第63話 機械島アミュライト その8
さて〈クエスト:マシンナリーの願い3〉を開始したはいいんだけど……今日のところはできることはもうないみたいで、マシンナリーさん達とはひとまずお別れなんだよね……
すぐ別れるのもなんだし……少しの間色々と気になったことを質問するメンバー、ゴーレムと戯れるメンバー、兵士型のマシンナリーさんに戦闘訓練を申し込むメンバーなど各々自由時間となった。
とりあえずわたしはハリーにここ(墓場って呼ばれてるこの部屋のことね)はセーフティゾーン兼仮拠点的な扱いでいいかな?って聞いてみたら問題ないとのことだったのでひと安心。何かあったらここ集合!ってしとけば迷子になっても大丈夫……な、はず。ほ、ほら!地図に地点登録しとけばっ。
「あ、地図に途中の道が……載ってないじゃーん。やば……帰りにここへくる通路だけは埋めないとっ」
そうそう。地図スキルだけと、大きな建物内に入ると外とは別の地図ページが増えたんだよね。流石に普通の家じゃダメみたいで(グランツさんの農場ではページ増えなかった)何かしらの条件がありそう。でも、建物内で迷子になる心配が減ってよかった。
新型は部屋の前までは時折巡回してるみたいだけど、新型は部屋の中までは確認しない。巡回も異常が検知されない限り来ないんだとか……マシンナリーでも墓場って呼ばれるくらいだからあまり近寄りたくない的なことかな?
ちなみに出生の間と呼ばれるマシンナリーさん達が生まれるところはここと比べると相当厳重な警備なんだってー。
そして、この墓場にコアやクリスタルだけ抜かれた新型のマシンナリーが新たに加えられることは皆無のよう。
さっきクリスタルやコアを探してた時、新型の部品って鑑定で出たからハリー達に聞いてみたんだけど、新型はほとんどの場合は部品交換ですんでるみたいで壊れた部品は天井のシュートボックスから落とすみたい。旧型みたいに破損なく完全体でコアやクリスタルだけ外されて放置されてるなんてことはありえないらしい。
思わず『あれ?あの重たくて立派な扉の意味は……』って呟いちゃったよ。
そうそう……なんで天井のシュートボックスから部品が落ちてくるってわかったのか。新型のマシンナリーが巡回はしてるのに部屋の中までは確認しないって言い切れるか。ってことなんだけど、なんと!重たくて立派な扉に開閉の記録装置があったのですよー!そして、わたしたちが来た今日まで開閉した記録はずーっとないのに(多分最後はマシンナリーさん達がここに入れられた時の記録)部品の山には新型のものが紛れている。イコール天井のシュートボックスから落ちてくるってことなんだよね。
「ガガ……マシンナリーハ本来、壊滅的ナ損壊ガナケレバ部品交換デ済ムカラナ」
「そっかー」
「ココニアル新型ノ部品ノ一部ハ……ガガ……旧型ガ新型二抵抗シタ時ノモノカモ知レナイナ……」
そうだよね……旧型のマシンナリーさん達だって抵抗したはずだもんね……埋もれてた部品はきっとその時のもの。そして部品の山の上の方にあったのはシュートボックスから落ちてきたものってことかな。
まぁ、新型と旧型とはいえ全ての部品が違うわけじゃなくて共通する部品もそこそこあるみたいだからそのへんはごちゃ混ぜになってると思う。
ハリー曰く、新型のマシンナリーでもプログラム?的なのを書き換えられれば味方に引き入れられる可能性もあるみたいだけど……やっぱそこも担当者じゃないと確実とはいえないみたい。まぁ、誰かれ簡単に書き換えられてしまうと大変なことになるから担当者も少数精鋭らしい。
そして、通常なら彼らはほとんどが出生の間や他の重要箇所にいて、それらは厳重な警備なので接触することはおろか近づくこともなかなか難しいだろうとのこと……つまりは現実的ではないってことですねー。準備に時間が必要だっていうのはこういうところを切り崩す必要があるってことなんだよね。
『はっ!ゴーレムもプログラムを書き換えられるかもしれないってことよねっ?』
『……いや、担当がいればプログラムを書き換えなくても色々細かい設定できるんじゃないの?』
『でもさ~、ゴーレムとプログラムの担当者が同じってこともあるかもしれないよ~』
『出生の間……忍び込むしかないわね?』
『『いえすまむ!』
『担当者を拉……いえ、協力を得る必要かあるわ』
『『いえすまむ!』
って興奮してる一部メンバーがいた……ゴーレムと戯れていたはずなのに一体いつから聞いてたんだろう?
よし!スルーしちゃうね。触れたら長くなっちゃうからねー。てか、勝手に忍び込まないよね?大丈夫……だよね?
「ねぇ、ベル……みんな、ほっといても平気だよね?」
「うーん。やる時は全力で準備するはずだから今すぐ突入ってわけじゃないと思う……多分」
「うわー、不安しかない答えなんだけどっ」
「おーい、盛り上がってるとこ悪いがクエストに影響しそうなことはちゃんと相談しろよなー……忍び込むのは一旦保留だぞー」
「「「チッ」」」
美女&美少女の冷たい視線に物ともしないシュウ……
「あの視線に耐えられるなんて、さすがクランのお偉いさんだね」
「同じお偉いさんでも失言でメンバーの逆燐に触れまくるひともいるんだけどねー」
「ん?誰のことだ?というかなんの話だ?」
「んーん。なんでもなーい」
「ふーん」
うん、わたしそのひと知ってるよ。戦闘訓練のおかげで話聞いてなかったから逆燐に触れずにすんだんだよ!よかったね!
「まぁ、その時はハリー達の準備が整った時だから……な?」
「「「ふふふ……いえっさー!」」」
うわー、シュウもアリッサ達も悪い顔してるわ……あれですねシュウは策士ってやつですね!←
「あっ!そうだ!ハリー達と別れる前にイベントの交換一覧でクリスタルとかコア、買えるだけ買って渡していくねー」
「お、だなー」
「さんせーい!」
「ガガ……スマナイナ……助カル」
メンバー達もそれぞれ協力してくれるとのこと……うん、時々暴走するしそれなりにクセはあるけどやっぱいい人たちだよねー。だってさー、ベルが常識人枠なんだよ?すごくない?あたっ……ごめんてー、そんなに怒るなってー。
あ、ベルさんすいませんでした。やっぱり常識人枠じゃありませんでした!だからそのくすぐり攻撃の態勢はやめてください……え?それもなんか違う?元から常識人枠?もー、わがままなんだからー。
うーん、ベルはクセのあるツッコミ枠ってことで、わたしが常識人枠ってことでいいよね?だってわたし平凡だもんねー!あ、なんか自分で言っててちょっと悲しくなってきた……あれ、おかしいな?メンバー全員がガン見してくるんだけどなんでだろう?
その間、案山子さんはゴーレムと戯れていた……うん、一方的に。あれかな?案山子さん、ゴーレムにシンパシー感じちゃったりしてるのかな?ま、案山子さんも楽しそうだしいっかー!
「さてと……まずはイベントの交換一覧を開いてみよー」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます