第38話 電話
ログアウトしてストレッチ……うーん、やっぱり少し体が固まってるや。もう少しこまめに休憩しなくちゃなー……ま、できないだろうけどさ。
「あ、不在着信がある」
茉由ちゃんからの着信だったけど1時間前かー……出てくれるかな?もうログインしちゃってるかも。
ダメ元で電話すると……
「もしもし?」
「もしもし、由莉奈だけど電話くれた?」
「うん、そうそう」
「で、どしたの?」
「えっと昨日……いや、ゲーム内だと数日前か。ワールドニュース流れたじゃん?」
あー、天籟の鐘のやつかー。うーん……茉由ちゃんにこれも告げるべきか……また呆れられそうだなー。会ったときにでも話せばいいや。
「はいはい、あれね!」
「それで次のステージへ行くための洞窟の場所がやっとわかったんだよ!」
「へー……意外と時間かかったんだね」
「うん……結構厄介な場所にあってさ、情報買うまでわからなかったんだ……だから街への1番乗りはダメだったー。やっぱり最初に発見した人たちが1番乗りらしい」
「そっかー」
「だからさ……悪いんだけど待ち合わせの日を数日遅らせてもいいかな?」
ふむふむ……パーティメンバーやクランメンバーと次のステージに行ってリスポーン登録?してからはじまりの街に来たいんだってー。早速潜ってるけど、洞窟のモンスターが強くてなかなか進めないらしい。
あ、そうそう。街を移動した時は教会に行くと自動的にリスポーン地点に登録されるらしい。そうしないと死に戻った時、前の街のリスポーン地点に戻ってしまうんだって。だから街ごとに拠点を借りたりする必要があるみたい。地点登録後は死に戻ったときに登録してある1番近いところで復活するらしいよ!
「ものすごく申し訳なさそうに言うから何事かと思ったよー……すっぽかされたわけじゃないし、待ち合わせまでまだ日付があるのに」
「いやー、それもそうなんだけどさ。毎日ログイン制限ギリギリまでやってるから早めに言っとかないと忘れちゃいそうで、余裕を持って電話したんだよね」
うん、1発で電話繋がったのすごいね!たまたまクールタイムだったんだって。
「でもさ、そんなにやり込んだら体バッキバキにならない?」
「ふっふっふっ!わたしは最高級のマットレスともふもふクッションを導入したのだよ!流石にヘッドセットはそこまで高級じゃないけど、つけ心地重視で選んだから結構優秀だよっ」
「そうなんだ」
「まあ、由莉奈が手に入れたヘッドセットもかなりいいやつだと思うよ」
「へー……」
茉由ちゃんはしゅーへいくんのβテスター特典の招待コードがあったから、ゲームにお金がかからなかった分、マットレスやヘッドセットにこだわったらしく同じ体勢でも楽チンなんだとか……クールタイムがなくてもいいのに!ってぼやいてる。
わたしもキリのいいところまでってやってるといつのまにか結構長くログインしてるし、マットレスとか変えた方がいいのかなー?……マットレスは無理でももふもふクッションくらいは導入しようかな。
あ、もふもふクッションていうのは枕の代わりに使うんだけど中央がヘコんでてヘッドセットをつけてても楽っていうやつね。
本来のちゃんとした名前があるらしいけどもふもふクッションで定着しちゃったらしいよ。
「で、待ち合わせなんだけど……」
「あ!そうだった!わたしは全然いいよー」
うん、全く問題ない。わたしも案山子さんメモで忙しいし。
街の外ですぐ死に戻る以外困ったこともないし、茉由ちゃんの邪魔してまで急いで合流しなくてもいいかなー……今でも十分楽しいもん。
「よかった。じゃあ待ち合わせを来週の月曜日に変更でもいい?」
「うん、また変更したかったらいつでも言ってね?」
「うん、ありがとー。頑張って次の街へたどり着くわ!そうだ、由莉奈は何して過ごしてるの?」
「うーんとね……畑仕事したり、案山子さんと行動したり……あとは農業ギルド行ったり?」
「案山子?」
「うん、畑のお世話を手伝ってくれてるんだー」
「へー」
この時の茉由は知らなかった……まさか案山子があんなに強くて喋るなんて。後でものすごく驚いて由莉奈を質問攻めにすることは言うまでもない……
「そういえば……方向音痴はどうなった?少しは改善した?」
「うん?相変わらず地図スキルを頼りにしてますけど?」
「流石にはじまりの街の地図は埋まったよね?」
「……え?」
「……は、まさか」
「えへへ」
茉由ちゃんにまだ街の半分くらいしか行動できてないって言ったら若干呆れられてしまった。ほ、ほら案山子さんの材料採取とかで忙しかっただけだしっ!
「はいはい。迷子にならないよう頑張って……ま、はじまりの街はそんな広くないからなんとかなるよw」
「え、はじまりの街であんな広くて困ってるのに……他の街より小さいだなんてっ!」
「うん、今のところ次の街へ進むごとに広くなってる感じかなー……」
「へー……そうなんだ」
まぁ、はじまりの街付近の魔物で死んじゃうから他の街はあんまり関係ないんだけどね……それに、グランツさんの農場は居心地いいしバーバラさんのご飯も美味しいし……他の街へ移動するメリットが見当たらないな。
「ということで、わたしそろそろクールタイムあけるから!」
「うん、頑張ってー」
「じゃ、来週の月曜日に!迷子にならず待ち合わせ場所で待っててねー」
「りょーかい!」
茉由ちゃんとの待ち合わせの日は伸びちゃったけど、やることはたくさんある。
とりあえず、日課に加わった案山子さんメモを完成させつつ街の地図をすべて埋めることを目標にしよう!
茉由ちゃん曰く……あんなの数時間走り回ればすぐに地図が埋まるよだってさ……無理無理。まず体力がもたないよ。うん、地道に頑張ろーっと。
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