概要
その街で暮らす、すべてのケダモノに捧ぐ
■こことはほんのすこしだけ異なる世界。かつて人間たちに遺棄された、いまは人外たちの暮らす街ケダモノシティを舞台にしたファンタジー小説です。
■街の中央にある広い公園の真ん中に立つ古びた教会でひとり暮らすドライアドの娘の元に、ある日人間の少女が迷い込んできます。
■この小説には残酷なシーンや性的な行為を連想させる言葉が出てきます。苦手なかたはお気をつけください。
■街の中央にある広い公園の真ん中に立つ古びた教会でひとり暮らすドライアドの娘の元に、ある日人間の少女が迷い込んできます。
■この小説には残酷なシーンや性的な行為を連想させる言葉が出てきます。苦手なかたはお気をつけください。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!慈悲深き単眼シスター・エコの、健康で文化的な最低限度のケダモノ生活
この作品を紹介するにあたって真っ先にお伝えすべきなのは、物語の世界観を描き出す筆致の見事さです。
舞台となる「ケダモノシティ」の社会や文化、そこに暮らすケダモノたちの生態や生活が、正確で美しい文章によって綴られています。
読むほどに情報が整理され、この世界の仕組みが余すところなく脳内に構築されていく感覚は圧巻。隅々まで神経の行き届いた端正な文章は、お手本にしたいほどです。
また、主人公であるドライアド(植物精霊)の単眼シスター・エコのキャラクターも素晴らしい。
注目すべきは、彼女が死者を『喰らう』ことによって弔うシーンです。
グロテスクでありながらもどこか美しさすら感じるのは、彼女がきち…続きを読む - ★★★ Excellent!!!人間のキレイ、キタナイが通用しない。ここはケダモノシティ
主人公は植物精霊(ドライアド)の娘、エコ・ランチェスター。
物語冒頭、彼女が堆肥を手づかみで畑に撒くシーンが描かれている。
これが本作のファーストインパクトとして、強く心に残る描写となりました。
人間であれば手袋を用意して作業を行うが、「ケダモノ」である彼女にはそうした概念はなく、栄養として大地に交われば、それは例外なく「土」であるという感覚。
こうしたメタファーは物語が進むと、さらに明確となっていきます。
勢力を衰退させた人間世界から隔絶し、多くのケダモノたちによって日々、運営されている疑似人間的な社会構造。
その中で主人公は、死体処理を主な役割とした神官としての使命を担って…続きを読む