第78話 一旦の別れ その2
重たい扉を開け、新型に見つからないよう転移陣へ向かう……
ほとんどの通路は埃っぽくて薄暗かったけど、新型が巡回してるっぽい通路にはしっかりと明かりもあり、埃も少なかったので、なるべくうす暗い通路を選んで歩いたよ。遠回りでも新型のいなさそうなルートをいくつかハリーに教わってたシュウ、まじでナイス!
それでもどうしても避けられない通路もあって……何度か新型に出くわしそうになってハラハラしたりもしたけど無事到着。
みんなについていったおかげでしっかり、地図も埋まったよ!これで、とりあえず迷子の心配が減ったね!決して、なくなったとは言えないのが残念だけど……地図があっても迷う時は迷うからさ……
「よし、開けるぞ……はぁ。マジでハンス連れてくるべきだったな」
「「うん」」
「「「同感」」」
転移の間はハリーに教えてもらった順番通りに壁の模様をなぞっていくと段々と模様が光っていき最終的には精巧な模様が浮かび上がり、扉が開いた。
「ふぅ……無事開いたな」
「だねー」
「お疲れー」
最初の封鎖はハリーじゃなきゃダメだったけど、1度封鎖を解除できればここの扉のセキュリティ?は順番通りになぞればいいんだって……この辺りもちゃんとシュウが教えてもらっていた……さすがクラン副リーダー。本職じゃないから緊張したらしいけど、慎重にさえすれば誰でもできそうだってー。
でも、順番がかなり複雑でわたしは多分覚えきれないと思う……ちなみに間違うとセキュリティが発動して兵士が捕まえに来たんだとか……今はどうなってるかわからないけど、避けたいことではあるね。
さっそく転移陣を使い転移……
「戻ってきたねー」
「ウン」
「地下道……わくわくするね~」
「……ん。新たな魔物……殲滅」
「だなー!強いやつとか珍しいもんドロップするやついるといいななー!」
「そうねー。新しい素材見つけて生産組にあげたら喜んでくれるんじゃないかしら?」
「おっ!そうだな!……でも、ここの地下道の通路ぱっと見、鉱石とか出なさそうだし、白雪のお土産にはできないかもなー」
「……魔物から取れるかも……だから殲滅しないと」
「だね~!殲滅っ、殲滅!」
「はっ!そうだな!殲滅だな!」
みんな、殲滅っ!殲滅っ!ってわくわくしてる……さすが戦闘狂だねー。
あ、魔物には鉱石などを食べて自身を強化するものもいるとかで、そういう魔物からは鉱石や金属、宝石などもドロップするんだってー。だから、常夏はそういう魔物がいるところには進んで突っ込んでいって白雪さんへのお土産にしてるらしい……めろめろですなー。今度、白雪さんを紹介してくれるらしいので、今から楽しみなんだー。
みんなはこのまま地下道に行くらしいのでいったんパーティを解除して別れることになった。
「いやー、なんかあっという間だったねー。ベルたちは地下道に行くんだよね?」
「うん。リリー、大丈夫?ちゃんと帰れる?」
「大丈夫だよー、たぶん?」
外はすでに夕暮れ……わたし、夜の森とか行ったことないけど大丈夫だよね?まぁ、このあたりの森なら死に戻ってもグランツさん家の離れにリスポーンすると思うし問題ないかなー……
「リリー……ボクガイルカラ、ダイジョウブ!」
「あー、そうだった。案山子さんがいれば大丈夫だね」
「だな?案山子さんめっちゃ強いからなー」
「でしょー?案山子さん最強だよねー?」
やっぱり頼りになる案山子さん、サイコー!
「なんで、リリーが自慢気?」
「……えへ?」
「……エヘヘ」
「ねぇ、シュウ……どうしよう。案山子さんまでルティの毒牙にかかってるんだけどっ」
「妹よ、あきらめるしかない。アレはそういう毒なんだと思うしか……ぐっ」
「……何か言った?(こてっ)」
「「いや、何も?」」
やばい。ここで最強なのルティかもしれない……逆らわないようにしとこ。今度、ゴーレム取り扱い方法の本を高く売りつけてみようかな?……きっと買ってくれる、よね?
