第47話 準備

 足早に街へ戻る……そうそう。落ちた穴から脱出する方法って死に戻るか通路を進むしかないと思ってたんだけどシュウが地面の印を見つけて手で触れたら地面から階段が出現して入口が開いたんだよね……なんで前回あれを見つけられなかったんだろ。


 今回は案山子さんに魔物よけをオンにしてもらったのでかなりスムーズに街へ戻ることができた。


 「俺たちは一旦クランハウスに戻るけど、リリーも一緒に来るか?」

 「リリーなら大歓迎よ?」

 「うーん、とりあえず畑に戻るね!グランツさんたちにも話しておかないとだし」

 「……残念。他のメンバーにも会わせたかった」

 「今度、遊びに行くね」

 「うん、絶対だよ?」

 「わかった!楽しみにしてるね!」

 「そうだ。わたしたちもなるべくクリスタルを集められるように他のメンバーにも声かけてみるね」

 「よろしくおねがいします!」

 「だね~!みんな喜んで参加しそうだもん!」

 「ああ……だな」

 「リリー、多分イベントはみんなバラバラに転移されてランダムスタートだと思うけど、連絡は取れると思うから困ったら連絡……いや、困らなくても連絡してね!」

 「わかったー」

 「リリー……合流できたらあざとさについて教えてあげる……えへ」

 「うわ、リリー……ルティにロックオンされてる」

 「リリー、気をつけろ!敵はモンスターだけじゃないぞ」

 「どうやら常夏は口が滑りやすいようだね……お仕置きする?」

 「いや、その……あのだな?」

 「ん?」


 ルティさん……笑顔なのに目が笑ってないですよ。


 「ま、あのふたりはほっといて……頑張ろうね」

 「うん!」

 「じゃ、また後でね」

 「イベントで会おう!」

 「うん、じゃあねー」


 みんなと別れ、畑に戻るーー

 案山子さんから預かったドロップ品を渡し畑のチェックへ……案山子さんはそのままグランツさんたちにドロップ品をプレゼントし、グランツさんたちは驚きつつも喜んでいた。案山子さんも嬉しそうだ。

 畑は……よし、異常なし。ま、朝にチェックしてるからそんな急に変化はないはずなんだけどねー……一応、グランツさんたちにもイベントについて軽く説明して、畑のお世話を頼んでおく。


 「うむ、マシンナリー?にクリスタルか……ルミエルが興味を持ちそうじゃな」

 「ですよねー」

 「そうねぇ……」

 「ま、一応知らせておくかの……」

 「ええ、知らせなかった時……後がうるさいものね」


 うん、なんかルミエルさんが暴れまわってるのが目に浮かんだ……なんでかな?


 「じゃな」

 「ですねー」


 案山子さんは自分がマシンナリーさんのクリスタルを使ってしまったのを少し気にしているみたいだけど……案山子さんはイベントに参加できないので、その分わたしがいない間の畑のお世話を頑張ってくれるつもりみたい。


 あとは持ち物の整理をかねて、販売所に出品……


 「あー、ギルドにミニトマト納品しとけばよかった……」


 よし、ちょっとひとっ走り行ってこよう!


 農業ギルドまで小走りで行き、クエストチェックするといくつかクリアできそうだったのでミニトマトの★4を10個、★6を2個納品した。

 これだけで8300Gが手に入った。わーい!とりあえず、ベルからもらったお金は全額と今回のクエストの分からは5000Gを預け入れておく。

 案山子さんへの貢物として農業用の4本爪のフォークをギルドの売店で2000Gで購入……フォークを選んだ理由はなんとなく似合いそうだったから。もっといいやつはギルドのランクが足りなかったから、そこまで強度はないかもだけど……似合いそうだからいいのですよ!お金はあるのにランクのせいで貢げないなんてっ……残念。


 帰りに少し遠回りして雑貨屋さんで背負い袋を1500Gで購入……うん、クリスタルたくさんゲットする予定だからね!アイテムボックスに入らなかった時用だよ?


