第83.5話 ボクハカカシイチゴウ


 ボクがいつからコノ畑にいるかはわからない……デモ嫌じゃなかった。ナンダだろう……?


 ボクのオシゴト、畑守るコト。

 毎日畑にヤッテクル鳥追い払う……時々ヤッテクル悪い人間グルグルパンチで追い払う。

 収穫がチカイ畑に移動して守る。


 グランツもバーバラもスキ……


 ボクを作った?トカイウ、ルミエルが……たまにヤッテキテはボクのコト、カイゾウしていく……その度にカラダが軽くなったりイツカラかは覚えてないケド、コウヤッテ考えられるようにも、ナッタ!

 デモ、時々……イヤ結構失敗スルカラ、その時はしばらくチカヨラナインダ。仲間タチだと失敗が多いカラってボクで実験スルノはやめてほしいな。


 今、ルミエルにやってほしいのはハヤク話せるようになればイイなーってコト!

 グランツやバーバラとおハナシしてみたい。ルミエルにはしてほしいコトもタクサンあるし。

 ニゴウとサンゴウはまだ自我がウスイみたいダケド、キットソノウチ……


 そうやってイクツノ季節を過ごしただろう……仲間タチの自我が段々コクナッテイキ、うっすら考えてイルコトが伝わるようにナッテキタある日……ボクに話しかけてくるオンナノコがいたんだよ。


 「すいませーん!ここって……あれっ?人じゃないじゃんっ」


 ウン、そうだよ……キミはだれ?悪い人間?グルグルパンチする?話せナイケド一応キイテミル……


 「はあ……とりあえず休憩がてら鑑定してみようっと……えー……広いだけじゃなくて迷ってるってこと?」


 うーん、ヤッパリお話通じないかー……とりあえず悪いことするまでマツ。悪いことしなければ出ていくまでミハル。


 「んー……とりあえず歩くかぁ……」


 ……ぴょん……ぴょん……追い越さないヨウに気をつけないと……このコ、歩くのオソイナー


 「……野菜、美味しそう……じゅるり……」

 

 ヤッパリ悪い人間?と思ったけどそのままグランツたちの家マデ歩いて行った……よくわからないコだ。


 そのあとグランツと一緒に登録しにキタから悪い人間じゃなかったミタイ。畑のお手伝いのヒトかもしれない……グルグルパンチしなくてよかったー。


 デモ、元気に出かけたと思ったら家からマタ出てくるのはドウイウコト?


◆ ◆ ◆


 今日もオシゴト、畑守るゾ。

 あ、アソコはモウスグ収穫だ!移動シナイト!


 「案山子さん!わたしの畑も収穫時期になったらお願いしますね!」


 ヘンなコはリリーっていうらしい。

 

 「……案山子に話しかけるとは面白いの」

 「え、グランツさんは話しかけないんですか?」

 「うむ……ご苦労」


 グランツは倉庫カラ帽子を持ってきてボクにかぶせた。


 「わたしとお揃いだねー……グランツさん、これで暑い日も大丈夫ですね!」

 「……あ、ああ」


 グランツが帽子をクレタ。ウレシイナ……リリーのおかげだ。ヨシ、ヒマな時は見守ってあげよう。



 ある日のコト……グランツとリリーがお喋りシテル……イイなー、ボクも混ざってみたいなー。


 「コアのぉ……おっ、そうじゃ!案山子1号が特別なことは話したよな?」 

 「はい……えっと、他の案山子さんは1号さんのコピーくらい違うとか」


 あ、ボクの話ダ……ぴょんぴょん……


 「うむ、案山子1号は製作者がこだわって作ったというがの、1号だけがどこからか手に入れた部品を組み合わせたものらしいんじゃ。もちろん手は加えてあるが……他の案山子は詳しくは知らんがそれを模倣して作ったんじゃ。完璧に模倣できなかったから性能に差がある。やつは悔しがって開発を続けておっての、時々試作を持ってきてるわ」

 「へー」

 「で、本題はその手に入れた部品で唯一やつが模倣しきれなかった部品がコアなんじゃよ」

 「おー!じゃあもしかして……」

 「うむ、コアに穴が開いておればそこにクリスタル?を差し込めるかもしれんの……」

 「グランツさん!案山子さん!試してみてもいいですかっ?」


 なんかよくわからないケド、時々ルミエルが似たヨウなコト言ってたような?

 うーんと、クリスタルだっけ?ボクはイイよー……ぴょんっ。

 

 「うむ、もし異常が起きたらすぐにやつに連絡すればいいだろう。しかし、リリー……もしかしたらそのクリスタルが取り外せなくなったり壊れる可能性も十分にあるし、売りに出せば高い価値がつくかもしれんぞ?案山子を作ったあやつなら高値で買うこと間違いないしの……リリーは構わないのか?」

 「はい、お願いします!」

 「うむ」


 ふたりがボクのコアを確認している……ドウヤラ差し込める穴があったらしい。バーバラもきて参加スルみたい。


 「じゃあ、行きますよー。グランツさんとバーバラさんは念のために離れててくださいね!わたしなら復活できるので!」

 「うむ」

 「え、ええ」

 「えいっ!」

 「うーん……外見に変化はないですね」

 「そうじゃな」

 「ええ」


 あれ、コノ感じ……モシカシテ……


 「ウン……」


 「「「えっ?」」」

 「グランツ、バーバラ、リリー……コンニチハ」

 「え、案山子さんが喋ってるのっ?」

 「ウン、クリスタルノオカゲ……」

 「まあまあ!こんなことが起こるなんて」

 「う、うむ……驚きじゃの。やつに連絡しなければいけんな」

 「はー、あのクリスタルすごいものだったみたいですねー」

 「アリガト……ハナセテウレシイ。ネックレスモ、ボウシモウレシイ」


 思ってイルことを伝えられるってイイナ。


 「案山子さん!これからもよろしくね」

 「ウン、ガンバル……」



 リリーのおかげでボクはツイニ話せるようにナッタ!とてもウレシイ!

 もう少しウマク話せるヨウニ練習しよう……

 


 

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