第12話 レベルアップ

 そういえば、グランツさんの離れの部屋のベットに横になるとメニューを開かなくても〈ログアウトしますか?Yes or No〉ってでるんだけど、Noを選択するとお昼寝もできるみたい。

 まぁ、一瞬で時間が過ぎ去ってるんだけど……寝なければゴロゴロもできるよー。


 「おはよーございます!」

 「「おはよう」」

 「さっそくじゃが、リリーはここからそこまでの畑に水やりを頼む」

 「はい!」


 ジョウロを倉庫から出して水を入れる……


 うん、農業ってなにかと筋力が必要だね……クワを振るうのも、スコップで掘るのも、水やりもジョウロが金属製で重たいし……ジョウロ自体が重いから水をたくさん入れると持ち上げられなくなるから、ちょびっとしか入れられなくて、何度も井戸と畑を往復してる。

 自分の畑のときはちょびっとの水で足りたからよかったけど、グランツさんの広い畑となるとそうはいかない。でも、グランツさんはそれを見越して井戸から近い畑を言ってくれたみたいでありがたいけど……それでもやっぱり時間がかかるね。

 

 「あー、これリアルだったら絶対筋肉痛になるやつ……」


 あまりにも私の水やり速度が遅いため、結局はグランツさんに手伝わせてしまった。申し訳ない……


 「うむ、あとは飯を食べた後にしようか……」

 「ごめんなさい……」

 「グランツと比べちゃダメよ。グランツはベテランなんだから力の使い方も効率も身についてるの……リリーちゃんが一生懸命なのはわかってるから」

 「うむ……そうじゃな。あまり気に病むでないぞ?」

 「ありがとうございます」


 バーバラさんの美味しいご飯を食べたら元気出てきた!うん、もうバーバラさんのご飯の虜になってる……

 時間がかかってもコツコツやればそのうち終わる……よし、頑張るぞ!


 水やりをすませ、今度はグランツさんの畑の種まきのお手伝い。ナスの種らしい……じー……


 「……リリーの畑にもまいていいぞ」

 「えっ、やったー!ありがとうございますっ」

 「うむ、あんなに見られたらやらんわけにいかんじゃろ……」

 「えへへ、ばれてましたか……」


 種をまいたら、おおきくなーれ、大きくなーれと声をかけていく。ついでにミニトマトの苗にも。なんか話しかけたら成長するって聞いたことあるからやってみた。


ピコン!

 〈スキル:成長促進が取得可能になりました〉


ピコン!

 〈スキル:栽培がレベルアップしました〉


ピコン!

 〈職業:農家見習いがレベルアップしました。ステータスポイント5ポイント獲得しました〉


 わーい、レベルアップ祭りだー!畑仕事がひと段落するのをみていたかのようなタイミングだ。

 なんか、スキルもLv1からLv2に上がるのは早そうだし、後々上がりづらくなっても必要ポイントが一律5ポイントなら他のスキルもLv2とかにしてからスキルポイントを使うかどうか考えた方がいいかも……


 「うむ、あとは肥料をまくんじゃが……」


 あっ(察し)……


 「わたし、足手まといになりそうですね……」

 「……リリーの分は分けてあげるから」

 「ありがとうございます」


 うん、小さな畑に肥料をまくのにもグランツさんの何倍も時間がかかりましたよー。

 グランツさんと比べると凹むからその辺は諦めの境地だよね……ま、農業はじめて数日のペーペーとベテランを比べるほうがおかしいのか。


 「ふぅ……終わったー」

 「お疲れ様」 

 「バーバラさん……」

 「リリーちゃん、お茶でもどう?」

 「ぜひっ!でも、グランツさんは?」

 「あの人は畑が生きがいみたいなところがあるから、ほっといて平気よ」

 「そうですか……」


 バーバラさんたら、美味しいお茶菓子まで出してくれたじゃないですかっ……もぐもぐ……うまー


 「あっ、そうだ。ちょっと聞きたいことがあるんですけど……」

 「なにかしら?」

 「皆さんはスキルとかって取得できるんですか?」

 「うーん……取得というか……勝手に覚えてるって感じかしら」

 「へー」

 「私たちは教会などでスキルを確認するか鑑定持ちに教えてもらうしかないわね……」


 ふむふむ……教会にはスキルのわかる水晶的なのがあるらしい。ただ、ポイントとかはなくて経験だけでレベルアップするって感じかな?


 「そういえば……わたしまだ、街の外にも行ったことないですねー……地図上に教会も載ってないし……地図っていくらぐらいするんでしょう?」


 うん、ここ数日畑仕事しかしてないな……明日は街の外にでも行ってみようかな?


 「うーん、地図の正確さや範囲にもよるけど……3000Gから7000Gってところじゃないかしら?」

 「結構するんですね……」


 高いのだとお金なくなっちゃうよー


 「そうね……どうせ買うなら街中の地図よりも広範囲の地図を買えば街から街への移動にも役に立つわよ?」


 つまり、街中は迷子覚悟で歩いて覚えて広範囲の地図を買った方がいいってことかー……よし、とりあえず今ある地図でどうにか生活しよう。

 で、お金を貯めて地図を買うか地図スキルを取得するか……あれ、地図スキルって迷子になるだけじゃ取得できないのかな?紙とペンで地図を書いたりすればいいのかな?今度やってみよう……


 「うむ、リリーがおらん時は水やりくらいはしてやろう。その代わりいる時にはこき使うぞ?」

 「わっ、グランツさんびっくりさせないでくださいよー」

 「バーバラは気づいておったぞ」

 「でも、本当にいいんですか?」

 「うむ、たまには外にでも行って楽しむといいぞ」

 「だけど、迷子にならないように気をつけてね」

 「はい!ありがとうございますっ」


 うわー、ちょっとドキドキしてきたー……さすがに森で迷子になったら諦めるしかないかなぁ……もしくは恥を忍んで通りがかりの人に助けを求めようかな。



◆ ◆ ◆


名前:リリー

種族:人間

性別:女性

状態:正常

種族レベル:Lv1

HP:40/40 

MP:40/40

STR:5(+2)

VIT:5

INT:5

AGI:5

DEX:80

LUC:777(固定)

ステータスポイント:5ポイント

職業:農家見習い Lv1→ Lv2

スキル:鑑定Lv2、裁縫Lv1、採取Lv1、栽培Lv1→ Lv2、投擲Lv1

スキルポイント:45ポイント

取得可能スキル:成長促進

称号:遅咲きのラッキースター

所持金:7777G

装備:麦わら帽子、軍手、見習いのシャツ、見習いのズボン、見習いのブーツ、初心者用投擲ナイフ×3

持ち物:初級ハイポーション×5、初級マナポーション×5、初心者用裁縫セット、ロープ、水袋、火打ち石、ギルドカード(F)


◆ ◆ ◆

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る