 さっそく、畑に戻ってから案山子さんにフォークをプレゼントしたらすごく喜んでくれた。これを持って張り切って畑を見張ってくれるらしい。バーバラさんがチャチャっと背負えるようにベルトをつけてあげた。さすがバーバラさん!今度その技術教えてほしいです……


 「リリー、アリガト!」

 「うん、気に入ってもらてえよかった!」

 「まー、わしの畑じゃあんまり使わないものだがのぉ」

 「いいじゃない。ルミエルも使いこなしてるの見たら驚くわよ」

 「ガンバルッ!」


 あとは【鑑定】と【投擲】、【成長促進】、【水魔法】のレベルも上げておく。あっという間にスキルポイントがなくなっちゃったよ……少しだけベルがポイントで苦労してた理由がわかったかも。

 ハニービーの毒針、ハニービーの羽、はちみつ、ローヤルゼリーとか必要なさそうなものはホームに収納して置いていくことにした。あ、この収納は特別な仕掛けは何もないよ?ただの棚ですねー。きちんと収納するってことが重要みたいだね。


 「よし、わたしも1回ログアウトしておかなくちゃ……」

 「リリー、ガンバッテネ」

 「畑は任せておけ」

 「そうだわ、今のうちにこれ渡しておくわね」

 「バーバラさん!こんなに沢山いいんですかー」

 「ええ、丸1日かかるんでしょう?お腹空いた時に食べてね」

 「ありがとうございます!」

 「くれぐれも気をつけてな」

 「はい!」


 バーバラさん特製のサンドイッチとはちみつたっぷりクッキーをアイテムボックスへ入れて、みんなに挨拶してからログアウトした。


 徹夜のための仮眠を取ったり、早めの晩ご飯やお風呂を済ませておく。


 「ふぅ、これで準備万端かなー……あっ!」


 ログイン時間を忘れないようにタイマーをセットして完了。

 初めてのイベント楽しみだなぁ……たくさんクリスタルゲットできるといいなー。

 わくわくしつつイベント開始の時間を待つのであった。



 ー今日の案山子さんメモー

 ・案山子さんのクリスタルはマシンナリーさんのものでした

 ・クリスタルには種類があるそうです

 ・案山子さんに農業用の4本爪のフォークをプレゼントしたら喜んでくれました。グランツさん曰く使いこなす日も近いとのことです!

 


◆ ◆ ◆


名前:リリー

種族:人間

性別:女性

状態:正常

種族レベル:Lv3

HP:55/55(+5)

MP:55/55(+5)

STR:15(+2)

VIT:10(+5)

INT:5

AGI:5

DEX:80

LUC:777(固定)

ステータスポイント:0ポイント

職業:農家見習い  Lv4

スキル:鑑定Lv3→ Lv4、裁縫Lv2、採取Lv3、栽培Lv2、投擲Lv3→ Lv4、毒耐性Lv4、麻痺耐性Lv4、気配察知Lv3、隠密Lv4、地図 Lv4、成長促進 Lv3→ Lv4、瞑想Lv2、水魔法Lv1→ Lv2

スキルポイント:1ポイント

取得可能スキル:挑発、武器回収、工作、観察力

称号:遅咲きのラッキースター、挑戦者、方向音痴、天籟の鐘を初めて鳴らした者、転移陣を初めて使用した者

所持金:477G(預金:81900G)

装備:麦わら帽子、軍手、見習いのシャツ、見習いのズボン、見習いのブーツ、初心者用投擲ナイフ×3、どんぐりネックレス、花柄エプロン、エルダートレントの棍棒

持ち物:初級ハイポーション×5、初級マナポーション×5、水袋、火打ち石、ギルドカード(E)、小石×22、木ノ実×8、体力草×7、魔力草×9、メモ紙、ペン、きゅうり×3、ミニトマト×14、軍手(予備)、収穫用ハサミ、背負い袋、サンドイッチ×8、はちみつたっぷりクッキー×20

ホーム収納:初心者用裁縫セット、葉っぱ×6、ハニービーの毒針×5、ハニービーの羽×40、はちみつ3瓶、ローヤルゼリー1瓶

販売所(4/10): 体力草★3×5、体力草★4×5、魔力草★3×5、魔力草★4×5

(金庫:9980G)


◆ ◆ ◆

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