第55話 運営
とある会社の一室にて……
「ふぅ……なんとか無事に終わったな」
「はい!」
「ですねー」
「そうっすね」
画面を注視してたせいか、目が疲れたな……
「そういやあのプレイヤーたちどうなった?」
「黄色信号だったプレイヤーっすよね?」
「ああ」
黄色信号とは要注意プレイヤー、ちなみに赤信号はないアウトだからだ。
「今回は彼らも運が悪いというかなんというか……」
「ふふっ!わたしたちがラッキースターちゃんを見張らないわけないじゃないですかっ!マシンナリーさんのゆくえを握っているんですからね!」
「まあなー……管理AIはどう判断した?」
「んー……フィールドから追い出した後、一定期間のログイン制限ってところですかね」
「そうか……」
「ま、妥当っすかね?」
一定期間か……ゲーム内ではリアルと違い時間が進むのが早いからな。ログイン制限中、あっという間に置いてけぼりか……
「きっと、やめちゃうんでしょうね」
「どうかな……そういや田中、お前戦闘以外でのクリスタルの出現率少し甘くなかったか?」
「え、だって今回はマシンナリーさんのこともあるし当然ですよねっ?」
まー、今回は戦闘をしなくても誰でも簡単にクリスタルがゲットできる仕様にしてたのは事実だ。モンスターのリポップよりも他を探す方が効率的にして戦闘職以外にも手に入れやすいイベントに!と田中が頑張っていた。こちらの想定よりもプレイヤーが手にしたクリスタルは多かったしな……
「いや、そんなにギラギラした目で見られてもなー」
「その割に戦闘は出現率厳しかったよな……だいぶLUCも関係してたし」
「それに、このイベント以外にもクリスタルは手に入るじゃないっすかー」
「たしかに」
「でもでもっ!今回は私主導のゲリライベントなんですよ!掲示板パトロールもサボって準備頑張ったのに!」
「いや、お前がサボったしわ寄せは全部こっちにきてるんだからな?」
「そうっすよー!」
「うんうん……飯でも奢ってくれないとやってられないわ」
「えへへ……」
掲示板も軽くチェックしてみるがイベントは概ね好評だったようだ。ひと安心だな。
「はあ、またしてもゾロ目の出番はなしかよ……」
「あっ、このプレイヤー惜しかったっすねー!あと1つクリスタル見つけてたらゾロ目だったのに……」
「ちぇー、ゾロ目だったらサプライズで報酬用意したのになー」
「まあまあ、それはまたのお楽しみってことで」
「だよな。ま、今回はほとんど問題も起きずにイベント進んだし上々だよな?」
「はい!」
「ええ、それにラッキースターちゃん見てると飽きないし、相変わらず色々と見つけてくれちゃった上、有名プレイヤーとも仲良いみたいですしね」
「ですよねー!でも、今回はマシンナリーさんの方にも関係あるし結果オーライですよー!彼らが協力してくれたら百人力ですっ!」
あー、あの地下通路か……確かもう1人が一緒に行動してたんだよな?
「ま、あの地下通路はラッキースターちゃんだけじゃ無理だったろうけど」
「そうっすね!あのベル?とかいうプレイヤーも結構頑張ってたみたいですしランキングも……おー!20位と32位ってすごいっすね」
「だなー」
うむ。時々そのプレイヤーもチェックすることにしよう……
「ただなぁ、田中。お前上位入賞者の発表失敗したよなぁ?」
「うんうん」
「あれは失敗っすね……」
「あ、えっ……それはですね」
「それに上位入賞のポイント説明も忘れたよな?あとでしっかりサイトに上位入賞者のランキングとポイントについても上げておくように」
ほぼ、お知らせしか載せてないがまあ一応な……多分、一部のプレイヤーには忘れて慌てて上げたって気付かれるんだろうな……はぁ。
「は、はい!わかりました!」
「そういえばポイント交換は転移陣に偏りそうっすね……」
「ですね……今回のシリーズは防御に向いているものが多いし」
「シリーズ由来っすね」
「ああ」
なぜかといえばマシンナリーはかつてこの地の守護者だったという設定があるからなんだが……その辺りもラッキースターちゃんがうまく話を進めてくれるといいんだけどなー。変な方向にだけ進まないでほしい。主に残業しない方向で頼む。
「転移陣設置キットもポイントがかなり必要だしそこそこバラけるんじゃないか?クラン用なんてひとりで交換できるの数人だけだし……そもそも交換できるプレイヤーいないかもって考え上で念のため救済措置はあるがヘルプ読むか?救済措置で格段に手に入りやすくなるとはいえ、上位入賞者の報酬がクラン用ではないが転移陣設置キットまでつけて大盤振る舞い過ぎたか」
「うーん……それでも上位ランキングのプレイヤーはみんなゲットしそうな雰囲気ですよ……クランやパーティメンバーと相談してクラン用はリーダーが代表で、パーティ用は副リーダーがって分けて交換するプレイヤーもいそうですし」
「そうっすねー……いくつかの場所に設置したかったなら数も必要っすから」
「救済措置に気づいたクランやパーティは確実に複数取りに来るだろうな」
ま、それでもポイント足りなくて嘆いてるプレイヤーもいるみたいだが……
「ひとり用でもフレンドやクランメンバーに使用許可さえ出せばそのプレイヤー専用なわけじゃないし、1度に人数が転移できないだけでクランハウスとかの拠点同士をつなぐ転移陣とか、急いでる時じゃなければかなり便利だと思うっす」
「注意書きの重要さを思い知れ!ってやつですよね……」
「ま、ポイントが足りない彼らには我々の販売所で高いお金を出して買ってもらうことにしようか」
あれも買えるプレイヤーはかなり少ないけどな……あれ買えるプレイヤーのほとんどは上位入賞してるだろうし……
「あ!でもアクセサリー類は結構人気みたいです!プレゼントするプレイヤーやおしゃれでつけるプレイヤーもいるみたいなので!」
「田中がデザイン部とこだわったんだっけ?」
「はい!何日も徹夜した甲斐がありました!」
おお、目の下のクマはそのせいか……てか、ラッキースターちゃんがいつ条件をクリアするかもわからないのによくやったな。しわ寄せのせいで俺らもクマが酷いけどな……佐藤なんてふらふらしてんだぞ。
「田中、今日はもう休め」
「で、でもっ!マシンナリーさんが……」
「んー、今日はもう大丈夫じゃないですかね?ログインのクールタイムもあるし、ラッキースターちゃんたちだって仮眠くらいとるんじゃ……」
「はぁ……とりあえず仮眠してこい」
「……わかりました」
はぁ、みんなイベントで休みなく働いたんだよなー
「佐藤、鈴木お前らも今日は帰って休め……」
「でも、山本さんは……」
「そうっすよー!山本さんだってかなり……」
3人の視線が厳しい……仕方ない
「はぁ……俺も他のチームにヘルプ頼むから、な?」
「はい!」
「わかりました」
「りょーかいっす」
明日からも忙しくなりそうだな……
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