第42話 メンバー

 案山子さんと連れだってやって来たのは全部で4人。

 女のひとが3人と男のひとが1人。うん、なんだろうね、みなさん美男美女ですねー……わたしが気後れしちゃったらどうするんだよー。ま、しないんだけどさー……気分的に言ってみたよ。

 案山子さんはへのへのもへじといっても過言でないお顔だから気にならないけど、やっぱりみんな顔とか少しは変えてるのかな?あんまりいじりすぎると不自然になるらしいけど……

 ベルやシュウはアニメちっくなこと以外リアルと変わらずほぼそのまま……うん、キャラメイクすらもゲームを早く開始したいためにすっ飛ばしたんだろうなーって簡単に想像できちゃったよー。

 でもさ、みんなデフォルトでこの顔だったらすごい集団だよねー。


 「おーい、リリー聞いてる?」

 「え、なに?聞いてなかった、ごめん」

 「リリーにメンバー紹介したいんだけどいい?」

 「あ、うん」

 「右からアリッサ、ルティ、タミル、常夏だよ。常夏以外は一緒にパーティ組んでるメンバーだよ。で、こっちがリリーね!」

 「「「「よろしくね(な)」」」」

 

 アリッサさんは青く長い髪をポニーテールにしたクール系美女でシュウや常夏さんのリアフレらしい。そしてお胸がボイーン……う、羨ましくなんて……あるっ。ぐすん。

 ルティさんはピンクの髪をツインテールにしている。格好は魔法少女風。うん、昔アニメで見たことあるやつに似てる。それが似合っちゃう美少女さんで、わたしやベルと同い年なんだって。

 タミルさんは金髪のウェーブボブ。背も女性陣の中で1番大きい。しかし、わたしはそれよりもタミルさんの後ろで揺れる尻尾とぴょこんと飛び出たお耳が気になる。はっ、なんともふもふ獣人さんだったのですね!でも、優しそうっていうかマイペースな感じがする。

 なんか、このパーティって目立ちそうだよねー……ほら、さっきより視線が増えた気もするし……


 で、常夏さんは日に焼けた肌に金の短髪、そしてむきむき筋肉……うん、名前同様若干、暑苦しい雰囲気だけどいい人感もすごいあるよ。シュウのリアフレってことはもしかしたら会ったことあるかもなぁ……全く思い浮かばないけれどっ!


 「よろしくお願いします。リリーです!こっちは……あ、もう知り合いか」

 「ウン。リリーノトモダチ、ボクノトモダチ。トモダチノトモダチ、ボクノトモダチ?」

 「あー……うん」


 なんだか案山子さん、その理論でいくといつか騙されてしまいそうで怖いなー……た、多分大丈夫な、はず。


 「常夏は俺とあと3人でパーティ組んでるんだ。そしてなんと!クランのリーダーだぞ」

 「ほー」

 「ホー」


 クランとはなんぞや……ふむふむ。プレイヤーの団体か←


 「ま、シュウも副リーダーだけどなー」

 「おー……ふたりともお偉いさんでしたか」

 「オエライサン……グランツミタイ」

 「確かに」


 グランツさんも元ギルマスだもんね……


 「お、おおぅ……ただ押し付けられたともいうぞ」

 「へー……で、みんなはなんでここに?ベルのパーティは次のステージに行くためなんだよね?」

 「ベルのパーティが次のステージへ行くのに手間取ってるから俺らはヘルプなんだよ」

 「ぐぅ……火力不足なんて悔しすぎ」

 「だよね~」


 アリッサさんは剣士、ルティさんは後衛の回復……そこは神官風だろって突っ込まれても我関せずなんだよってベルが教えてくれた。タミルさんは鎧を身につけ大きな盾を持っている。ベルは魔法で戦うっていってたけどそれでも火力不足って洞窟?のモンスターどんだけ強いんだろ……

 あ、ちなみにシュウも剣士で常夏さんは拳闘士らしいよ。もちろんみんな見習いなんてとっくに卒業したってさ……


 「そうだ!リリーに教えてもらったやつ情報屋で売ったから!」

 「おー、お役に立てたようで」

 「えっ、あれってリリーちゃんが教えてくれたの?」

 「はい」

 「わー!あれすっごく助かったの!称号もアイテムボックスも!ありがとう」

 「いえ」


 アリッサさんと話しているとルティさんから視線を感じた……なんだろ?


 「あれ?麦わら帽子に初期装備でサーディアスをウロウロしてる……って掲示板にのってたよね?」

 「うん、だね~……私、それ見たな~」

 「ってことは……リリーのことなのか」

 「え、なにそれ?なんのこと?」


 かくかくしかじか……


 「え、わたしプレイヤーと遭遇してたのっ?声かけてくれればいいのにー」

 「あっ、驚くとこそこなんだ……普通は掲示板の内容なんだけど」

 「リリーはマイペースだからなー」

 「あ、そうだ!私たちともフレンドになってくれないかしら?」

 「もちろんですよー!」


 早速、みんなとフレンドになった!今日だけでたくさんフレンドできちゃったよー!わーい!それに敬語じゃなくていいって!なんだか距離が縮まった気がするねー!


 「そういえば次のフィールドってどんなところなの?……あ、これって聞いちゃいけないやつ?」

 「いや……リリーが掲示板に流したりしないなら平気だけど」

 「それは大丈夫!掲示板?のやり方知らないから!」

 「そう。次のステージは洞窟の先にあるんだけど……なんと、ドワーフの国なんだよ!ルガルフって言うんだけど、かつて国をおこした伝説のドワーフの名前をそのままとったんだって」

 「へー、こことは違う国ってこと?」

 「うん、どうも洞窟のどこかに国境があるらしいよ」

 「だからこの国の他の街にも行けるはず……」

 「うん、さすがに大きな街が3つしかないなんてありえないわよねぇ」

 「ルティやアリッサみたいにプレイヤーの中には他にもここから行ける街があるからじゃないかって言ってる人もいるんだよ?」

 「へー」


 その洞窟は北の山脈にあるらしい……西の森しか行ったことなかったけど、東は第2の街セカンディルへ続く街道が、南は海があり水棲モンスターがいるらしい!海の幸……じゅるり。


 「あっ!そうだった!リリーにお金渡さないと!」

 「ん?お金ってなんのこと?」

 「ほら、さっき言ったじゃん!情報料!」

 「あー……」


 そんな話もしたような……


 「さてはすっかり忘れてたな?まぁ、いいや。早速送るから」

 「ん?送るってどうするの?」

 「フレンドならお金もウィンドウ上で簡単に送れるの」

 「へー」


 あ、送られてきた!


 「いち、じゅう、ひゃく、せん、まん……ちょっ、これ多くないっ?ベルの分もきてるとかっ?」

 「いや間違ってないよ。それでわたしと分けた半分だよ!」

 「まじかー……情報ってすごいんだね」

 「今回のは誰でも取得できる称号だっだし、アイテムボックス拡張はプレイヤーにとってかなり重要だったからねー」


 わたしお金持ちだー……わーい!はっ!案山子さんに貢がなくては!



 ー今日の案山子さんメモー

 ・案山子さんはコミニュケーション能力が高いみたいです

 ・ただし、わたしの友達だったら安心だと騙される可能性ありそう

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