あ、でもルミエルさんのがお金持ちかなー?
とりあえず、本を眺めてスキル取得目指してみようかな?
「そういえば、パーティ解除するって言ってたけど成長促進のためにそのままにしておくとかはできないの?」
「あー、それな?」
「できたらいいんだけどねー」
「そう、上手くはできてないのよね」
「……ん。その内ルールの抜け穴探すから安心して」
どうも、パーティメンバーから一定以上の距離が離れると経験値とかが分散されない仕組みらしい。つまり、メンバーひとりだけが先に死に戻った場合(すぐ近くにリスポーン地点があり再合流できる場合は別)やトラップを踏んでどこかへ飛ばされた場合など……その後の戦闘の経験値は配分されないらしい。たぶん成長促進も同じ場で活動しないとダメじゃないかって話。パーティは組んだままにしておくと経験値は入らないけど、パーティチャットは使えるとのこと……再合流の時は便利かも。
「へー、そうなんだー」
「そうなんだよー」
「逆にそれができればやりたい放題になるからできなくて当然なんだけどな」
「「「確かに……」」」
例えば……パーティを組んだ生産組だけが安全な街中にいて他のメンバーの経験値を配分させて寄生プレイでレベルアップを狙うのはダメってこと……実際に検証されたことらしい。
逆にその場にいてパーティメンバーに守ってもらう寄生プレイは可能なんだって……はっ、まさにわたしのことでは……がーん。
「成長促進がどこまで有効なのかも検証させてもらいたいところだけど、何しろ少しずつ条件を変えて検証するために時間がかかるからなー」
「だね~。今回は諦めるしかないよね~」
「ログイン制限まであまり時間が残ってないし、また今度お願いしてもいいかしら?」
「わたしはいいですよー!」
「まぁ、それまでにうちのクランメンバーが取得可能になればいいけど……」
どうやら、レベルによっての差も調べたいらしい……いや、それ最早検証班じゃん!
あと、パーティで魔物を倒した時、ドロップ品は貢献度の高い人のアイテムボックスに収納されるらしいんだけど、その辺で揉めるパーティもあったりするらしい。
ひとくちに貢献度といっても魔物に攻撃すればいいだけじゃなく、回復や盾をしてるひとたちの方が貢献したと判断されれば、そのひとのアイテムボックスに入る仕組みらしい。
ただ、事前にウィンドウ上でドロップした場合パーティの誰のアイテムボックスに入るようにするかとか、貢献度関係なしに順番に入るようにするとか設定できるらしい。デフォルトが貢献度順ってことだね。
アイテムボックスに余裕がある人に多く入るようにしておけば、たくさん持ち帰れるし、パーティ共有財産だと思えば誰のアイテムボックスに入ろうと関係ないって考えるパーティも多いとか……でも、パーティメンバーとの相性もあるだろうし、信頼関係のしっかりあるパーティと即席パーティじゃ話は違ってくるし……信頼関係のあるパーティなら相手にステータスを見せることもできるけど、即席パーティなら秘密にしておきたいとかもあるから……ってこと。
だから、この辺はパーティを組んだ時にしっかり話し合って決めて(生産組とパーティを組む時は素材を渡す代わりに無料で装備を作ってもらうとか)おかないとドロップした数やレアドロップを誤魔化して掠め取るとろうとするひともいたりして……火種になることもあるんだって。まぁ、そういうひとはパーティを組んでくれるひとがいなくなって後々困るらしいけど。うん、自業自得。
ベルたちの場合はドロップ品はすべてパーティ共有財産として扱って、その中で欲しいものがあれば分配、なければ売り払って半分を個人に半分をパーティ用に貯金してるんだとか。
あ、冒険者ギルドにはパーティ用の貯金システムがあって、そこからみんなの装備を買ったりするんだってー。もちろんソロの時に手に入れたドロップ品は自分のものだよ。
今回、転移の間までの道中はドロップ品はあんまりなくて……わたしが気付いた時にはすでに光の粒子ってパターンが何回かあったくらいかな。
あと、ドロップ品は倒したメンバーのものにすることになった。メンバーにとっては雑魚ばっかりだったらしく『リリーいる?』って聞いてくれたけど断った。
だって簡単にもらえないよー。ほ、ほら、わたしいわゆる寄生プレイってやつだし、地図が埋まっただけありがたいし……なんか自分で言ってて悲しくなってきたー。ぐすん。
それに、転移の間に着く直前、レベルアップまでさせてもらっちゃいまして……レベル10くらいまでは結構簡単に上がるらしくて(メンバーは始めて数日にはなってたって)、さらに成長促進のおかげでこうなった。うん、素直に喜んでおこう……わーい、わーいっ!
