Select Life Online～最後にゲームをはじめた出遅れ組

第45話 転移陣

　さっそく、ロープを使ってずりずりと慎重に降りていく……うん、わたしだけね。みんなはすぐに飛び降りてたよ……

　ベルやシュウがライトで周囲を照らしてくれてるので転んだりぶつかったりする心配がなくてよかった。ひとりだとこういうのも全部自分でしなくちゃいけないからありがたいよね。

　「へー、こんな風になってるんだ」

　「ええ。でもこの人数だとちょっと手狭かもしれないわね」

　「だね～」

　「おっ、地下道があるなっ」

　「こっちには扉があるね」

　興味津々なのはいいけど、わたしが降りるの遅いからって待ちくたびれてません？

　「お待たせー」

　「オツカレサマ」

　「……おつかれ」

　「うん、疲れたよ……腕よりも精神的に……」

　「で、リリーが見せたいのはその地下道か？」

　「ううん、そっちじゃなくてあの扉の先だよ。あ、あの地下道はどこに繋がってるかはわからないけどモンスターはいるよ……確実に」

　「そうなんだ」

　「へー」

　あれ？みんな、すっごい目がギラギラしてない？

　てか、アリッサ地下道に入っていこうとしてるよね？ルティも止めてないし……むしろ勧めてない？いや、常夏とタミルもそれに続こうとしてますね……残ったのはシュウとベル、案山子さんだけ。

　「あの……みんな、ほっといていいの？」

　「ん？あー、俺たちこういう誰も手をつけてないところって興奮するんだよなー」

　「そのうち戻ってくるから大丈夫だよ……たぶん」

　「オ、ミンナモドッテキタヨ？」

　「ほんとだ」

　「ごめんごめん。なんか血が騒いじゃって、つい」

　「てへ」

　ルティ、真顔でやったら台無しじゃないかな……

　「リリー、安心しろよ！見える範囲にはモンスターはいなかったぞ？」

　「残念だね～」

　「ちょっとでも見えたら攻撃できたのにねぇ」

　「回復は任せてっ」

　「あ、うん……」

　「そうだ。リリーは地下道に入ってみたことあるの？」

　「うん。最初に落ちた時、戻る方法がなくてね……」

　「あっ（察し）」

　「お、おぅ（察し）」

　いや、みなさん……そんなにかわいそうな子を見る目で見なくてもよくないかな？……ぐすん。

　「と、とりあえずあっちで説明するね」

　「「「「「「りょーかい」」」」」」

　さっそく、扉を開けてメンバー全員が部屋に入ったのを確認しつつ……

　「で、この転移陣にＭＰが必要らしいんだけど、足りなくてさー……あ、一応踏まないよう気をつけてね」

　「「「「「「転移陣っ！？」」」」」」

　それぞれ驚いて観察したり、明かりが足りないとライトを増やしたりしている。うん、とっても楽しそう。

　「わー、前に来た時は気づかなかったけど扉とか壁になんかの模様があるんだね」

　「明るくしないとわからないくらい薄いものだから、前回気づかなかったとしても仕方ないわよ」

　「うわ。まじて転移陣ってなってるわー……転移陣に触れるとＭＰと引きかえにどこかに転移できるっぽいな。で、必要なＭＰが２００。リリーが足りなかったのはこれか」

　「そうそう」

　「どうやら、ＭＰ２００さえ消費するならソロでもパーティでも問題ないみたいだよ。その時に転移陣に触れていればオッケーみたい」

　へー……あれ、なんでそんなことわかるんだろう？え？スキルレベルの違い？そーなんだ。

　「そっかー。リリーはまだレベルも上がってないし魔法職でもないから、ステータスポイントを振り分けてもたかが知れてるもんねー……」

　「ん？」

　「え？……まさかステータスポイントを振り分けてないとか言わないよね？」

　ステータスポイント？スキルポイントじゃなくて……えーっと……

　「はぁ……ちょっとステータス見せてくれる？あ、見られたくないとかならいいけど」

　「ん？別にベルたちに見せるのはいいんだけど……どうやるの？」

　「ステータス画面の右上に表示と非表示のボタンがあるでしょう？それ切り替えると他のプレイヤーからも見えるよ」

　「へー」

　「ただし、むやみやたらに外で見せると危ないから信用できる人以外には見せないこと！」

　「わかったー」

　えっと、表示っと……よし、出た！

◆　◆　◆

名前：リリー

種族：人間

性別：女性

状態：正常

種族レベル：Ｌｖ３

ＨＰ：４７／５０（＋５）

ＭＰ：５０／５０（＋５）

ＳＴＲ：５（＋２）

ＶＩＴ：５（＋５）

ＩＮＴ：５

ＡＧＩ：５

ＤＥＸ：８０

ＬＵＣ：７７７（固定）

ステータスポイント：２５ポイント

職業：農家見習い　 Ｌｖ４

スキル：鑑定Ｌｖ３、裁縫Ｌｖ２、採取Ｌｖ３、栽培Ｌｖ２、投擲Ｌｖ３、毒耐性Ｌｖ４、麻痺耐性Ｌｖ４、気配察知Ｌｖ２、隠密Ｌｖ３、地図 Ｌｖ４、成長促進 Ｌｖ３、瞑想Ｌｖ２、水魔法Ｌｖ１

