 「結構、クランに入るの厳しいって聞くもんね……」

 「まー、あそこは条件も特殊だから」


 アリッサとタミルが話し込んでいる側ではリリーがおもむろに天籟の鐘へ登りはじめていた……


 「よいしょっと」

 「え、ちょっ!リリー何してんの?」

 「うん、ちょっとねー」


 メンバーもわたしの後に続いて登ってきている。す、素早い……身のこなしが違うね。もちろん案山子さんはぴょーんと跳んだよ!


 「まあまあ……見てて!あ、なるべく鐘から離れててねー」

 「ワカッタ」

 「「「「「「う、うん……」」」」」」


 鐘の真下に手をつく。これで開かなかったらみんなの時間が無駄になっちゃう……ドキドキ。


 パカッ


 「よかったー……ちゃんと開いたー」

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