「じゃ、そろそろ行くわー!」
「うん!気をつけてねー」
「リリーこそ!また連絡するからー」
「わかったー!じゃあねー!」
「マタネー!」
◆ ◆ ◆
名前:リリー
種族:人間
性別:女性
状態:正常
種族レベル:Lv7→ Lv8
HP:75/75(+5)→ 80/80(+5)
MP:75/75(+5)→ 80/80(+5)
STR:17(ー3)
VIT:17(+26)
INT:7(+8)
AGI:12(+15)
DEX:80(+3)
LUC:777(固定)
ステータスポイント:2ポイント→7ポイント
職業:農家見習い Lv4
スキル:鑑定Lv5、裁縫Lv2、採取Lv3、栽培Lv2、投擲Lv4、毒耐性Lv5、麻痺耐性Lv4、気配察知Lv5、隠密Lv4、地図 Lv5、成長促進 Lv5、瞑想Lv3、水魔法Lv2、槍術Lv2
スキルポイント:16ポイント
取得可能スキル:挑発、武器回収、工作、観察力、木工、精密操作
称号:遅咲きのラッキースター、挑戦者、方向音痴、天籟の鐘を初めて鳴らした者、転移陣を初めて使用した者、マシンナリーの恩人
所持金:597G(預金:81900G)
装備:麦わら帽子、守護のブーツ、守護のローブ、守護の手袋、見習いのシャツ、見習いのズボン、初心者用投擲ナイフ×3、どんぐりネックレス、花柄エプロン、エルダートレントの棍棒(リリーのオリジナル武器その1)、守護の盾、守護のバンダナ、エメラルドのピアス、ローズクォーツのブレスレット、サファイヤのアンクレット、アクアマリンのネックレス
持ち物:初級ハイポーション×5、初級マナポーション×5、水袋、火打ち石、ギルドカード(E)、小石×22、木ノ実×8、体力草×2、魔力草×4、メモ紙、ペン、きゅうり×3、ミニトマト×14、軍手×2、収穫用ハサミ、背負い袋、サンドイッチ×4、はちみつたっぷりクッキー×11、至誠のクリスタル×1、叡智のクリスタル×1、生命のコア×1、本:至誠のクリスタル製造法、叡智のクリスタル製造法、生命のコア製造法、ゴーレム取り扱い方法、マジックバック製造法、花瓶×1、綺麗な石×2、木の枝×11、くるみ×42、スライムゼリー×8、魔石式ランプ×2、よくわからないバック×1、ナイフ×3、食器セット×1、至誠のクリスタル(壊)×3、叡智のクリスタル(壊)×3、生命のコア(壊)×1、見習いのブーツ、守護の槍、守護の短剣
ホーム収納:初心者用裁縫セット、葉っぱ×6、ハニービーの毒針×5、ハニービーの羽×40、はちみつ3瓶、ローヤルゼリー1瓶
販売所(2/10):体力草★3×5、魔力草★3×5(金庫:0G)
◆ ◆ ◆
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