スキルポイント：２８ポイント

取得可能スキル：挑発、武器回収、工作、観察力

称号：遅咲きのラッキースター、挑戦者、方向音痴、天籟の鐘を初めて鳴らした者

所持金：６５６７７Ｇ（預金：９９００Ｇ）

装備：麦わら帽子、軍手、見習いのシャツ、見習いのズボン、見習いのブーツ、初心者用投擲ナイフ×３、どんぐりネックレス、花柄エプロン、エルダートレントの棍棒

持ち物：初級ハイポーション×５、初級マナポーション×５、初心者用裁縫セット、水袋、火打ち石、ギルドカード（Ｅ）、葉っぱ×６、小石×２２、木ノ実×８、体力草×１７、魔力草×１９、メモ紙、ペン、きゅうり×３、ミニトマト×２６、ハニービーの毒針×５、ハニービーの羽×４０、はちみつ３瓶、ローヤルゼリー１瓶、軍手（予備）、収穫用ハサミ

販売所（６／１０）： 体力草★３×５、体力草★３×５、体力草★４×５、魔力草★３×５、魔力草★３×５、魔力草★４×５

（金庫：８１００Ｇ）

◆　◆　◆

　「おおー、ところどころ気になるけどまずはステータスポイントね」

　「うん」

　「ステータスポイントはＨＰ、ＭＰ、ＳＴＲ、ＶＩＴ、ＩＮＴ、ＡＧＩ、ＤＥＸ、ＬＵＣに振り分けることができるのね……まぁ、リリーの場合ＬＵＣは固定みたいだからそれ以外かな」

　「へぇー」

　「要はステータスポイントを１ポイント振り分けたらステータスの数字に１足されると思ってくれればいいから。簡単でしょ？」

　「わかった！えーっと……」

　「ちなみにＳＴＲは攻撃力とか腕力、ＶＩＴは生命力とか防御力、ＩＮＴは知力とか魔法力、ＡＧＩは敏捷性とか素早さ、ＤＥＸは器用度って言われることが多いかなー。あ、ＬＵＣは言わずもがな運のことね」

　「ありがと」

　よし、振り分けるぞー！えーっと、種族のレベルアップで多少増えるとはいえＨＰとＭＰは振り分けたほうがいいよね？あとジョウロとかスコップ使うからＳＴＲにも振り分けたほうがいいし……うーん、悩むなー。

　悩んだ末にこうなった。

◆　◆　◆

ＨＰ：５０／５０→５５／５５（＋５）

ＭＰ：５０／５０→５５／５５（＋５）

ＳＴＲ：５→１５（＋２）

ＶＩＴ：５→１０（＋５）

ＩＮＴ：５

ＡＧＩ：５

ＤＥＸ：８０

ＬＵＣ：７７７（固定）

ステータスポイント：０ポイント

◆　◆　◆

　あと【気配察知】と【隠密】のスキルもスキルポイント使って上げておいた。これからどこに転移されるかわからないから念のため……まぁ、このメンバーなら不要な気もするけどね。

　ステータスポイントを振り分けたら、気分的なものかもしれないけど、なんか力もついた気がするし教えてもらってよかった。

　「できたよー……ってあれ？みんなは」

　「おつかれ。きっと我慢できなかったんだと思うわー」

　えっ、まさか先に転移しちゃったのっ？って焦ってたら扉から満足そうなメンバーが入ってきた。

　「ごめん、長引きそうだったからちょっと地下道潜ってきた」

　「あ、そっちかー」

　「いやぁー、結構強いモンスター多かったけど見たことない素材とかドロップしたし、結構いい感じでさ。なかなか戻るタイミングがな？」

　「ね～」

　「はいはい、そっちはまた今度ねっ！今日は転移陣！」

　「「「「「「はーい」」」」」」

　「ハーイ」

　って、案山子さんも行ってたのね……え？案山子さんが倒した分もある？うん、それはグランツさんたちへのお土産にしたらいいんじゃないかな。あ、アイテムボックスに入れとけばいいのね？はいはーい。

　「さて、そろそろ転移してみよーぜっ！」

　「だね～……なんか楽しみ～」

　「もし、バラバラに転移されたら連絡取り合って相談ね？」

　「おう！」

　不思議な模様が描かれた転移陣をぐるっと囲むように立つ。

　「じゃ、せーので転移陣に乗ってみて何も起きなかったら転移陣に直接触ってみるってことでいい？」

　「「「「「「「りょーかい（リョーカイ）」」」」」」」

　緊張してきた……どきどきっ。

　「「「「「「「「せーのっ（セーノッ）」」」」」」」」

　えいっ！みんなが転移に乗るとぼんやりと転移陣が光りだした！

　「と、とりあずこのままっ」

　「「「「「「「わかった！（ワカッタ！）」」」」」」」

　だんだんと光が強まり眩しくて目を閉じた……どこに着くんだろう……わくわくっ！