第5話 チュートリアル その3
『あとは……フレンドにならなければハラスメントブロックと言って透明な壁に阻まれ触れることができません。フレンドの場合、細かな設定がウィンドウから可能です。女性のみOK、フレンドは全員OKなどですね……』
「はい」
『NPCにはハラスメントブロックがありませんが、NPCに故意にハラスメント行為をしたと管理AIや運営が判断した場合は1発でアカウント停止になります。事故などで触れてしまった場合、NPCの友好度により変化します。謝ってすむ場合や叩かれたり、衛兵に突き出され牢に入ることもあり得ます。そのあたりはNPCの裁量次第といったところでしょうか……また、友好度は目に見えてわかりませんのでご注意ください』
友好度って結構大事なんだ……そりゃあ、こっちはNPCだと思ってても向こうは感情のある人として過ごしてるんだから友好度があって当然かぁ。自分がされて嫌なことはしないように気をつけよー。
『痛覚設定は0%から100%まで設定が可能です。100%にした場合でも脳が耐えられるほどの痛みしか感じません……が、やはりそれなりに痛いそうです。まあ、そこまでする方は稀ですね。それと同様にR指定も変更できますが、リリー様は18歳以下ですので自動的にR15になっています。こちらも下げることは可能ですが、最高がR15設定です』
ふむふむ、痛覚設定は0%だとほとんど感じないらしいからとりあえず15%ぐらいにしておこう。
R指定っていうのはグロ設定かな?例えば腕を切られても断面がフィルターがかかるとかデフォルメされるとか血しぶきがないとかそんな感じ?……虫や魔物にもフィルターがかかるのか。お子様でも安心ですってなってる1番低いやつにしておこう……
『こちらはウィンドウ上からも変更できますので色々と試してみてしっくりくるところにすればいいかと……そして、PK行為は禁止となっております。ちなみにPKとはプレイヤーを襲って所持金や装備を奪うことを指しています』
「はい」
『Select Life Onlinは何をするにも自由と銘打っていますので違和感を感じるかもしれませんが……β版でPK行為をしていた者がふざけてNPCを殺害したことがありルール変更となりました。Select Life Onlinは何をしても自由ですが、それには責任も伴います。何をしても許されるわけではありませんのであしからず……それにイベントでは過去にプレイヤー同士の対人戦も実施していますのでお楽しみに……これで説明は終わりですが、何か質問はありますか?』
NPCは消滅して復活はしないって言ってたし、ふざけて殺されるなんてたまったもんじゃないよね。プレイヤー同士の対戦ならNPCに害が及ばないもんね。
「いえ、ナビさんの説明がわかりやすかったので!ありがとうございます」
『ここまで、最初から最後まで全部聞いてくださったのはリリー様が初めてです。最低限の説明を最後まで聞く方はいらっしゃいますが、大抵の皆さまは途中でウズウズして飛ばしてしまいますので……こちらこそありがとうございます』
へー、勉強になるのに……でも茉由ちゃんはしゅーへいくんに聞いて知ってるからとか言って飛ばしそうだなぁ。
『最後まで聞いてくださったお礼に、アイテムボックスの容量を大きくしておきますね!』
「でも……いいんですか?」
『はい、ギルドなどでお金を払えば簡単に拡張できますので。このあたりはわたくしたちに采配を任されていますから!なので、わたくしリリー様にできることはすべてしてさしあげますね!』
わたくしたち……そっか。ナビさん以外にもサポート担当がいるんだ。ちょっと会ってみたかったかも……
「ありがとう。でも、そんな気に入られるようなことしてないけど……」
『いえ、十分してくださいました。そして、秘密ですがLUCの数値が高いとNPCに好かれやすくなるんですよ?もちろん、いくら数値が高くても嫌われるような言動をすれば別ですが……』
あー、それでナビさんも優しくしてくれるんだ。そういえばラッキースターの称号にもそんなようなこと書いてあったっけ……現実ではあんまりついてないけど、ゲームの中ならいいことがあるかもっ。
『あとはゲーム内で色々と試してみてくださいね!今回説明したことはほとんど基礎の基礎ですから……』
基礎だとしても知らないことばっかりだったから助かった。
「はい!ありがとうございました!あっ……そうだひとつ質問があります!」
『なんでしょうか?』
「……ナビさんにまた会えますか?」
『ふふ、そうですね……可能性はゼロではないと言っておきましょうか』
「それって……もうひと声っ!」
『そうですねぇ……わたくしたちサポート担当はここでのことやゲームについて他のNPCに話すのを禁止されています』
ここにはわたしとナビさんしかいない……ここでのこと……他のNPC……ゲームの中?ってことはナビさんもどこかにっ?
「わかりました!」
『冒険するもよし、物作りを楽しむもよし、食べたいものを食べたいだけ食べてもいいし好きなことを好きなように楽しんでくださいね。リリー様……では、いってらっしゃい!お気をつけて!』
「ナビさん、ありがとうっ!また会おうねー」
『……楽しみにしていますね』
ハッとしてナビさんの方を見たけど、ナビさんの言葉とほぼ同時に目の前がまばゆい光に包まれ表情を知ることはできなかった……
◆ ◆ ◆
名前:リリー
種族:人間
性別:女性
状態:正常
種族レベル:Lv1
HP:40/40
MP:40/40
STR:5
VIT:5
INT:5
AGI:5
DEX:80
LUC:777(固定)
ステータスポイント:0ポイント
職業:農家見習い Lv1
スキル:鑑定Lv1、裁縫Lv1、採取Lv1、栽培Lv1、投擲Lv1
スキルポイント:45ポイント
称号:遅咲きのラッキースター
所持金:7777G
◆ ◆ ◆
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