ホラーとしてこの作品を読み始めたのであれば、追われる恐怖、次々と起こる出来事に振り回される恐怖。そんな忙しなさを感じながらも、ただただ結末迄を読み進めてしまうでしょう。ミステリーとして読み始めたのなら、その動機の追及にただ頭を悩ませることになるでしょう。そして次々と現れる犯人らしき像にただ振り回されるでしょう。親が子を殺し、子が親を殺す。普遍的なテーマを根底に、本当に様々な関係性が複雑に絡まっている、しっかり読める作品です。少し読み進めてみよう、そんな事を考えれば、最後まで読んでいるだろうと、そんな魅力があります。
「文明と接触したことのない、アマゾンの先住民族」をイゾラドとよぶ。言葉も通じず、現代人が想像もしない閉じた世界のなかで、かれらだけの倫理観で生活している。おなじ時代に生きているはずなのに空間的に心理的に断絶しているかれらの存在や、「子殺し」のテーマが、作品のなかをずっと通底しているよう。最初の一話を読みはじめたらもう止まらない。親たちはなぜ、いっせいに子殺しをはじめたのか?「異空様」とはなんなのか?そして、生き残った子どもたちのだれが、悪霊をまき散らす化け物「替え子」なのか?一気読みしてしまいました。おすすめ。
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