第6話 はじまりの街
――と思った瞬間、のどかな農村の景色が目に飛び込んできた。
「というか、見渡すかぎりほとんど畑だなぁ……」
青空や太陽、空気そして自分の体までがリアルに感じる。その場でジャンプしたりラジオ体操をしてみる……うん、ちゃんと動くね。
「なんかゲームじゃないみたい……」
ピコン!
〈プレゼントが1件届きました。受け取りますか?Yes or No〉
ん? なにこれ。とりあえずもらえるものは受け取ろう……Yesっと。
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名称:チュートリアル終了記念品
説明:チュートリアル終了記念のプレゼント。1000G、初級ハイポーション5個、初級マナポーション5個、初心者用裁縫セット、ロープ、水袋、火打ち石、アイテムボックス拡張※ 初心者用裁縫セット、ロープ、水袋、火打ち石、アイテムボックス拡張はナビからのプレゼントです。
*****
「おおー、ナビさん!こんなにたくさんプレゼントくれたんだ。ありがとうございます……また会いたいなぁ」
ふんふん。受け取ったものは直接アイテムボックスに入るみたい。アイテムボックスの容量も30種類×99から50種類×99に増えてるっ!わーい!
ついでにもらったポーションやナビさんのプレゼントを鑑定してみると……
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名称:初級ハイポーション
レア度:N 品質:★5
説明:HPを40回復させる。クーリングタイム10分。
名称:初級マナポーション
レア度:N 品質:★5
説明:MPを40回復させる。クーリングタイム10分。
名称:初心者用裁縫セット
レア度:N 品質:★5
説明:針、ハサミなど裁縫の基本がセットになっている。
名称:ロープ 5メートル
レア度:N 品質:★2
説明:直径6ミリのロープ。5メートル。
名称:水袋
レア度:N 品質:★2
説明:水を入れる袋。容量2リットル。
名称:火打ち石
レア度:N 品質:★2
説明:火をつけるための道具。
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「おおー……これって服とかも鑑定できるのかな?おっ、できた!」
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名称:見習いのシャツ 耐久:∞
レア度:N 品質:★2
説明:初期装備。汚れず壊れないが特に効果はついていない。
名称:見習いのズボン 耐久:∞
レア度:N 品質:★2
説明:初期装備。汚れず壊れないが特に効果はついていない。
名称:見習いのブーツ 耐久:∞
レア度:N 品質:★2
説明:初期装備。汚れず壊れないが特に効果はついていない。
名称:初心者用投擲ナイフ3本セット 耐久:∞
レア度:N 品質:★3
説明:初心者用投擲ナイフ3本。投擲したら取りに行きましょう。勝手に戻っては来ません。壊れないが拾わなかった場合一定時間が経過すると消滅する。STR+2
装備条件:DEX10以上
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「鑑定スキルって便利だ。取ってよかったかも……あと他に鑑定できそうなもの……」
……ん?遠くに人が見えるぞ?あそこまで行けば何か聞けるかもっ。
「よし、とりあえずあの人がいるところまでれっつごー!」
テクテク……テクテク……
「全っ然、近くならないよ……はぁ、疲れたー」
ナビさんにもらった水袋があるから水場があれば水を持ち歩けるのに……それも見当たらない。
そのまましばらく歩き続けると……ようやく人が近くなってきた!よし、あとちょっと……
「すいませーん!ここって……あれっ?人じゃないじゃんっ」
うん、人じゃなくて案山子さんでした……よくできてるわー。
「はあ……とりあえず休憩がてら鑑定してみようっと」
*****
名称:迷いの案山子
レア度:SR 品質:★7
説明:勝手に敷地に侵入したものはぐるぐると迷わされた挙句追い出される。魔物避けとしても有効。
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「えー……広いだけじゃなくて迷ってるってこと?」
あ、でもここから追い出されたらそこに人がいるかも……
「んー……とりあえず歩くかぁ……」
……テクテク……テクテク……
「……野菜、美味しそう……じゅるり……」
はっ、勝手に食べるなんてだめだめっ。人の畑なんだからっ……なんとか誘惑にうち勝ち、そのまま一直線に歩き続けた。
「あっ!あれ、お家っぽい!」
遠くに見える豆粒ほどの大きさの建物を目指しひたすら足を動かす。
と、遠い……
「ふぅ……ついたー。すいませーん!どなたかいらっしゃいますかー」
あんなに小さく見えたお家も到着してみると大きかった。そばには離れや倉庫もあるみたいだし……い、井戸もあるっ!でも勝手には……
疲れてヘロヘロなので、その辺に座り込みボーっと観察していると玄関からおじいさんが顔を出した。
「なんじゃ?」
「こんにちはー……いきなりすいません。お、お水をください……」
喉がカラカラなんです……なんなら勝手にその井戸から汲みますから。
「ふむ。バーバラ、水を渡してやれ」
「ええ……」
おばあさんからお水を受けとり……ごくごく……ぷはぁ。
「ありがとうございます!美味しかったです」
「……お主、異界の旅人か?」
「はい、そうです!」
「ねぇ……あなた、畑の方から来たの?」
「はい!頑張って歩きましたっ!わたし、ゆり……リリーと言います」
やば、まちがえてリアルの方の名前言いそうになっちゃったよー。
「……わしはグランツ。こっちは」
「バーバラだよ」
ぐぎゅるるるる……
「あっ」
「リリーちゃん……私らと同じでもよければご飯食べるかい?」
「いいんですか?」
「ああ、迷いの案山子を抜けて来たんだ。それくらいはしてやろう」
「ありがとうございますっ」
グランツさんとバーバラさんに続いてリビングにお邪魔すると……ものすごーく美味しそうな匂いが漂っていた。
リビングには火の灯っていない暖炉や素朴だけどお洒落な家具が揃っている。ひとつひとつ大事にしているのがわかる……
「さあ、こっちにいらっしゃい」
「あっ、なにかお手伝いを……」
「……その顔じゃ、先に食べてからだね?」
わたしそんなに物欲しそうな顔してたのかな……
「じゃ、じゃあ後片付けはわたしがっ」
「そうね、そうしてもらおうかしら」
「うむ」
席に座るとバーバラさんが美味しそうな料理を出してくれた……じゅるり。よ、よだれが……
「さぁ、お食べなさい」
「いただきますっ!」
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