閉店三十分前

スーパーの閉店三十分前になると、何かがおかしくなる。
商品棚から落ちる菓子、冷蔵庫に現れる白い手、
首のない子供が駆け回り、誰もいない売り場にささやき声が響く。

大学生の竹丸は、時給の高さに釣られて深夜のバイトに応募した。
そこで出会ったのは、無口な美青年・士郎。
彼はスーパーの副店長の親戚で、霊が集まる“忌み地”で生まれ育った〈依り代〉だった。

やがて、バイト仲間たちはスーパーに潜む“なにか”に触れてしまう。
同僚の真琴は怨念に蝕まれ、竹丸自身も逃れられぬ因縁に巻き込まれてゆく。
士郎の運命、土地に刻まれた祟り、
そして「閉店三十分前」に現れる怪異の正体とは――。

心霊ホラー×青春群像劇。
亡者と共に働く深夜バイトで、人は誰かを守れるのか。