第60話 機械島アミュライト その5


 しばらく待っていると扉が開く音がした。うん、意外と大きい音で思わずビクッとしちゃったよね……


 「ふぅー……ベルたち来たのかな?」

 「リリー!オマタセー!」

 「案山子さん、マシンナリーさんも」

 

 うん、案山子さんが背負ってるから当然だよね……


 「もー、突然いなくなるからびっくりしたでしょ!」

 「わたしこそびっくりしたよー……すぐに死に戻りの心配したんだからね!」

 「おぉ。それにしてもここすごいな……」

 「だなー」

 「あ、むこうにたくさん眠ってる?マシンナリーさんたちがいるよ!」

 「ガガ……ソレハ旧型ニ違イナイ」


 早速、眠っている彼らの元へーー


 「うわ、壮観だな」

 「そうね」

 「ガガ……」

 「ふと思ったんだけど、マシンナリーさんにも種類があるのかな?さっきの新型とも違うし……ほら小さいマシンナリーさんもいるし」

 「そうかも」

 「確かに」


 ずらっと並ぶマシンナリーさんの中には小さかったり色や形の違うひとたちもたくさんいた。


 「ガガ……旧型ニハ我ノヨウナ兵士型、市民型、子供型ナドガイタノダ……ガガ……アノ奥ニ見エルノハゴーレムダナ。チナミニ子供型モ部品ヲ交換シテイケバ市民型ニナル」

 「おおー!だからいろんなマシンナリーさんがいるんだ」

 「なんかゴーレムって、男心をくすぐるよな」

 「いやいや、女心もくすぐりますけど?」


 とか言ってる間にタミルがゴーレムに乗ってますよー。

 うん、いつものことなのかメンバーはみんな無反応ですねー……


 「ゴーレム、動かないんだけど~」

 「ガガ……キット部品ガ足リナイノダロウ」

 「てか、ここ検証班とか攻略組が知ったら悔しがりそう」 

 「ふふ……すべて私達が調べつくすのよ!そしてゴーレムを我が手に!」

 「「いえすまむ!」」


 あれれ、アリッサ変なスイッチ入ってない?なんか変な方向に話が進んだような気が……


 「ま、あいつらはほっとけばいいさ」

 「だな!俺たちもゴーレムにロマンを感じるが、まずはクリスタルが先だよなー」

 「リリー、アリッサもだけどタミルもルティもこういうの好きだからねー……そのうち戻ってくるはずだから心配いらないよ」

 「わかったー」


 パーティ組んでるベルが言うならそうなのかな?いつもならきっとベルも一緒になって張り切るんだろうけど、こっちも気になるしって感じかなー?


 まずはマシンナリーさんの部品を集めて言われた通りにはめ込んでいくらしい。これで案山子さんに背負ってもらう必要がなくなるね……うん、案山子さんがちょっと寂しそうなのは内緒ね。


 「わたしこれ好きかも。パズルやってみたいで楽しい」

 「うん、集中力の訓練と思えばいけそう」

 「はぁー、俺はダメだ。絶対どこかで間違えそうだ」

 「だな。部品だって細かいのも多いし、間違ったら一大事だ。ベルとリリーに任せるわ」

 「ボクモテツダイタイケド……」


 案山子さんの手も細かい作業には向いてないもんね。


 「ガガ……ソレナラ、アノ山カラ部品ヲ探シテキテホシイ」

 「そうそう!あの山にもまだクリスタルとか埋まってるっぽいんだよねー!みんなを待ってる間、探してたら出できたんだけど全体の1割も探せてないからなー」


 うん、山の中心にのぼる勇気はなかった……だってあそこから滑り落ちたら死に戻りそうって思ったんだもん!

 それなのに案山子さんたら軽くぴょんぴょんしただけで山のてっぺんですよ……



 「よし!これで最後かなー」

 「ガガ……助カッタ。コレデ自由ニ動ケル」


ピコン!

 〈スキル:精密操作が取得可能になりました〉


 「お、精密操作スキルが取得可能になった!まさかこれで取得できると思ってなかったけど、ラッキー!」

 「わたしも……パズルのおかげかな?」

 「多分ねー……やば、スキルポイントが……」


 精密操作は魔法とかを使うプレイヤーに人気なんだって。ベルもキャラメイク時に悩んだ末諦めたらしい。相当喜んでるけどスキルポイントが足りないって嘆いてる……わたしはいるかなー?うーん、畑仕事には必要なさそうだけど……あ!わたし水魔法使ってるじゃん!すっかり忘れてたよー。


 「ちょ、まじか……俺もそっちに参加すればよかった」

 「ま、マシンナリーはたくさんいるんだ。地道に部品をはめていけば可能性もなくはないぞ?」

 「だなー」

 「ん?シュウも常夏も精密操作スキル欲しいの?」

 「んー……それをやれば取得可能になるのにやらないのはもったいないだろ?」

 「今後いつ必要になるかわからないしなー」


 ほー……そういう考え方もあるのかー。

 

 「さて、そういうことなら私はゴーレムの方頑張ってみるわ!」

 「いいなー……じゃ、あたしはその隣のゴーレムを」

 「ふむふむ……ゴーレムの部品を探せばいいの?任せて~」


 いつの間にそこにいたの?てか……あ、あの人たち完全に目的がすり替わってるっ!


 「マシンナリーさん、安心してね!わたしたちが頑張るから!」

 「なんか、すまんな」

 「ガガ……何体カ修理デキレバ彼等モ手伝ッテクレルハズ……アマリ心配スルナ」

 「はーい!」

 

 まずは生命のコアやクリスタルを抜き取られたほとんど無傷のマシンナリーさんたちから修理していくみたい……そうすれば修理できる人数が増えるから効率がいいんだってー。

 ちなみにゴーレムさんはかなり面倒な仕組みをしてるらしいよ……マシンナリーさんでもゴーレム担当者がいるくらいに。

 でもここにはそのひとたちがいないらしくて、マシンナリーさん曰く彼等は新型の元でゴーレムを動かすために働かされてるんじゃないかって話……


 「よし、がんばるぞー」


 ー今日の案山子さんメモー

 ・背負子を気に入っているので改造したら喜びそう

 ・手先はもう少し器用になりたいらしいです。

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