第69話 空へ叫ぶ兄妹
「あっ!話変わるんだけどさぁー、この説明にでてくる『確率はLUCにより変動する』っていうのなら、わたしにも少しは効果がある装備になるかもしれないよね?」
……あれれー?ベルさん、シュウさん呆れ顔なんだけど、なんでだろうなー?まさか、全然違うとか?……え、わたし何か勘違いしてたのかなっ?
「……はぁ。多分、運営もここまで考えてなかった。もしくは数人くらいならばバランスも問題ないって考えたんだろうね」
「少しくらいはそういうプレイヤーがいたほうが面白いってかぁ?この『確率はLUCにより変動する』って一文、ほとんどのプレイヤーにとってはあまり意味を成さないしなー」
「……うーん。かもしれないねー……いくらLUCにより変動するって言っても、プレイヤーのほとんどは似たり寄ったりな数値だろうしねー」
「これ、オレが装備したなら戦闘中に1回でも効果があれば、ものすごーくラッキーって感じだしな?」
「同感……下手したら全然効果発揮しなさそうだし……絶対、一部のプレイヤーから詐欺扱いされるやつだよね」
「だな?」
ふたりとも難しい顔して腕組んじゃって、どうしたのかなー?……詐欺ってなに?もしかして騙されたとか?はっ!こういうときは……
「……ふたりともなんの話?リリーちゃんにもわかるように説明してほしいなぁー?」
えっと……ここで、首を傾げる……こてっ。で……なんだったっけ?あっ、微笑みつつ上目遣いとか言ってたような気がするぞ?……よし、多分これでルティに教えてもらった通りにできたはずっ!
「はぁー……きっと、リリーは気づかないと思うから言っとくけど『戦闘時において確率でダメージ軽減』ってリリーの場合、少しどころかかなりの確率で軽減されるはずだよ?リリーはLUC高いでしょー?」
がーん……スルーされてしまったっ!まだまだ修行が足りないらしい……ルティの言う通りにしてみたものの道は険しそう……それにちょっとだけ恥ずかしいし、諦めるべきかもしれない。
「へ、へぇ……そうなんだ?」
「うん、リリーくらいLUCに振ってるプレイヤーは極わずかだと思う」
「まー、普通は他にポイント振るよな?」
そっかー……ステータスポイントだってレベルアップしたらもらえるけど、それ以外ではそんなにたくさん手に入るわけじゃないし、LUC以外にポイント振り分けたらLUCは高くならないのかー。
「でも、そもそもベル達と比べたら戦闘自体が多くなさそうだからなー……」
「まぁ、オレ達は進んで戦ってるからなー」
「うん、比べちゃダメなやつだからね?」
あー、そうだった……彼らは戦闘狂集団だった。
「そ、それに軽減されても何回もダメージ受けたら積み重なって死に戻るけどね。でもまあ、悪いことじゃないならよかったー」
「はぁ……見てるか!運営っ!リリーはどこまでも暴走するぞー」
「そうだ、そうだー!」
……え?シュウ……ど、どうしたの?
あの……突然、空(といっても天井だけど)に向かって叫ぶのはどうかと思うな?ハリー達に変なひとだと思われちゃうよ?
……しかもベルまで一緒になってるし。それにね、流石に運営さんはわたしみたいなすぐに死に戻るよわよわなひとをチェックして見てないと思うんだけどなー?
ん?ふたりとも空に向かって叫んだけど……そもそも運営さんって空から見てるのかな……俯瞰スタイル?
(ばっちり見てますよっ!思わずビクってしちゃいましたよ~!それにアクセサリーは使い回しなんかじゃないですよっ!何日も徹夜して出来てるんですからねっ!)
「……んんっ?なんか気配しなかったっ?はっ!気配察知のせいかな?」
あれ?レベルアップして何か感じたのかと思ったけど、お知らせ来ないや……残念。
「……はぁ。多分、気のせいだよ(まさかとは思ったけど、観察されてるっぽいし……そしてアクセサリーは使い回しじゃなかったと……そしてリリーには気づかれないようにわたし達だけに知らせるとか)」
「……だな(こりゃあ、面白いことになりそうだな?リリーにはなるべく干渉したくないってか?)」
「なんだ気のせいだったかー」
「「そうそう!気のせい、気のせいっ!((リリーは知らずに自由にすべしっ!!))」」
さて、話を戻すと交換一覧の武器や防具の中にはポイント消費すればサイズ変更ができるものもあるんだけど……それってある意味セミオーダーメイドで魅力的だよね?
でもさー、何でもかんでも手を出したら器用貧乏になるから気をつけなさいってベルが言うし、ちゃんと考えないとなー。
器用貧乏になっちゃってもごく一部のひとはそれでも上手くいくらしい……けど、それには運と柔軟な発想が必要らしい……うわー、どっちもないっ!
だから、なるべく方向性を決めて器用貧乏を避けるんだってさー。
そもそもの話、交換一覧をタップすると詳細が出るって教えてもらわなかったらものすごく損するところだったよねー。いて助かった頼りになる親友っ!
ポーションはここじゃなくてもお金さえあれば街でも手に入るらしいし、ポイント消費要員っていうし、それよりも防具とか武器にしたらステータスに+がつくことがかなり魅力的だからパスかな。
スキルポイントも魅力的なんだけど……必要なポイントが多いからもったいないような気もするし……うーん、悩んじゃうなー。
「おっ、盾は装備条件STR15以上ならギリいけるね!」
ふむふむ。ポイントを消費して片手で持てる(腕を通して固定もできる)くらいのサイズにすると……VIT+20がVIT+15になっちゃうみたいだけど、死に戻り防止にいいかなー?
でも、その大きさの分なのかな?AGIー5(VIT+15まで盾をサイズ変更した場合はAGIー3になるっぽい)がつくみたいで、ただでさえポイントあんまり振ってない移動速度が遅くなりそうなんだけど……今までの経験上逃げ足にはAGI必要っぽいんだよねー。
まぁ、多少逃げ足が速くなったくらいで死に戻りが簡単に回避できるとは思えないんだけどね……ないよりはあった方がいいはず。
「できる限りマイナスは避けたいな……」
はっ!他の部分でAGI+のあるやつ選んだらそれで補えるんじゃない?……あれ?もしかして、これがベルの言ってた器用貧乏のはじまりってやつなのでは?
「うーむ、どうしたものか」
ガチ勢のベルからしたら指摘したいところ沢山あるみたいだけど、ベルは
「器用貧乏とか気をつけなよって言ったけどさ、やるのはリリーだし人に言われて無理矢理やっても楽しくないでしょ?だから、リリーがやりたいようにやるのがいいと思うな?(運営もそれを望んでるみたいだし……)」
「ありがとー」
「もちろん、リリーがアドバイスがいるときは遠慮せず聞いてほしいけど!多分、ときどきもどかしくなって口を挟んじゃうかもしれないけどさっ」
「ありがと、ベル!」
うん!そうだよね!せっかくなら自分のやりたいようにやってみて、ダメならダメでまた考えるのも楽しめばいいんだっ。
運と柔軟な発想はないけど、頼りになる親友はいるし!なんとかなりそうな気がする!
好きにやったら……その分ベルにも迷惑かけそうだけど、そのときはお説教も甘んじて受けるつもりである。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます