第22話 布

 準備を済ませログイン……


 「んー、天気いいなぁー」


 今日も麦わら帽子が大活躍しそうですねー……


 「あ、そうだ……販売所はどうなったかなー?さすがにまだ売れて……るじゃん!」


 わーい、わーい!売れてたよ!

 販売記録によると体力草と魔力草は出品してわりとすぐに売れたみたい。にんじんは少し経ってからだった……


 「ほんとに売れるんだ……」


 そうだ!あれをこうして……チクチク……


 「できたー!葉っぱのネックレスー」


 アイテムボックスにあった葉っぱを初心者用裁縫セットの糸と針でつなぎ合わせてみた。


 「これが出品できるかどうかだよねー」


 うん、ただ拾っただけの石や葉っぱは出品できなかったけど……ひと手間加えたらどうなるのかなーって気になったからさー。

 ちなみに鑑定するとこんな感じ……


*****


名称:葉っぱのネックレス

レア度:N 品質:★1

説明:葉っぱをつなげたネックレス?特に効果はない。

製作者:リリー


*****


 説明がちょっとおかしいけど……とりあえず試してみよう。


 「よし、これなら出品……できたー!」


 とりあえず価格は100Gにしておく……拾ったものでもなんらかの手を加えれば出品できるってことかなー? 

 体力草と魔力草もそれぞれ出品することにした。

 一応品質ごと……★2と★3に分けて出品し、値段はそれぞれ5枚セットの★2が200G、★3が270Gにしておいた。大体、平均価格くらいだと思う……ま、結果待ちだねー。

 さて、販売所はこれでいいや……


 葉っぱのネックレスも作るの楽しかったけど、そろそろお洋服作りたいなー……


 「裁縫かぁ。布……あ、畑で綿を育てて布を作ろう!」


 まずはグランツさんに聞いてみなくちゃ!


 「グランツさーん!」

 「おお、なんじゃリリー来ておったのか?」

 「はい!ついさっきですけどね。実はお洋服のために綿を育てたいと考えているんですけど、農業ギルドに綿の種とかって売ってます?」

 「綿か……扱ってはいるだろうが……リリー、本気なのか?」

 「はい!」


 だって布を用意しないと裁縫できないもん!葉っぱの服とかはすぐに壊れちゃいそうだし……


 「あ、でも綿から布にするにはいくつか機械がいりますよねー……」


 えっと……綿から種を取り除くのでしょー、 紡いで糸にするやつもいるし……あとは織り機かなー?


 「うむ……バーバラ!」

 「何ですか?」

 「リリーが綿から布を作ってそれで裁縫がしたいんだと……」

 「まあまあ……機械なら昔使ってたのが倉庫にあるはずですよ」

 「ほんとですかっ」

 「ええ、少し点検しないといけないけれどまだ使えるはずよ。リリーちゃん本気なの?結構大変よ?」

 「もちろんです!」


 わーい!問題が解決した。手作業でやることを考えたらずっといいはず……肩こりしそうだけど、ここではその心配もないし!


 「うむ……リリーが本気ならば離れの裏の荒地を好きに使っていいぞ」

 「ありがとうございます!」


 なんだかグランツさんとバーバラさんの様子がおかしい気もする……何度も本気なのか確認されたし。だけど今は綿のことで頭がいっぱいだ。

 さっそく、離れの裏の土地を確認すると……広い。そして雑草だらけだ……多分ミニトマトを植えている畑の5倍くらいはあるかな?

 せっせと雑草を抜き、石を避け、土をひっくり返していく……しんどい。


 時間をかけてせっせと耕していると、いつのまにかグランツさんとバーバラさんも手伝ってくれていた。


 「すいません。ありがとうございます」

 「……うむ」

 「いいのよ。私も久しぶりに綿の花が咲くところを見てみたいし」


 あー!案山子さんまでこっちに来てくれてる!応援してくれてるみたい……


 「わたし、頑張ります!成長促進のスキルもゲットしたのでっ!」

 「ほぉ……それは楽しみじゃな?」

 「ええ、ほんとに」


 ある程度の目処が立ったので農業ギルドに種を買いに行く……時間があまりないので今日は地図埋めはせず、脇目も振らずに最短距離を行く。


 ギルドへ到着すると……すでに種が準備されていた。

 わたしが畑の雑草や石を避けている間にグランツさんがギルドへ話しを通しておいてくれたらしい。

 グランツさん、そのあとに手伝ってくれてたみたい……

 うん、77Gしか持ってないから当然お金が足りなくて、さっそくギルドからお金を下ろしたよね。

 ついでにきゅうりやピーマンの苗も購入……トマトとナスがある畑に植える予定。成長促進のスキルのおかげか少し育ってたんだよね!だから、きゅうりとピーマンも植えてみることにしたんだー。わくわく……


 多分、グランツさんのおかげで本来よりだいぶ安く買えたと思う……ほんとありがたい存在だよ。畑のお手伝い頑張ろう……それ以外にも出来ることがあれば手伝うようにしなくちゃね。


 農業ギルドから戻りグランツさんの指示のもと30センチから40センチ感覚で種を植えていく。

 うまくいけば1週間から10日ほどで発芽するらしい。

 わたしには成長促進のスキルがあるからその半分くらいの期間かなー?

 きゅうりとピーマンの苗もそれぞれ植え、水をやる。辺りはすっかり薄暗い。半日以上畑のお世話をしてたことになる……1人だったら絶対今日中に終わらなかったよー。


 「いやー、楽しみですねー。今日は本当にありがとうございました!」

 「うむ……明日からこき使ってやるぞ?」

 「そうね……明日からお手伝い増やしちゃおうかしら?」

 「頑張ります!どんどん言いつけてくださいっ!」

 「ふふ、冗談よ……ねぇ、あなた?」

 「……ん?あ、ああ。そうだな」

 


 後にどうしてグランツさんとバーバラさんが何度も本気か訪ねたのかを知り、あの時周囲をしっかり見ておくんだったとガックリすることになるのだが……この時の達成感に満ち溢れていたわたしには知る由もないことであった……



◆ ◆ ◆


名前:リリー

種族:人間

性別:女性

状態:正常

種族レベル:Lv1

HP:40/40(+5)

MP:40/40(+5)

STR:5(+2)

VIT:5

INT:5

AGI:5

DEX:80

LUC:777(固定)

ステータスポイント:10ポイント

職業:農家見習い  Lv3

スキル:鑑定Lv2、裁縫Lv1、採取Lv2、栽培Lv2、投擲Lv2、毒耐性Lv2、麻痺耐性Lv2、気配察知Lv1、隠密Lv1、地図 Lv2、成長促進Lv1

スキルポイント:29ポイント

取得可能スキル:挑発、武器回収、瞑想

称号:遅咲きのラッキースター、挑戦者、方向音痴

所持金:877G(預金:5000G)

装備:麦わら帽子、軍手、見習いのシャツ、見習いのズボン、見習いのブーツ、初心者用投擲ナイフ×3

持ち物:初級ハイポーション×5、初級マナポーション×5、初心者用裁縫セット、ロープ、水袋、火打ち石、ギルドカード(F)、葉っぱ×6、小石×22、木ノ実×8、体力草×16、魔力草×12、メモ紙、ペン、きゅうり×4

販売所(5/5):体力草★2 ×5、体力草★3 ×5、魔力草★2 ×5、魔力草★3 ×5、葉っぱのネックレス(金庫:500G)


◆ ◆ ◆

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